[行政手続法21条・陳述書等の提出]現場編 「来ないなら言い分はないってことですよね」の罠。欠席と放棄を混ぜる役所と、紙で残す反論
人は、行けないだけで、何も言いたくないことにされることがあります。
忙しい。
病気。
家を空けられない。
子どもを置いていけない。
理由なんて、いくらでもある。
でも役所の会議室には、そういう生活の事情が妙に入りにくいんです。
昭和六十三年。
片桐行政書士事務所の朝は、今日も紙の山と電話のベルと、相馬先輩の機嫌の悪さで始まりました。
「朝比奈」
「はい」
「これ読め」
机の上に一枚の通知書が滑ってきます。
「人に書類を投げないでください」
「滑らせただけだ」
「物理現象の言い換えで礼儀は改善しません」
私は紙を拾いました。
市役所保健衛生課。
営業許可に関する事情聴取。
対象は、駅前再整備区域のはずれにある小さな惣菜店。
――「いとう惣菜店」。
「また保健衛生ですか」
「最近多いな」
「水野さん、過労で倒れません?」
「余計な心配するな」
相馬先輩は煙草に手を伸ばしかけて、所長の視線を感じたのかやめました。
その直後。
事務所の入口が開きました。
「すみません」
入ってきたのは、五十代くらいの女性でした。
エプロン姿。
手には買い物籠。
額に汗。
「片桐先生のところでしょうか」
片桐所長が奥から出てきます。
「そうです」
「伊藤文江と申します。駅前で惣菜屋をやってます」
やっぱり。
通知書の人です。
伊藤さんは椅子に座るなり、鞄から同じ通知書を出しました。
「これ、行かなきゃ駄目でしょうか」
第一声がそれでした。
怒りでも、
不満でも、
役所がおかしい、
でもない。
行かなきゃ駄目か。
私は少し引っかかりました。
「都合が悪いんですか?」
聞くと、伊藤さんは苦笑しました。
「母が寝たきりでね」
「介護ですか」
「昼間は私しかいないんです」
なるほど。
「店も休めないし。母も一人にできない。市役所には電話したんですけど」
「何て言われました?」
伊藤さんは目を伏せました。
「『来られないなら、それは仕方ないですね』って」
「それだけ?」
「それから」
一拍。
「『その場合は、特に意見はないものとして扱います』って」
……はい?
私の頭の中で、未来の条文がむくりと起き上がりました。
行政手続法二十一条。
当事者または参加人は、
聴聞の期日への出頭に代えて、
主宰者に対し、
聴聞の期日までに、
陳述書および証拠書類等を提出できる。
行けない。
イコール、
何も言えない。
ではない。
でも。
昭和六十三年の今、その一般法の条文はまだありません。
「伊藤さん」
私は聞きました。
「役所に言いたいことはあるんですか」
「ありますよ」
即答でした。
「いっぱいあります」
声が変わりました。
さっきまでの遠慮が、少しだけ剥がれます。
「じゃあ、何で処分を検討されてるんです?」
「去年の秋に、店の裏へ冷蔵庫を増設したんです」
「はい」
「ところが、その場所が調理場との区画の関係でよくないとか、保管の仕方が衛生上まずいとか言われて」
「改善は?」
「しました」
「いつ?」
「先月です。業者さんに壁も直してもらったし、冷蔵庫も移した」
「役所は見に来ました?」
「一度だけ。工事の途中に」
私は眉を上げました。
「完成後は?」
「来てないです」
「なのに営業停止を検討?」
「そうなんです」
伊藤さんは通知書を指で押さえました。
「三日間の営業停止を検討してるって電話で言われました」
「根拠は?」
「前の状態が悪かったから、と」
「今は?」
「そこを見てほしいんです」
なるほど。
事情が見えてきました。
行政側が把握している事実と、
現状がずれている可能性がある。
しかも、
本人は事情聴取へ出られない。
役所側は、
来ないなら意見なし。
で処理しようとしている。
雑です。
かなり。
「所長」
私は片桐所長を見ました。
「これ、行けないことと、言い分がないことを一緒にしてませんか」
所長が短く頷きました。
「そうだな」
相馬先輩が椅子の背にもたれます。
「じゃあどうする」
「書きます」
「何を」
「伊藤さんの言い分」
伊藤さんが私を見ました。
「紙で?」
「はい」
「それを役所に?」
「はい」
「読んでくれますかね」
その言い方が、妙に小さかった。
読んでくれるか。
すごく切実な言葉です。
役所に言いたいことがある。
でも行けない。
なら、
紙に書いたところで無視されるんじゃないか。
普通の人には、その不安があります。
「読ませましょう」
相馬先輩が言いました。
口が悪いくせに、こういうときだけ妙に頼もしい。
「来られないから黙ってます、とは違うってことを先に分からせる」
「でも」
伊藤さんは困った顔をしました。
「私、文章なんて苦手で」
「大丈夫です」
私はメモ帳を開きました。
「小説を書くわけじゃありません」
「お前が言うと説得力ないな」
「先輩、今そこ要りません」
私は伊藤さんに向き直ります。
「何を言いたいか、一つずつ聞かせてください」
「一つずつ?」
「はい。役所がどんな事実を見ているのか。それに対して、違うところはどこか。直したところはどこか。証拠があるなら何か」
伊藤さんは少し考えました。
「工事の領収書」
「あります?」
「あります」
「写真は?」
「息子が撮ってます」
「業者さんの見積書とか、施工内容の紙は?」
「あります」
「冷蔵庫の位置が変わったことが分かる図面は?」
「簡単なものなら」
相馬先輩が口を挟みます。
「あと、役所が前に見た日と、工事が終わった日」
「あ」
伊藤さんが鞄を探ります。
「手帳に書いてあります」
出てきました。
工事開始。
工事完了。
役所の確認日。
確かに、
役所が見たのは工事途中。
その後、
設備はさらに変わっている。
「これ」
私は言いました。
「言う価値あります」
「でも会議には行けない」
「だから紙にします」
私の中で、
未来の二十一条が急に生きた形になりました。
陳述書。
名前だけ見ると、
また行政法の眠い書類が増えた。
としか思わない。
でも違う。
あれは、
来られない人の席を紙で残すものなんだ。
「相馬先輩」
「何だ」
「市役所行きますか」
「お前、最近それ言うの早いな」
「慣れました」
「慣れるな」
片桐所長が立ち上がりました。
「行くぞ」
やっぱり行くんですね。
昭和六十三年の地方都市。
市役所保健衛生課。
受付で事情を話すと、出てきたのは水野さんでした。
「……また君か」
「私も言いたいです」
「最近うちの課に住んでないか」
「住民票はまだ移してません」
「冗談を言ってる場合か」
怒られました。
倉田係長も後ろから顔を出します。
「今日は何だ」
「伊藤惣菜店の件です」
「ああ」
倉田係長が眉をひそめました。
「本人、来られないらしいな」
「そうです」
「なら、欠席で進めるしかないだろ」
「欠席はそうです」
私は言いました。
「でも、“意見なし”にはしないでください」
倉田係長が止まりました。
「何?」
「本人は言いたいことがあります」
「なら来てもらえばいい」
水野さんが言います。
「来られない事情があるんです」
「それは聞いています。しかしこちらも期日を設定して――」
「来られないことと、反論を放棄することは別でしょう」
相馬先輩が切りました。
空気が少し変わります。
「本人の書面を出す」
相馬先輩は机を指で軽く叩きました。
「工事完了後の写真も。領収書も。施工業者の資料も」
水野さんが眉を寄せます。
「当日ですか?」
「それより前に」
片桐所長が言いました。
「担当者だけでなく、事情聴取を進める側にも届く形で出します」
「しかし」
水野さんが言いかけました。
「書面を出されたからといって、必ず処分を見送るわけではありませんよ」
「当然です」
私は答えました。
「出したら勝ち、って話じゃありません」
「では?」
「判断材料に入れてください、って話です」
水野さんが黙りました。
私は続けます。
「伊藤さんは、工事途中の状態だけを見られてます。でも今は違うと言っています。本人が当日来られないからって、その事実まで消えるわけじゃないですよね」
「……それはそうだ」
倉田係長が先に言いました。
「書面は受け取る」
水野さんが係長を見る。
「係長」
「本人欠席だから意見なし、で片づける方が後で面倒だ」
出ました。
役所の実務的良心。
倉田係長、
最近かなり好きです。
「ただし」
係長は私を見る。
「感情だけ書いた長文は勘弁してくれ」
「そこは私も嫌です」
「本人がどこを争ってるか分かるようにしてくれ」
「はい」
「証拠は対応が分かるように」
「はい」
相馬先輩が横で小さく笑いました。
「お前ら、打ち合わせみたいになってるぞ」
確かに。
帰り道。
私は自転車を押しながら相馬先輩に聞きました。
「先輩」
「何だ」
「紙で意見を出すのって、この時代でも普通にあります?」
「ある」
「でも制度として全国共通に細かく整理されてるわけじゃない?」
「役所や処分による」
なるほど。
私は頭の中で未来と今を重ねます。
今は、
本人が来られない。
だったら書面を出そう。
証拠も添えよう。
そういう実務上の工夫としてやっている。
未来では、
それが明確なルールになる。
聴聞の期日への出頭に代えて、
期日までに、
主宰者へ、
陳述書と証拠書類等を提出できる。
制度が、
「来られない人にも席を残す」
形になる。
「行政法って」
私は呟きました。
「何だ」
「あとから名前をつけるんですね」
「何に」
「現場で先に困ってることに」
相馬先輩は少しだけこちらを見て、
「そういうもんだ」
と言いました。
事務所へ戻ると、
陳述書づくりが始まりました。
伊藤さんには、もう一度来てもらいました。
机の上には、
工事写真。
領収書。
施工業者の見積書。
簡単な配置図。
手帳。
行政からの通知書。
昭和の机、紙に占領される速度が異常です。
「まず」
私は言いました。
「役所が問題にしてることを、こっちでも整理します」
「はい」
「工事前の冷蔵設備と、衛生上の管理」
「はい」
「それに対して、伊藤さんは何を言いたいですか」
「今は直ってる」
「もっと具体的に」
「ええと……」
伊藤さんは写真を見ながら話し始めました。
「前は、冷蔵庫の裏が作業場と近すぎたんです。それで動線が悪いって言われました」
「はい」
「だから壁を一部直して、冷蔵庫をこっちへ移しました」
「完了日は?」
「十月十二日」
「役所が最後に見たのは?」
「十月七日」
五日違う。
その五日で現場が変わった。
「じゃあ」
私は書きます。
行政側が確認した十月七日時点では工事未了であり、
十月十二日に工事完了。
現在は冷蔵庫を移設し、作業動線を変更。
写真添付。
施工資料添付。
「次」
「食材の保管です」
「どう変えた?」
「ケースを分けました。日付も全部貼るようにしてます」
「記録は?」
「あります」
それも証拠。
「次」
相馬先輩が口を挟みます。
「本人が言いたいのは、“昔悪かったことは全部否定する”じゃないだろ」
伊藤さんが頷きました。
「はい」
「そこ、ちゃんと書いた方がいい」
私は手を止めました。
「前に問題があったことは認める」
「そうです」
「でも、改善した」
「はい」
「だから現在の状態を見ないまま営業停止を決めないでほしい」
「それです」
伊藤さんの顔が、少し明るくなりました。
言いたかったことが、
文章の形になった瞬間です。
たぶん、
これが陳述書の一番大事なところ。
立派な法律用語を書くことじゃない。
自分の言い分を、
相手が判断材料として読める形にする。
「最後に」
私は聞きました。
「三日間営業停止になったら、どんな影響があります?」
「仕出しの予約が入ってます」
「何件?」
「町内会と工場のお昼。全部で百二十食くらい」
「それも書きます?」
相馬先輩が言いました。
「処分の要否や重さを考える材料にはなる」
片桐所長が短く言います。
「ただし泣き落としにするな」
「はい」
事実として書く。
三日止まれば、
予約済みの仕出しが履行できない。
取引先にも影響が出る。
だから、
現状を確認した上で判断してほしい。
そこまで。
陳述書ができたのは、夕方でした。
伊藤さんは何度も読み返しました。
「これ、私が言ったことですよね」
「そうです」
「何だか、ちゃんとして見える」
「言ってることは最初からちゃんとしてました」
「でも私が話すと、ぐちゃぐちゃになるから」
「生活の話って、だいたいぐちゃぐちゃです」
私は言いました。
「だから紙に順番を作るんです」
伊藤さんは少し黙って、
それから笑いました。
「紙って、冷たいと思ってた」
「私もです」
「でも」
伊藤さんは陳述書を指で撫でました。
「今日は、ちょっと助かるね」
その言葉に、
私は胸の奥が少しだけ熱くなりました。
条文は冷たい。
書面も冷たい。
紙は何も慰めてくれない。
でも。
その冷たい紙だからこそ、
本人が会議室に座れなくても、
言い分だけは席に残れる。
二日後。
事情聴取の日。
伊藤さんは来ませんでした。
来られなかった。
母親の介護と、店。
生活は法律の日程表に合わせてはくれません。
でも。
机の上には、
伊藤さんの陳述書。
写真。
工事資料。
領収書。
記録。
全部がありました。
私は廊下で待っていました。
直接の出席者ではありません。
でも書面がどう扱われるかだけは気になる。
しばらくして、
水野さんが会議室から出てきました。
「朝比奈さん」
「はい」
「施工後の写真、確認しました」
「どうでした?」
「工事後は、前と状態が違います」
私は少し息をつきました。
「じゃあ」
「処分はまだ決めません」
「現地確認?」
「もう一度行きます」
よし。
心の中で小さく拳を握ります。
「営業停止は?」
「現地確認の後です」
「ありがとうございます」
「礼を言われることではありません」
「でも」
私は言いました。
「欠席だから意見なし、にならなくてよかったです」
水野さんは少しだけ苦い顔をしました。
「それは……最初の電話の言い方が雑でした」
認めた。
この人、最近ちゃんと認めるようになってきました。
「担当、誰でした?」
「若い職員です」
「怒らないであげてください」
「君が言うのか」
「私は役所の若手に優しいので」
「どの口が」
怒られました。
翌日。
水野さんたちは伊藤惣菜店を再確認しました。
設備は、
以前より改善していた。
ただし、
保管表示の一部や清掃記録にはまだ足りない点があった。
だから、
完全に問題なし。
とはなりませんでした。
でも三日間の営業停止は見送られ、
追加改善を求めた上で、
期限を切って再確認することになりました。
完全勝利ではない。
でも、
「来なかった人」
として処理されるはずだった伊藤さんが、
「言い分と証拠を出した人」
として判断された。
その違いは大きい。
夕方。
伊藤さんが事務所にやってきました。
手には重そうな紙袋。
「これ」
「何です?」
「コロッケ」
相馬先輩の顔が一瞬で明るくなりました。
「何個?」
「十二個」
「勝った」
「何にですか」
「前のプリンより多い」
「比較対象がおかしいです」
伊藤さんは笑いました。
「営業停止、なくなりました」
「はい」
「まだ直せって言われたところはあるけど」
「そこは直しましょう」
「うん」
伊藤さんは頷きます。
「でもね」
「はい」
「私、あの日行けなかったでしょ」
「はい」
「だから最初、もう終わりだと思ってた」
私は黙って聞きます。
「役所に行けない人間は、何も言えないんだと思ってた」
「……」
「でも紙で出していいって分かっただけで、すごく楽になった」
その言葉。
たぶん今日、一番大事です。
人は、
制度を全部知りたいわけじゃない。
自分にもまだ道がある。
それが分かるだけで、少し息ができる。
「こはるちゃん」
「はい」
「これからは、何かあったら書くよ」
「全部手紙で殴り込まないでくださいね」
「駄目?」
「内容によります」
「じゃあ先に相談する」
「それがいいです」
相馬先輩がコロッケを一つ取りました。
「うまい」
「早い!」
「揚げ物は温度が命だ」
「また鮮度論ですか」
「コロッケは正しいだろ」
悔しい。
今回は正しい。
所長も一つ取ります。
「伊藤さん」
「はい」
「書面は便利です」
「はい」
「でも万能じゃない」
伊藤さんが真顔になります。
「相手の説明をその場で聞けない。質問もできない。追加で聞かれたとき、すぐ答えられない」
「……そうですね」
「だから、出られるなら出た方がいい場合もある」
「はい」
「出られないときに、何も言えないわけじゃない。そこを間違えないことです」
短い。
でも全部入っています。
私は未来の行政手続法二十一条を思い出しました。
出頭に代えて、
聴聞の期日までに、
主宰者へ、
陳述書と証拠書類等を提出できる。
代わりに出す。
だから、
欠席。
イコール、
沈黙。
ではない。
ただし。
紙は紙。
その場で相手へ質問できるわけじゃない。
口頭のやり取りとは違う。
それぞれに利点と限界がある。
「今日の教訓」
私は呟きました。
相馬先輩がコロッケを食べながら言います。
「何だ」
「行けない人にも、言い分を置いてくる方法がある」
「長い」
「先輩、最近そればっかりですね」
私は少し考えて、
もっと短くしました。
――欠席は、沈黙じゃない。
所長が頷きました。
「それでいい」
伊藤さんが帰ったあと。
事務所は少し静かになりました。
机の上には、
残ったコロッケ。
私のノート。
そして、
今日の陳述書の控え。
私はその紙を眺めました。
未来では、
こういう仕組みにちゃんと名前がつく。
陳述書等の提出。
条文番号までつく。
でも昭和六十三年の今、
目の前にあるのは、
母親の介護で市役所に行けない惣菜屋さん。
ただそれだけです。
法律は、
あとから人の困りごとを整理する。
来られない。
でも言いたい。
証拠もある。
読んでほしい。
そんな当たり前の願いを、
未来の制度は、
「期日への出頭に代えて、陳述書および証拠書類等を提出できる」
という冷たい文章にする。
でも。
冷たいからこそ、
誰かの好意ではなく、
仕組みとして残る。
この人は忙しそうだから特別に。
この人は気の毒だから読んであげよう。
じゃない。
来られなくても、
言い分を出す道がある。
制度は、人を慰めません。
でも道だけは消さない。
それで救われる日があります。
「朝比奈」
「はい」
「最後のコロッケ」
相馬先輩が指差します。
一個。
「半分にします?」
「嫌だ」
「じゃんけん?」
「面倒だ」
「では書面で意見を提出します」
「何て書く」
私はメモ用紙を引き寄せました。
さらさらと一行。
相馬先輩殿。
本件コロッケについては、私が二個しか食べていない一方、貴殿は既に四個食べているため、残り一個を朝比奈こはるに帰属させるのが相当である。
証拠。
空になった相馬先輩の皿。
「提出します」
「却下」
「まだ読んでませんよ!」
「内容は分かった」
「書面審理が雑!」
奥から片桐所長が言いました。
「半分にしろ」
「またですか!」
最近この事務所、
最終処分が全部二分の一です。
でも。
少なくとも私は、
言い分を出す前に負けたことにはならなかった。
それだけで、
今日のところは十分でした。
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