[会社法・株主からの責任追及]現場編 「会社の金は俺のものだ」の嘘。たった一割の株主が暴く三千万円の横領疑惑と、逃げられない社長の誤算
会社の社長が、一番偉い。
そう思っている人は、少なくありません。
社員に命令できる。
会社のお金を動かせる。
取引先を選べる。
気に入らない人間を追い出すこともできる。
だから。
「この会社は俺のものだ!」
そう叫ぶ社長がいたとしても、不思議ではありません。
でも。
会社のお金は、本当に社長のものでしょうか。
社長が会社に損害を与えたとき、誰が責任を追及するのでしょうか。
そして。
会社そのものが、社長を訴えようとしなかったら?
昭和六十三年。
片桐行政書士事務所。
その日、私は一つの恐ろしい事実を知ることになります。
会社を守るために。
株主が、社長個人を追い詰めることができる。
しかも。
社長に反対する株主が、たった一人でも。
商法には、そんな武器が用意されていたのです。
「三千万円が、消えたんです」
朝九時。
事務所に飛び込んできた女性は、開口一番そう言いました。
「……三千万円?」
私は思わず聞き返しました。
女性の名前は、藤沢澄江さん。
四十二歳。
市内にある東海精密工業株式会社の株主です。
東海精密工業。
従業員三十五人。
自動車部品の金型を製造する町工場。
昭和の地方都市には、こういう会社がたくさんあります。
大企業を支える小さな工場。
油の匂い。
旋盤の音。
職人たちの手。
その積み重ねで、何十年も続いてきた会社です。
「主人が、あの会社を作ったんです」
澄江さんは言いました。
「十二年前に」
「ご主人が?」
「はい。でも三年前に亡くなって……」
私は黙りました。
また、相続が関係するのでしょうか。
「主人が持っていた株式の一部を、私が相続しました」
「何株ですか?」
「百株です」
「会社全体では?」
「千株です」
なるほど。
発行済株式の一割。
十パーセントです。
「私は経営には口を出さず、今の社長に任せてきました」
「今の社長は?」
「黒田剛三です」
五十五歳。
創業時からの営業担当。
ご主人が亡くなったあと、代表取締役に就任したそうです。
「最初は、いい人だったんです」
澄江さんがうつむきます。
「主人の葬儀でも、社員は家族だって言ってくれて」
「それが、どうして?」
澄江さんは封筒を取り出しました。
中には、数枚のコピー。
請求書。
振込控え。
取締役会議事録の写し。
「黒田社長が、会社のお金を自分の別会社へ移しているんです」
「別会社?」
「黒田商事という会社です」
私は請求書を見ました。
――経営指導料。
金額。
五百万円。
翌月。
五百万円。
さらに翌月。
五百万円。
六か月分。
合計三千万円。
「……経営指導料?」
「はい」
「何を指導したんですか?」
「それが、誰も知らないんです」
澄江さんは唇を噛みました。
「工場長も、経理の人も、指導を受けた覚えがないって」
私は資料をめくりました。
黒田商事。
代表者。
黒田剛三。
……。
ん?
「澄江さん」
「はい」
「この黒田商事の代表者って……」
「東海精密の社長と、同じ人です」
私は顔を上げました。
つまり。
東海精密工業の社長が。
自分の経営する別会社に。
毎月五百万円ずつ。
経営指導料という名目で、お金を支払わせている。
しかも。
実際に指導した形跡がない。
これは。
かなり嫌な匂いがします。
工場の油ではありません。
もっと、法律的に危険な匂いです。
「先輩!」
私は相馬先輩を呼びました。
「何だ、朝から」
「取締役の任務懈怠です!」
「あ?」
「会社に損害を与えた取締役は、会社に対して損害賠償責任を負います!」
「それで?」
「株主代表訴訟です!」
私は勢いよく立ち上がりました。
「会社法八百四十七条!」
……。
沈黙。
相馬先輩が、ゆっくりこちらを見ました。
「何法?」
「会社法です!」
「……こはる」
「はい!」
「そんな法律、どこにある?」
あ。
しまった。
またです。
また、やりました。
昭和六十三年。
ここには、現代の会社法がありません。
会社のルールは、商法第二編。
株式会社も。
取締役も。
株主総会も。
全部、商法の中です。
「あ、商法です!」
「最初からそう言え」
「はい……」
相馬先輩が六法を開きました。
「株主が取締役の責任を追及する訴えなら、商法二百六十七条だ」
「二百六十七条……」
私は慌ててノートに書きました。
商法二百六十七条。
株主による責任追及の訴え。
現代なら会社法八百四十七条に対応する制度です。
「それからな」
相馬先輩が言いました。
「この時代の株式会社は、発起人が七人以上必要だ」
「はい……」
「取締役も三人以上。監査役も必要だ」
「はい」
「社長一人で会社を作って、好き勝手に経営するなんて発想で考えるな」
私は肩を落としました。
現代なら。
発起人一人。
取締役一人。
資本金一円。
そんな株式会社も作れます。
合同会社という選択肢だってあります。
でも。
昭和六十三年には、その感覚が通用しません。
「だから頭数合わせが起きるんだよ」
相馬先輩が言いました。
「社長の親戚を取締役にする。知り合いに名前を貸してもらう。監査役も形だけ」
「……なるほど」
「人数だけ揃えて、実際は社長が全部決める」
私は澄江さんを見ました。
「東海精密も、そうなんですか?」
澄江さんは頷きました。
「取締役三人のうち、二人は黒田社長の身内です」
「監査役は?」
「黒田社長の昔からの知人です」
……。
見事なまでの、身内経営。
形式上は役員が揃っています。
でも。
社長を止める人がいない。
私は思いました。
会社の機関がいくつあっても。
全部が社長の言いなりなら。
一体、誰が会社を守るのでしょう。
「実は……」
澄江さんが、もう一枚の紙を取り出しました。
「社長に、会社のお金を返してほしいと頼んだんです」
「はい」
「そしたら……」
紙には、短い文章が書かれていました。
――経営判断は代表取締役の専権事項であり、少数株主が介入する余地はない。
――黒田商事との取引は正当な経営活動である。
――これ以上の異議申立ては、会社業務への妨害とみなす。
最後には。
――株式を売却して退社することを推奨する。
……。
「先輩」
「何だ」
「これ、ひどくないですか?」
「ひでえな」
「会社を作った人の奥さんに、出ていけって」
「それだけじゃねえ」
相馬先輩が紙を指差しました。
「少数株主だから口を出せない、ってところだ」
「はい」
「そこが一番危ねえ」
私は首をかしげました。
「どういうことですか?」
相馬先輩は言いました。
「多数決で勝てることと、法律違反を許されることは別だ」
……!
「社長が過半数の株式を握っていようが、取締役を身内で固めていようが、会社の財産を勝手に自分のものにしていいわけじゃねえ」
私は頷きました。
そのとおりです。
株式会社は、社長個人とは別の法人。
会社のお金は、会社のお金。
社長の財布ではありません。
「澄江さん」
片桐所長が、初めて口を開きました。
「この三千万円について、取締役会の承認はありますか」
「あると、社長は言っています」
「議事録は?」
「これです」
所長は写しを受け取りました。
そして。
ある一行で、手を止めました。
「……相馬」
「はい」
「これを見ろ」
相馬先輩が覗き込みます。
二人の表情が変わりました。
私は慌てて身を乗り出しました。
「何ですか?」
所長が指差したのは、議事録の末尾でした。
――出席取締役三名。
――本議案につき、出席取締役全員一致で承認した。
――黒田剛三、賛成。
……。
「これが?」
私が聞くと、相馬先輩が言いました。
「こはる。自分の会社との取引を、誰が承認してる?」
「黒田社長です」
「そうだな」
「……あっ!」
私は声を上げました。
利益相反取引!
会社と取締役の利害が衝突する取引です。
そして。
黒田社長自身が、特別の利害関係を持つ取締役に当たるなら。
その決議に、議決権を行使できないはずです。
「所長!」
「気づいたか」
「黒田社長の賛成を数に入れているんです!」
所長が頷きました。
「他の取締役がどう議決したかも確認する必要がある。だが、この議事録は危ない」
私は改めて紙を見ました。
全員一致。
いかにも立派な言葉です。
でも。
その一人が、議決に加わる資格のない取締役だったとしたら?
しかも、取引の実態がなかったとしたら?
……。
会社を守るための取締役会が。
会社からお金を抜くための、隠れ蓑になっているのかもしれません。
翌日。
澄江さんが、黒田社長から面会を求められました。
場所は、東海精密工業の応接室。
私と相馬先輩は、澄江さんから頼まれ、書類の確認に必要な事実関係を聞くために同行しました。
ただし。
代理人として交渉するわけではありません。
私たちは行政書士です。
紛争の示談交渉を引き受けたり、裁判で代理人になったりすることはできません。
それでも。
事実を確認し、依頼人の意思に基づく書面を整えることはできます。
応接室には、黒田剛三が座っていました。
大柄な男。
高そうな腕時計。
金色のネクタイピン。
いかにも昭和のワンマン社長です。
「藤沢さん」
黒田は笑いました。
「また面倒なことを言い出したそうじゃないですか」
澄江さんが膝の上で拳を握ります。
「会社のお金の使い道を、説明してください」
「説明?」
「三千万円です」
黒田は鼻で笑いました。
「たった一割の株主が、何を偉そうに」
出ました。
一割。
少数株主。
だから黙れ。
悪徳社長の定番です。
「会社はな」
黒田は机を指で叩きました。
「経営者が責任を持って動かすんだよ」
「でも……」
「黒田商事との取引だって、経営上の判断だ」
「仕事の内容を教えてください」
「企業秘密だ」
「請求書しか見せてもらえません」
「それで十分だ!」
黒田の声が大きくなりました。
「俺が法律だと言ってもいい。この会社は俺が動かしてるんだからな!」
……。
私は心の中で、そっと六法を開きました。
その台詞。
法律の神様が聞いたら、きっとため息をつきます。
「それに」
黒田は私たちを見ました。
「行政書士なんか連れてきて、何ができる?」
相馬先輩は黙っています。
「弁護士でもないくせに」
うわ。
また言われました。
「会社の金をどう使うかは、社長の自由だ」
黒田は笑いました。
「嫌なら株を売ればいい」
澄江さんが、静かに言いました。
「主人が残してくれた会社なんです」
「ああ?」
「売りたくありません」
「だったら黙って配当を待ってればいい」
「社員の皆さんが、一生懸命働いているんです」
その声が震えます。
「主人は、あの人たちを大事にしていました」
黒田は面倒くさそうに手を振りました。
「昔の話だ」
その瞬間。
私は思いました。
この人。
会社を、何だと思っているのでしょう。
工場で働く人がいる。
設備がある。
技術がある。
得意先がある。
何十年も積み上げた信用がある。
それを。
社長の椅子に座っただけで。
全部、自分のものだと思っている。
相馬先輩が、静かに口を開きました。
「黒田さん」
「何だ?」
「議事録の原本は保存されていますか」
「当然だ」
「契約書と、経営指導の実績を示す資料も?」
「あるに決まってる」
「そうですか」
相馬先輩は頷きました。
「では、そのお答えも事実確認の記録に残します」
「……何?」
「書面を作るためです」
黒田は笑いました。
「好きにしろ」
そして、勝ち誇った顔で言ったのです。
「たかが紙切れ一枚で、俺を追い出せると思うなよ」
私は相馬先輩を見ました。
先輩は何も言いませんでした。
ただ。
ほんの少しだけ。
口元を上げていました。
……。
あ。
これ。
相手が一番言ってはいけないことを言ったときの顔です。
「こはる」
事務所に戻ると、相馬先輩が言いました。
「はい」
「株主が社長の責任を追及する方法を言ってみろ」
「株主代表訴訟です!」
「それだけか?」
「え?」
「損害が出てから訴えるだけでいいのか?」
私は考えました。
損害。
すでに三千万円。
でも。
来月も五百万円が支払われる予定だとしたら。
「……止めなきゃ!」
「そうだ」
「違法行為の差止請求です!」
私は六法を開きました。
現代なら会社法三百六十条。
でも。
今は昭和六十三年。
商法二百七十二条。
取締役が会社の目的の範囲外の行為や、法令・定款に違反する行為をし、それによって会社に回復することのできない損害が生じるおそれがある場合。
一定の株主は、その行為の差止めを求めることができます。
「先輩!」
「何だ」
「三千万円の責任追及と、来月の五百万円の差止め!」
「そうだ」
「二つの武器ですね!」
「まだある」
「え?」
相馬先輩は、澄江さんの持ってきた資料を指差しました。
「そもそも、三千万円が本当に不正に流れたのか。全部の証拠があるか?」
私は黙りました。
請求書はある。
振込控えもある。
議事録の写しもある。
でも。
実際に経営指導が行われていないことを、完全に証明できているわけではありません。
黒田は企業秘密だと言っていました。
「会計帳簿を見れば……」
「見られるものには限界がある」
「じゃあ……」
相馬先輩が六法の別のページを開きました。
「商法二百九十四条」
私は読みました。
「検査役……?」
「そうだ」
検査役。
会社の業務や財産状況を調査するため、裁判所が選任する人です。
「そんな制度が!」
「ある」
「じゃあ、澄江さんの持株は……」
「一割だ」
私は目を見開きました。
発行済株式千株のうち、百株。
ちょうど十分の一。
昭和六十三年当時、会社の業務執行について不正などを疑うべき事情がある場合、発行済株式総数の十分の一以上を持つ株主は、裁判所に検査役の選任を求めることができました。
「……ぎりぎりですね」
「ああ」
「たった一株足りなくても?」
「その持株要件では足りねえ」
私は背筋が伸びました。
十パーセント。
ただの数字ではありません。
会社の内部に不正の疑いがあるとき。
株主が、裁判所による調査の扉を開くための数字だったのです。
「よし!」
私は拳を握りました。
「検査役に全部調べてもらいましょう!」
「待て」
「え?」
「俺たちが選任するんじゃねえ」
「あ」
「裁判所だ」
「はい……」
「それに、怪しいってだけで必ず選ばれるわけじゃねえ。資料を揃えて、不正を疑うべき事情を示す必要がある」
所長も頷きました。
「裁判所への申立ては、弁護士に相談する」
「はい!」
「我々は、その前提となる資料を整える」
所長は、机の上に三つの紙を並べました。
一つ目。
取締役の責任追及。
二つ目。
違法行為の差止め。
三つ目。
検査役による調査。
私は思わず声を上げました。
「三方向から!」
所長が頷きました。
「ただし、混同するな」
「はい?」
「過去の損害を取り戻すこと。将来の損害を防ぐこと。不正の証拠を調べること。それぞれ目的が違う」
私は紙を見つめました。
なるほど。
一つの悪事に。
三つの法律上の対抗手段。
これが、株主の武器なのです。
「では、書面を作るぞ」
片桐所長が言いました。
「はい!」
私は原稿用紙を用意しました。
まずは、会社に対する責任追及の請求です。
ただし。
「所長。株主代表訴訟って、すぐ起こせるんですよね?」
所長は首を振りました。
「原則として、まず会社に訴えを起こすよう請求する」
「あ……」
そうでした。
株主代表訴訟。
名前だけ見ると、株主がいきなり社長を訴える制度に見えます。
でも、違います。
本来、会社に損害を与えられたのなら。
責任を追及するのは会社自身です。
だから。
まず会社に、
――取締役の責任を追及する訴えを起こしてください。
と求める。
それでも会社が動かなかった場合に、株主が会社のために訴えることができる。
「会社法八百四十七条なら、六十日でしたよね……」
「何だって?」
相馬先輩が顔を上げました。
あっ。
また未来。
「い、いえ!」
私は慌てて昭和の六法をめくりました。
商法二百六十七条。
「……三十日?」
「そうだ」
私は固まりました。
三十日!
現代の制度とは違います。
昭和六十三年当時、会社への請求から三十日以内に会社が訴えを提起しなければ、株主は会社のために訴えを提起できる。
「……半分じゃないですか!」
「何が半分なんだ」
「い、いえ、こちらの話です!」
危ない。
また未来の制度を口走るところでした。
「それと」
相馬先輩が言いました。
「澄江さんは何年前から株主だ?」
「三年前からです」
「なら六か月以上という持株期間も満たしてる」
私は頷きました。
今回の事案では、そこも問題ありません。
所長が口を開きました。
「もっとも、差し迫った危険がある場合などには、別の扱いが問題になる。今日はまず、原則に従って進める」
「はい」
私は原案を書き始めました。
――取締役責任追及の訴え提起請求書。
宛先。
東海精密工業株式会社。
差出人。
株主・藤沢澄江。
第一。
通知人は、貴社発行済株式総数千株のうち百株を、三年前から継続して保有する株主である。
第二。
貴社代表取締役黒田剛三は、自らが代表する黒田商事との取引名目で、貴社から合計三千万円の支出を行わせた疑いがある。
第三。
右支出につき、実際の役務提供、取引条件の相当性及び適法な承認手続に疑義が存在する。
第四。
右行為が取締役の任務懈怠または法令違反等に該当し、貴社に損害を生じさせた場合には、当該取締役の会社に対する損害賠償責任が問題となる。
第五。
よって通知人は、商法第二百六十七条に基づき、貴社に対し、黒田剛三の責任を追及する訴えの提起を請求する。
――。
私は鉛筆を置きました。
「どうですか!」
相馬先輩が読みました。
「悪くねえ」
「本当ですか!」
「ただし、直すところがある」
やっぱり。
「まず」
先輩が指差しました。
「黒田商事との取引が全部架空だったと、まだ断定するな」
「はい」
「実際の役務提供の有無、金額の相当性、承認手続。調べるべき点を分けろ」
「はい!」
「それから、会社が訴える場合、誰が会社を代表するかも考えろ」
「代表取締役では?」
「相手は誰だ?」
「黒田社長です」
「その黒田を、黒田自身が会社代表として訴えるのか?」
……。
私は固まりました。
確かに。
おかしいです。
すると、片桐所長が言いました。
「監査役がいるな」
「はい」
「取締役に対する訴えでは、監査役が会社を代表する仕組みがある」
私は目を丸くしました。
「監査役が!」
「そうだ」
黒田社長の知人。
名前だけ貸しているような監査役。
でも。
法律上、監査役には会社を守るための役割がある。
その人が、社長に遠慮して何もしなかったら。
今度は、その職務の果たし方が問われることにもなり得るのです。
「所長……」
「何だ」
「会社って、逃げ道を塞ぐ仕組みが結構あるんですね」
所長は短く言いました。
「最初から、社長を信用しきっていないからな」
……。
なるほど。
人間は、間違える。
欲もある。
権力を持てば、暴走することもある。
だからこそ。
会社には、社長以外の人間が監督し、責任を追及する仕組みが必要なのです。
続いて。
私はもう一通の書面を作りました。
――違法行為差止請求に関する通知書。
こちらは、澄江さん本人の意思に基づく、黒田社長宛ての通知です。
私は読み上げました。
「貴殿は、黒田商事に対する経営指導料名目の支出を継続しているが、その取引実態及び承認手続には重大な疑義が存在する」
「うん」
「今後予定される支出についても、取引の適法性及び相当性が確認されないまま実行されれば、会社財産に重大な損害を与えるおそれがある」
「続けろ」
「貴殿の行為が法令または定款に違反し、会社に回復することのできない損害を生じさせるおそれがある場合には、商法第二百七十二条に基づく差止請求の対象となり得る」
相馬先輩が頷きました。
「そこで?」
「よって、通知人は、当該支出の中止を求めるとともに、必要に応じて弁護士を通じた法的手続を検討する」
「よし」
私は息を吐きました。
「これで二通!」
「まだ終わってねえ」
「ええっ!」
相馬先輩が資料の束を持ち上げました。
「検査役の話があるだろ」
そうでした。
三つ目の武器。
検査役。
ただし。
裁判所に提出する申立書そのものを、私たちが訴訟代理人として扱うわけにはいきません。
そこで、片桐所長は、弁護士へ引き継ぐための事実関係整理書を作ることにしました。
私は日付ごとに資料を並べました。
黒田社長の就任。
黒田商事との契約。
毎月の支払。
取締役会議事録。
澄江さんによる説明要求。
黒田社長の回答。
そして。
六か月分の振込記録。
「……こうして並べると」
私は呟きました。
「すごいですね」
相馬先輩が聞き返しました。
「何が?」
「毎月五百万円ずつ、きれいに並んでいます」
「そうだな」
「一回だけなら、事情があるのかもって思いますけど」
「うん」
「六回も続いてる」
しかも、経理担当者によると。
各月の支払日は、工場の資金繰りが苦しくなる時期と重なっていました。
設備の修理が先延ばしになる。
材料の仕入れを減らす。
残業代の支払が遅れそうになる。
それでも。
黒田商事への五百万円だけは、必ず振り込まれている。
私は、胸が苦しくなりました。
「先輩」
「何だ」
「会社のお金が減ると、困るのは株主だけじゃないんですね」
「ああ」
「社員も、取引先も……」
相馬先輩が頷きました。
「会社ってのは、社長一人でできてるわけじゃねえからな」
その言葉が、妙に胸に残りました。
三日後。
内容証明郵便が発送されました。
東海精密工業株式会社宛て。
そして。
黒田剛三個人宛て。
さらに、監査役にも関係書類の写しが届けられました。
送ったのは、ただの紙です。
警察が来たわけではありません。
裁判所が判決を出したわけでもありません。
会社の預金が、直ちに差し押さえられるわけでもありません。
でも。
その紙には。
黒田社長が無視してきた法律が、きちんと書かれていました。
商法二百六十七条。
取締役の責任追及。
商法二百七十二条。
違法行為の差止め。
商法二百九十四条。
検査役による調査。
そして。
取締役の会社に対する損害賠償責任。
そのすべてが。
黒田社長の、個人としての責任につながる可能性を示していたのです。
通知が届いた翌日。
黒田社長は、顧問の税理士と弁護士を呼びつけたそうです。
そのときの様子は、後日、澄江さんから聞きました。
「何だ、この内容証明は!」
黒田は書面を机に叩きつけました。
「株主代表訴訟だと?」
弁護士が静かに答えました。
「社長。これは無視できません」
「はあ?」
「会社が責任追及をしなければ、要件を満たした株主が会社のために訴えを起こすことがあります」
「たった一割の株主だぞ!」
「代表訴訟に必要なのは、過半数の株式ではありません」
黒田の顔が引きつりました。
「……何だと?」
「適法な請求を受けても会社が動かなければ、株主自身が原告となる道があります」
「待て!」
黒田は立ち上がりました。
「俺が社長だぞ!」
「だからこそ、取締役としての責任が問われます」
「会社の金を使っただけだ!」
「正当な取引なら、それを資料で説明してください」
「……」
「もし会社に損害を与えていれば、社長個人に賠償責任が生じる可能性があります」
黒田は黙りました。
弁護士は続けました。
「しかも、支払は来月も予定されていますね」
「あ、ああ」
「その支出が違法で、会社に回復不能の損害を生じさせるおそれがあるなら、差止めも問題になります」
「……!」
「それから、検査役です」
黒田の顔色が変わりました。
「検査役?」
「藤沢さんは発行済株式の一割を保有しています」
「それがどうした!」
「当時の商法二百九十四条に基づく申立ての持株要件を満たしています」
「……」
「不正を疑うべき事情が裁判所に認められれば、検査役が選任され、会社の業務や財産状況を調査する可能性があります」
黒田は椅子に座り直しました。
「……つまり」
「はい」
「会社の帳簿を、外の人間に調べられるのか?」
「裁判所が選任を認めれば、そうなり得ます」
黒田は、唇を舐めました。
「全部か?」
「必要な範囲で、調査が行われます」
「……」
税理士が、そっと口を開きました。
「社長。黒田商事への支払について、実際の指導報告書はありますか」
「……」
「契約どおりの業務を行った記録は?」
「……」
「請求書以外に、何か資料は?」
黒田は何も答えませんでした。
沈黙。
長い沈黙。
やがて。
黒田は、小さな声で言いました。
「……俺の会社なんだから」
弁護士が首を振りました。
「違います」
「……何?」
「東海精密工業は、社長個人とは別の法人です」
その一言が。
黒田剛三の胸に、初めて突き刺さったのでした。
その日の夕方。
片桐行政書士事務所に電話が入りました。
「はい、片桐行政書士事務所です!」
『……黒田だ』
私は背筋を伸ばしました。
あの社長です。
「少々お待ちください」
所長に代わります。
「片桐です」
『……内容証明を受け取った』
「はい」
『あの……』
黒田の声は、前に聞いたものとは別人のようでした。
『来月の黒田商事への支払は、止める』
私は思わず顔を上げました。
『それから、取引の件だが……』
所長は静かに聞いています。
『会社の顧問弁護士に、調査してもらうことにした』
「そうですか」
『監査役にも、資料を渡す』
「はい」
『……三千万円については、返還も含めて検討する』
私は拳を握りかけました。
やった!
でも。
相馬先輩が、横から小さく首を振りました。
まだ。
そうでした。
電話で言っただけ。
実際に支払を止めたか。
会社に損害がいくらあるか。
誰にどの責任があるか。
その確認は、これからです。
所長が言いました。
「その内容は、会社として正式な書面で明らかにしていただくのがよいでしょう」
『……分かった』
「当事務所は、株主からの請求に関する書類を作成した立場です。紛争上の具体的な協議は、ご本人及び弁護士の間でお願いします」
『ああ……』
電話が切れました。
私は所長を見ました。
「所長!」
「何だ」
「止めるって言いました!」
「ああ」
「五百万円!」
「まだ確認が必要だ」
「はい!」
相馬先輩が笑いました。
「嬉しそうだな」
「だって!」
私は言いました。
「会社のお金が、これ以上、勝手に持っていかれなくなるかもしれないんですよ!」
相馬先輩は頷きました。
「そうだな」
それから。
少しだけ真面目な顔で言いました。
「ただ、社長が折れたのは、俺たちが怖かったからじゃねえ」
「え?」
「商法が怖かったんだよ」
……。
商法。
あの分厚い六法の中にある、古臭い条文。
現代の私には、読みにくくて仕方がない文章。
でも。
そこには。
社長の暴走を止めるための仕組みが、確かに存在していたのです。
それから二週間。
東海精密工業では、臨時の取締役会が開かれました。
黒田商事への支払停止。
関連取引の調査。
会社財産の保全。
これらが議題になりました。
もっとも。
問題の取引に関して、黒田社長自身は特別の利害関係を持つ立場です。
その議決権を当然に数へ入れることはできません。
片桐所長は、会社から依頼された行政書士が議事録の作成を担当する場合にも、手続の適法性を確認する必要があると説明しました。
今回、私たちは澄江さん側の資料整理に徹し、会社側の書類作成は別の担当者に委ねることになりました。
その後、会社側の調査で、黒田商事への支払の一部について、裏付けとなる業務実績が存在しないことが判明しました。
三千万円の全額が、直ちに損害として確定したわけではありません。
でも。
説明できない支出がある。
承認手続にも疑義がある。
その事実は、重く受け止められました。
黒田社長は、弁護士を通じ、問題となった支出について返還する方向で会社と協議する意思を示しました。
さらに。
後日開かれた株主総会で、黒田は取締役を辞任することになりました。
そして、新しい経営体制が整えられたのです。
結局、澄江さんが自ら株主代表訴訟を起こす前に、会社が問題を調査し、責任追及を進めることになりました。
検査役選任の申立ても、実際には行われませんでした。
でも。
それは、法律の武器が無駄だったという意味ではありません。
むしろ。
その武器が存在したからこそ。
社長も、監査役も、会社も。
それまで放置していた問題を、無視できなくなったのです。
一か月後。
澄江さんが、再び事務所に来ました。
今日は、少し明るい顔です。
「ありがとうございました」
そう言って、深く頭を下げました。
「工場、続けられそうです」
「本当ですか!」
私は思わず笑顔になりました。
「はい。新しい社長が、従業員の皆さんと話し合ってくれて」
澄江さんは一枚の写真を取り出しました。
工場の前。
作業着姿の社員たち。
その真ん中には、古い看板。
――東海精密工業株式会社。
「この看板、主人が作ったんです」
「ご主人が?」
「はい」
写真の看板は、少し錆びていました。
文字もかすれています。
「主人は、よく言っていました」
澄江さんが微笑みます。
「会社は社長のものじゃない、って」
私は顔を上げました。
「社員が働いてくれて、取引先が信用してくれて、株主が支えてくれる」
澄江さんは写真を撫でました。
「だから、預かっているつもりで経営しなさいって」
私は黙りました。
「黒田さんも、昔はその言葉を聞いていたはずなんです」
「……そうなんですね」
「でも、忘れてしまったんでしょうね」
澄江さんは少し寂しそうに笑いました。
「私は、社長になりたいわけじゃないんです」
「はい」
「会社を乗っ取りたいわけでもないんです」
「はい」
「ただ、主人が残した会社を、ちゃんとした会社のまま残したかった」
私は頷きました。
たった一割の株主。
経営権はない。
代表取締役でもない。
取締役会に出席して議決する立場でもない。
でも。
会社を大切に思う気持ちは、誰にも負けなかった。
そして。
その一割が。
会社を守るための、大きな力になったのです。
澄江さんが帰ったあと。
私は机の上の六法を開きました。
「相馬先輩」
「何だ」
「株主って、すごいですね」
「今さらか」
「だって、社長に命令できないのに」
「うん」
「社長の責任を追及できるんですよ」
「そうだな」
「しかも、社長が会社のお金を無駄に使おうとしたら、止めることもできる」
「要件を満たせばな」
「不正が疑われたら、裁判所に検査役を選んでもらう道もある」
「ああ」
私は、三つの言葉を書きました。
株主代表訴訟。
違法行為の差止請求。
検査役による調査。
そして。
ふと思いました。
「先輩」
「何だ」
「これ、順番が大事ですね」
「ほう?」
「もう会社に損害が出たら、責任を追及する」
「うん」
「まだ損害が広がりそうなら、止める」
「うん」
「そもそも何が起きているか分からなければ、調べる」
相馬先輩が頷きました。
「そうだ」
私は嬉しくなりました。
単なる条文の暗記ではありません。
会社に何が起きているかによって、使う武器が変わる。
過去。
未来。
そして、事実の解明。
三つの方向から、会社を守るのです。
「でも」
私は言いました。
「昭和の商法って、意外とちゃんとしてますね」
「意外とは何だ」
「だって、発起人七人とか、取締役三人とか、面倒なルールばかりだと思ってました」
「まあ、面倒なのは確かだ」
「でも、その裏で、社長の暴走を防ぐ制度もちゃんとある」
相馬先輩が頷きました。
「そうだな」
片桐所長が、静かに口を開きました。
「会社は、人が動かす」
「はい」
「だが、人は欲を持つ」
「はい」
「だから、社長一人の善意だけに頼るわけにはいかん」
私は頷きました。
会社という法人。
それは、人間ではありません。
怒ることもできない。
泣くこともできない。
誰かに助けを求める声も出せません。
だからこそ。
株主。
取締役。
監査役。
そして、裁判所。
それぞれの立場から、会社を守る仕組みが作られている。
「所長」
「何だ」
「法律って、会社にも味方してくれるんですね」
所長は頷きました。
「会社の財産は、社長の財布ではない」
短い言葉でした。
でも。
今日の事件を、すべて説明しているような気がしました。
「ところで」
相馬先輩が言いました。
「はい?」
「黒田社長が最後に何を間違えたか、分かるか?」
私は考えました。
「会社のお金を、自分のものだと思ったことです」
「それもある」
「株主を、持株が少ないからって馬鹿にしたことです」
「そうだな」
「あと……」
私は、議事録の写しを思い出しました。
――出席取締役全員一致。
あの一行。
私は顔を上げました。
「自分が議決に加われない可能性があるのに、自分の賛成まで数に入れてしまったこと!」
「そうだ」
相馬先輩が笑いました。
「しかも、その記録をきちんと残してた」
「……自分で証拠を作っちゃったんですね」
「そういうことだ」
私は思わず苦笑しました。
悪いことをした人ほど。
書類を軽く考えることがあります。
でも。
書類には、日付が残る。
名前が残る。
金額が残る。
議決の経過が残る。
そして。
本人が説明できない事実まで、残ってしまう。
「やっぱり怖いですね、議事録って」
「怖いのは、間違った決議をすることだ」
「はい……」
相馬先輩が言いました。
「社長が一番偉いんじゃねえ」
私は顔を上げました。
「商法を守った奴が勝つんだよ」
……。
格好いい。
今日の先輩、ちょっと格好いいです。
口には出しませんけど。
夕方。
私は一人、窓の外を見ていました。
昭和六十三年。
工場の煙突から、白い煙が上がっています。
夕暮れの町を、自転車に乗った作業員たちが帰っていきます。
あの中には。
東海精密工業の社員もいるのでしょう。
今日も旋盤を回した人。
金型を磨いた人。
製品を検査した人。
納期に間に合わせようと、汗を流した人。
その人たちが働く会社から。
毎月五百万円が、説明のつかないまま消えていた。
でも。
たった一人の株主が、声を上げた。
そして。
商法の条文が、その声に力を与えた。
私はノートを開きました。
表紙には、こう書いてあります。
――こはるノート・商法編。
その最後に。
今日の一行を書きました。
――会社を傷つける社長は、会社の主人ではない。株主は、訴え、止め、調べる道を持っている。
「……よし!」
私は鉛筆を置きました。
これなら忘れません。
株主代表訴訟。
差止請求。
検査役。
三つの武器。
それぞれ、守る場面が違う。
しかも。
昭和と現代では、条文番号だけでなく、必要な期間や持株割合まで違う。
……。
あれ?
私は、少し嫌な予感がしました。
「相馬先輩!」
「何だ!」
「現代の会社法だと、株主代表訴訟は会社への請求から六十日ですよね!」
「また未来の話か!」
「昭和は三十日!」
「そうだ!」
「それから、検査役の持株割合も、現代は原則三パーセント以上の議決権か株式数!」
「今は十分の一だ!」
「つまり、現代と昭和で数字が違う!」
「さっきからそう言ってるだろ!」
私は頭を抱えました。
「試験で絶対に混乱します!」
「今は昭和だ!」
「でも私の頭は令和なんです!」
「知るか!」
相馬先輩が呆れた顔をしました。
片桐所長は、黙って帳簿を閉じました。
そして。
「こはる」
「はい!」
「数字は、制度と一緒に覚えろ」
「……制度と?」
「そうだ」
所長は言いました。
「誰が、何を、何のために請求するのか」
「はい」
「それが分かっていれば、数字もただの暗記ではなくなる」
私は、ゆっくり頷きました。
なるほど。
株主代表訴訟は。
会社が取締役の責任を追及しないときの武器。
差止請求は。
違法行為によって会社が取り返しのつかない損害を受ける前に使う武器。
検査役は。
不正の疑いがある会社の内部を調べるための武器。
それぞれ、意味がある。
そして、その意味を理解してから数字を覚えれば。
きっと、頭にも残るはずです。
「所長!」
「何だ」
「明日の法理編……じゃなくて、勉強会で、全部整理します!」
「そうしろ」
相馬先輩が眉をひそめました。
「また勉強会かよ」
「はい!」
「俺は参加しねえぞ」
「先輩も参加です!」
「勝手に決めるな!」
私は笑いました。
でも。
明日は、少し難しくなりそうです。
株主代表訴訟の手続。
差止請求の要件。
検査役の持株割合。
昭和の商法と現代の会社法の違い。
そして。
なぜ、会社を守るために、株主がこれほど多くの武器を与えられているのか。
整理しなければならないことが、山ほどあります。
そのとき。
電話が鳴りました。
「はい、片桐行政書士事務所です!」
『あのう……』
男性の声。
『うちの会社の社長が、勝手に会社名義の土地を売ろうとしているんですが……』
私は固まりました。
……。
今度は。
土地?
『しかも、買主が社長の息子の会社で……』
……。
利益相反。
またです。
『取締役会も開いていないみたいなんです』
私は、ゆっくり相馬先輩を見ました。
先輩も、こちらを見ました。
「先輩」
「何だ」
「また、社長が会社を自分の財布だと思ってます」
「そうらしいな」
「しかも土地です」
「聞こえてる」
「まだ売ってないみたいです!」
相馬先輩が立ち上がりました。
「だったら、先にやることがあるだろ」
私は頷きました。
そうです。
まだ売っていない。
ならば。
損害が発生する前に、止められる可能性がある。
「差止めですね!」
「要件を調べろよ」
「はい!」
私は相談票を取り出しました。
昭和六十三年。
商法の世界は、今日も社長の思いどおりにはなりません。
会社の金は俺のものだ。
会社の土地は俺のものだ。
会社の株主は黙っていろ。
そう叫ぶ人ほど。
商法を開いた瞬間、顔色が変わることがあります。
なぜなら。
会社は、社長の所有物ではないからです。
そして。
社長が会社を傷つけようとしたとき。
たった一人の株主でも。
法律の定める要件を満たせば、その行為に立ち向かうことができるのです。
「相馬先輩!」
「今度は何だ!」
「やっぱり商法って、面白いですね!」
「面白がってる暇があったら、相談票を取れ!」
「はいっ!」
私は受話器を握り直しました。
法律の勉強は、まだまだ続きそうです。
ただし。
次からは、社長の肩書に怯える前に。
定款を見ます。
議事録を見ます。
株主の持株数を確認します。
そして。
誰が、会社に損害を与えようとしているのか。
そこを、きちんと確かめます。
だって。
「俺が社長だ」
その一言だけで。
何十人もの社員が汗を流して築き上げた会社を、好き勝手に壊していいほど。
昭和の商法は、甘い法律ではないのです。
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