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こはる行政書士見習帖 〜 昭和に転生して許認可に振り回されると試験知識が骨身にしみます 〜  作者: 条文小説
〈商法・会社法 配点20点/300点〉 株式

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622/701

[会社法・種類株式と特別の定めのある株式]法理編 こはるノート

挿絵(By みてみん)

 たった一株で、会社の重要な決定を止められる。


 そんな株式が存在すると聞いたら、どう思うでしょうか。


 普通の株主が何百人集まって賛成しても。


 ある特別な株主が反対すれば、決定できない。


 まるで魔法のような株式です。


 でも。


 その魔法には、きちんと法律上の仕組みがあります。


 株式は、会社への出資を表すもの。


 そして、その株式にどんな権利を持たせるかは、会社の経営に大きな影響を与えるのです。


 昭和六十三年。


 夕方の片桐行政書士事務所。


 私は、机の上に二冊のノートを並べていました。


 一冊は、昨日の事件記録。


 もう一冊は。


 ――こはるノート・商法編。


「……株って、怖いですね」


 私が呟くと、相馬先輩が新聞から顔を上げました。


「いきなり何だ」


「たった一株で、会社を支配できる仕組みがあるんですよ」


「また黄金株とかいう話か?」


「そうです!」


 私は勢いよく頷きました。


「でも、昨日の村瀬精機の社長は失敗しました」


「ああ」


「自分の持っている一株に、何でも拒否できる特別な権利をつけようとしたんですよね」


「そうだな」


「しかも、亡くなった創業者が奥さんに残した優先株式まで、勝手に普通の株にしようとした」


 私は事件記録を開きました。


 株式会社村瀬精機。


 従業員三十二人。


 普通株式八百株。


 優先株式百二十株。


 合計九百二十株。


 相談者は、創業者の妻、村瀬文子さん。


 亡き夫から受け継いだ百二十株の優先株式を持っていました。


 ところが。


 二代目社長の村瀬剛志は、優先配当の権利を廃止すると宣言。


 さらに。


 自分の保有する一株に、特別拒否権をつけると言い出したのです。


「社長、すごい自信でしたよね」


 私が言うと、相馬先輩が鼻で笑いました。


「ああ。自信だけは立派だったな」


「でも、結果は?」


「優先配当の権利を消す定款変更は、必要な種類株主総会の決議を欠いていた」


「はい!」


「それに、あの社長が作ろうとした拒否権株式も、今の商法じゃ認められる内容じゃなかった」


「そうです!」


 私は鉛筆を握りました。


「今日は、この二つを完全に整理します!」


「二つ?」


「全部の株式に共通する特別な内容と、種類株式です!」


 相馬先輩が眉をひそめました。


「……また聞き慣れねえ言い方だな」


 しまった。


 現代の会社法第百七条と第百八条。


 私は、頭の中でその二つを並べていたのでした。


「まあ、未来の話も勉強です!」


「お前はどこの未来を生きてるんだよ」


 そこへ。


 片桐所長が奥から声をかけました。


「相馬」


「はい」


「付き合ってやれ」


「……所長まで」


 よし。


 本日も。


 強制勉強会、開催です。


「まず、大前提です!」


 私はノートに大きく書きました。


 ――株主平等の原則。


「株主は、原則として平等に扱われます」


「そうだな」


「ただし、株主全員が同じ金額を受け取るという意味ではありません」


 相馬先輩が頷きました。


「百株持ってる奴と、一株しか持ってねえ奴が同じ配当を受け取るとは限らねえからな」


「はい!」


 現代の会社法第百九条。


 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければならない。


 ここが基本です。


 同じ内容の株式を百株持つ人。


 同じ株式を十株持つ人。


 同じ株式を一株持つ人。


 それぞれの権利は、基本的に株式数に応じて考えられます。


「でも、先輩」


「何だ」


「株式の内容自体が違う場合はどうでしょう?」


「優先株式みてえな場合か」


「そうです」


 私はノートに二つの丸を描きました。


 普通株式。


 優先株式。


「普通株式は、一株につき百円の配当」


「うん」


「優先株式は、一株につき百二十円の配当」


「なるほど」


「これって、株主平等に反するんでしょうか?」


 相馬先輩は首を振りました。


「最初から株式の内容が違うんだろ」


「そうなんです!」


 私は丸をつけました。


 株主平等。


 だからすべての株式が同一内容でなければならない。


 これは違います。


 法律が認める範囲で、定款により内容の異なる株式を発行することができるのです。


「では、なぜそんなことをするのか?」


 私は自分で問いかけました。


 会社には、いろいろな事情があります。


 経営には関わりたくないけれど、配当は多く欲しい人。


 多少配当が少なくても、会社の経営を守りたい人。


 出資したお金を、一定の条件で回収できるようにしたい人。


 会社が成長したら、別の株式に切り替えたい人。


 そうした違いに応えるために、特別な内容を持つ株式があるのです。


「つまり」


 私は言いました。


「株式は、全部同じ性質である必要はないんです」


「そういうことだな」


 そこで片桐所長が口を開きました。


「こはる」


「はい」


「ただし、何でも定款に書けば認められるわけではない」


「……!」


「昨日の社長のようにな」


 私は頷きました。


 そうです。


 株主平等の原則に例外がある。


 だからといって。


 社長が好き勝手に株式の権利を作ってよいわけではありません。


 法律の認める範囲。


 定款の定め。


 必要な決議。


 この三つが大切なのです。


「では、最初の大きな分類です!」


 私はノートを開きました。


 ――全部の株式に共通する特別な内容。


 現代の会社法第百七条。


 ここには、三つの類型があります。


 一つ目。


 譲渡制限株式。


 二つ目。


 取得請求権付株式。


 三つ目。


 取得条項付株式。


「……名前が似ていますね」


 相馬先輩が言いました。


「そうなんですよ!」


 私は思わず机を叩きました。


「取得請求権と取得条項!」


「何が違うんだ」


「誰が動くかです!」


 私は赤鉛筆を取りました。


 でも、その前に。


「先輩、譲渡制限からいきましょう」


「ああ」


「ちょうど昨日、電話で相談がありましたよね」


 自分の株式を友人に売ろうとしたら、社長に止められたという男性。


 あの相談。


 株式譲渡制限の典型例でした。


「株式は、原則として自由に譲渡できます」


「そうだな」


「でも、小さな家族経営の会社では、知らない人が突然株主になると困る場合があります」


 たとえば。


 親子で経営している町工場。


 父親が六十株。


 息子が四十株。


 そんな会社で、息子が敵対する同業者に四十株を売ってしまったら。


 会社の経営に、大きな影響が出るかもしれません。


「そこで、定款で譲渡による取得について会社の承認を要すると定めるんです」


「なるほど」


「これが譲渡制限株式です」


 私は書きました。


 ――譲渡制限は、会社が望まない者の株主参加を防ぐ仕組み。


「ただし、株式を絶対に売れなくする制度ではありません」


「ほう」


「ここが重要です」


 会社の承認がない場合でも、譲渡当事者間では原則として有効です。


 ただし。


 会社との関係では、その譲受人が株主として認められるかが問題になります。


 現代の会社法では、承認手続や株主名簿の名義書換について、具体的な制度が整えられています。


「つまり、友達同士で売買したことと、会社が新しい株主として認めることは別なんですね」


「そういうことだ」


 私は頷きました。


 昨日の電話の相談者にも、まず定款を確認する必要があったのです。


「では先輩、ここで問題です!」


「何だよ」


「発行する全部の株式に譲渡制限をつける場合、その会社は現代の会社法でいう公開会社でしょうか?」


「……公開してねえ会社だろ」


「正解です!」


 現代の会社法では、発行する全部の株式について譲渡による取得に会社の承認を要する会社は、公開会社ではありません。


 反対に。


 一部の種類株式だけに譲渡制限を付けることは、公開会社でも可能です。


「これ、ややこしいですよね」


「確かにな」


「公開会社だから、譲渡制限株式は一株も発行できない、というわけではないんです」


 私はノートに書きました。


 全部に譲渡制限。


 非公開会社。


 一部に譲渡制限。


 公開会社でも可能。


「ただし、先輩」


「何だ」


「昭和六十三年には、現代の公開会社・非公開会社という区分をそのまま持ち込んではいけません」


「お前が一番気をつけろよ」


「はい……」


 昭和の商法でも、定款によって株式譲渡に取締役会の承認を必要とする制度は存在していました。


 でも。


 現代のように、株式の一部にだけ譲渡制限を付ける制度を、同じ形で自由に使えるわけではありません。


 そこが。


 制度の進化による違いなのです。


「次は、取得請求権付株式です!」


 私は鉛筆を持ち直しました。


「これは、株主の側から会社に対して、自分の株式を取得してくださいと請求できる仕組みです」


 相馬先輩が頷きました。


「株主が動くわけだな」


「はい!」


 たとえば。


 ある会社に出資した人がいました。


 その人は、しばらく会社を応援したい。


 でも、将来は一定の条件で投資を回収したい。


 そんな場合。


 取得請求権付株式という仕組みが役に立つことがあります。


「ただし!」


 私は赤線を引きました。


「単に、株主がいつでも好きな金額で買い取れと言える制度ではありません」


「そうなのか?」


「そうです」


 会社が株式を取得する際の条件。


 取得の対価。


 必要な手続。


 これらを定款などの法定の仕組みに従って定める必要があります。


 対価は、金銭とは限りません。


 ほかの種類の株式。


 社債。


 新株予約権。


 その他、法律上認められる財産など。


 いろいろな設計が可能です。


「つまり」


 私は言いました。


「株主からの請求が出発点なんです」


 次。


 取得条項付株式。


「こちらは、一定の事由が生じたことを条件として、会社が株式を取得できる仕組みです」


「今度は会社が動くのか」


「そうです!」


 私はノートに矢印を描きました。


 取得請求権付株式。


 株主から会社へ。


 取得条項付株式。


 会社が定款所定の事由に基づいて取得。


「なるほど」


 相馬先輩が頷きました。


「誰が取得のきっかけを作るか、そこを覚えればいいわけだな」


「はい!」


 もちろん、取得条項があるからといって、会社がその場の気分で一株千円などと決め、無制限に株式を取り上げられるわけではありません。


 あらかじめ定めた取得事由。


 対価。


 法令上の手続。


 それらに従う必要があります。


「昨日の剛志社長にも教えてあげたいですね」


 私が言うと、相馬先輩が笑いました。


「あいつなら、会社が欲しいと言えば何でも取り上げられると思いそうだな」


「ですよね!」


 そして、ここも重要です。


 会社が自己株式を取得することと、その株式を消却することは別の行為です。


 取得した自己株式を、会社が必ず消却するわけではありません。


「こはる」


 片桐所長が言いました。


「取得と消却を混同するな」


「はい!」


 私は大きく書きました。


 ――取得は会社が株式を手に入れること。消却は株式を消滅させること。


 よし。


 ここも覚えました。


「では、いよいよ本命です!」


 私はページをめくりました。


 ――種類株式。


 現代の会社法第百八条。


「これは、内容の異なる二種類以上の株式を発行する仕組みです」


「村瀬精機の普通株式と優先株式だな」


「そうです!」


 私は昨日の事件記録を開きました。


 村瀬精機には、普通株式八百株と、優先株式百二十株がありました。


 文子さんの百二十株には、普通株式より優先して配当を受けられる内容が定款に定められていました。


 それを社長が一方的に消そうとした。


「だから、種類株主総会が問題になったわけですね」


「ああ」


 私は頷きました。


 でも。


 現代の種類株式は、配当だけではありません。


 会社法第百八条には、九つの類型があります。


「先輩!」


「何だ」


「今日は、全部覚えます!」


「九つもあるのか」


「あります!」


「長くなりそうだな……」


 私は笑いました。


 でも大丈夫。


 今回の事件を思い出せば、九つの株式が何のためにあるのか、きっと分かるはずです。


「一つ目。剰余金の配当に関する種類株式!」


 これは、文子さんが持っていた優先株式に関係します。


 会社が剰余金の配当をするとき。


 普通株式より有利な扱いを受ける株式。


 優先株式。


 反対に。


 普通株式より不利な扱いを受ける株式。


 劣後株式。


「たとえば、普通株式一株に百円の配当をする場合」


「うん」


「優先株式には百二十円」


「うん」


「劣後株式には八十円」


 私は三つの金額を書きました。


「ただし、これは説明のための例です。実際には定款に定めた内容や配当可能額などに従います」


「そうだな」


 ここで大切なのは。


 配当について、異なる内容を設けられるということ。


 村瀬精機の創業者は、この仕組みを使って妻の苦労に報いようとしたのです。


「先輩、もし優先株式なら、会社が赤字でも必ず配当されるんでしょうか?」


「いや、そりゃ無理だろ」


「正解です!」


 株式の権利があるからといって、会社の財産を無制限に分配できるわけではありません。


 債権者保護のため、配当には法令上の制限があります。


 優先株式は、会社のお金を無条件に引き出せる券ではないのです。


「そして二つ目!」


 私は続けました。


 ――残余財産の分配に関する種類株式。


「会社が解散して清算するとき、残った財産をどう分けるかに関する株式です」


「なるほど」


 たとえば。


 会社が事業を終えることになった。


 会社の財産を整理し、債務を弁済する。


 その後に残余財産があれば、株主への分配が問題になります。


「そのとき、普通株式より優先して分配を受けられる株式も作れるんです」


「配当の優先と似てるな」


「そうです!」


 でも。


 配当と残余財産は別のもの。


 営業中の剰余金配当。


 清算時の残余財産分配。


 ここを混同してはいけません。


「そして、先輩」


「何だ」


「この二つには、重要なルールがあります」


 現代の会社法第百五条第二項。


 株主に対して、剰余金の配当を受ける権利と、残余財産の分配を受ける権利。


 その両方を、全部与えないという内容は認められていません。


「つまり?」


 相馬先輩が聞きました。


「配当もゼロ。残余財産の分配もゼロ。その両方の経済的権利を完全に奪うことはできない、ということです」


「なるほどな」


 私は頷きました。


 議決権を制限することはあり得ます。


 配当を受けない株式を設けることも、一定の範囲で可能です。


 残余財産分配について不利な内容にすることもあります。


 でも。


 配当と残余財産分配の両方を完全に否定することはできない。


「会社への出資なのに、経済的権利を両方とも完全に失うのはおかしいですからね」


「そうだな」


 私は大きく丸をつけました。


 ――配当と残余財産、両方全部なしは駄目。


 これは試験でも忘れたくありません。


「三つ目。議決権の制限に関する種類株式!」


 私は書きました。


 ――議決権制限株式。


「株主総会で議決権を行使できる事項を制限する仕組みです」


 相馬先輩が首をかしげました。


「株主なのに、投票できねえのか?」


「そういう種類株式もあるんです」


 たとえば。


 会社へ出資したい投資家がいました。


 その人は、配当を受け取れれば十分。


 会社の経営方針や役員選任には、特に関心がありません。


 そんな場合。


 議決権を制限する代わりに、配当について優先的な内容を設けることがあります。


「なるほど。金は出すが、経営には口を出さねえってわけだ」


「そうです!」


 議決権の全部を制限することも、特定の事項だけを制限することも、法律上の条件に従って設計できます。


「でも、ここで注意です!」


 私は赤線を引きました。


 公開会社では、議決権制限株式について特別な規制があります。


 現代の会社法第百十五条。


 株主総会の決議事項の全部について議決権を行使できない種類株式の数が、発行済株式総数の二分の一を超えた場合。


 会社は、直ちに二分の一以下にするための必要な措置を講じなければなりません。


「半分ですか」


 相馬先輩が言いました。


「はい!」


 たとえば。


 発行済株式総数が一千株。


 そのうち六百株が、すべての事項について議決権を行使できない株式。


「これは二分の一を超えています」


「そうだな」


「だから、公開会社では必要な措置を講じなければならないんです」


 ただし、この二分の一の制限は、すべての株式会社に同じように適用されるわけではありません。


 現代の会社法でいう公開会社についての規制です。


「……株主の権利って、よく考えられてるんですね」


 私が言うと、所長が頷きました。


「議決権を持つ株主が極端に少なくなることには、問題があるからな」


 私はノートに書きました。


 ――公開会社の議決権制限株式は、二分の一の規制に注意。


 これで三つ。


「四つ目は、譲渡制限付種類株式です」


 私はページをめくりました。


「これは、さっきの譲渡制限を、一部の種類株式に付ける場合ですね」


「そうだな」


 全部の株式に譲渡制限を付ける場合。


 一部の種類株式だけに譲渡制限を付ける場合。


 この二つを区別します。


「五つ目は、取得請求権付種類株式」


「株主から請求する方だな」


「正解です!」


「六つ目は、取得条項付種類株式」


「一定の事由が起きたら、会社が取得できる方だな」


「正解!」


 私は嬉しくなりました。


 相馬先輩。


 ちゃんと覚えています。


「褒めろって顔するな」


「まだ何も言ってません!」


「顔に書いてある」


 私は笑いました。


 さて。


 ここまで六つ。


 残り三つは、会社の支配や再編に深く関係する株式です。


 そして。


 昨日の剛志社長が欲しがっていた黄金株も、ここに登場します。


「七つ目。全部取得条項付種類株式!」


 私は書きました。


 ――全部取得条項付種類株式。


「長い名前だな」


「そうなんですよ……」


 相馬先輩が苦笑しました。


「取得条項付種類株式と何が違う?」


「そこが重要です!」


 私は二つを並べました。


 取得条項付種類株式。


 定款に定めた一定の事由が生じることを条件として会社が取得する。


 全部取得条項付種類株式。


 株主総会の特別決議によって、その種類株式の全部を会社が取得できる。


「つまり、きっかけが違うわけだな」


「そうです!」


 取得条項付種類株式は、あらかじめ定められた取得事由に基づきます。


 一方。


 全部取得条項付種類株式は、株主総会の特別決議が重要になります。


 もちろん、法定の手続や対価の規律などを守る必要があります。


「どういうときに使うんだ?」


 相馬先輩が尋ねました。


「たとえば、企業再生や株主構成の整理などです」


 会社の経営が悪化した。


 資金を入れて、立て直さなければならない。


 でも、既存の資本関係が複雑で、新しい出資を受け入れにくい。


 そんな場面では、法定の制度を組み合わせて、株式構成を再編することがあります。


「ただし!」


 私は声を強めました。


「全部取得条項付種類株式を取得しただけで、自動的に資本金がゼロになるわけではありません」


「そうなのか?」


「そうです」


 自己株式の取得。


 自己株式の消却。


 資本金の額の減少。


 新株発行。


 これらは、それぞれ別の手続です。


「企業再生で一緒に使うことはあっても、全部同じものではないんです」


「なるほどな」


 私は頷きました。


 たとえば。


 百パーセント減資という言葉。


 これも、資本金の額を減らすことと、株式そのものをどう扱うかを分けて理解しなければなりません。


「……法律って、似た言葉をわざと増やしてません?」


 私が呟くと、相馬先輩が笑いました。


「お前が勝手にまとめて覚えようとするからだろ」


「ぐっ……」


 確かに。


 取得。


 消却。


 減資。


 全部別。


 ここを混同すると、試験でも実務でも危険です。


「八つ目!」


 私は勢いよくページをめくりました。


「いよいよ黄金株です!」


 相馬先輩が顔を上げました。


「ああ、昨日の社長が欲しがってた奴か」


「そうです!」


 私は大きく書きました。


 ――拒否権付種類株式。


 一般に、黄金株と呼ばれることがあります。


 現代の会社法第百八条第一項第八号。


 会社の一定の事項について、通常の株主総会や取締役会の決議だけではなく、特定の種類株主総会の決議も必要とする仕組みです。


「つまり?」


 相馬先輩が聞きました。


「たとえば、重要な事業の譲渡について、通常の決議に加えて黄金株の種類株主総会の承認も必要だと定めておくんです」


「ほう」


「そうすると、その種類株主総会で承認されなければ、その事項について必要な決議がそろいません」


 私は頷きました。


 これが、黄金株の強さです。


 たった一株。


 でも、その一株だけで一つの種類を構成していれば。


 その種類株主の同意が、定款で定められた事項の決定に不可欠となることがある。


「じゃあ、持ってる奴は何でも止められるのか?」


「いいえ!」


 私は即答しました。


「そこが昨日の剛志社長の勘違いです!」


 拒否権付種類株式は、会社のあらゆる行為に対して無制限の拒否権を与えるものではありません。


 定款で定められた事項について、法律上認められる仕組みとして権利が働くのです。


「つまり、社長が嫌いな取引は全部禁止、なんて魔法ではないんですね」


「そういうことだな」


 そして。


 現代では認められるこの仕組みも。


 昭和六十三年の商法に、同じ形で存在していたわけではありません。


「昨日の社長は、ここを間違えたんです」


 私は事件記録を指差しました。


 村瀬剛志。


 自分の一株に特別拒否権を付けると宣言。


 でも。


 その内容を定款に書いたからといって、当時の商法の制限を超えて権利を作り出せるわけではなかった。


「所長」


「何だ」


「定款って、何でも書けば有効になるわけじゃないんですね」


「そうだ」


「法律の範囲内で、会社のルールを決めるものなんですね」


 所長は頷きました。


「それを忘れるな」


 私は赤鉛筆で囲みました。


 ――黄金株は、たった一株でも強い。ただし、法律と定款で定められた範囲に限る。


「では、最後です!」


 私は九つ目を書きました。


 ――種類株主総会において取締役または監査役を選任する種類株式。


「これは、特定の種類株主だけで、取締役や監査役を選任できる仕組みです」


 相馬先輩が首をかしげました。


「普通は株主総会で役員を選ぶんじゃねえのか?」


「そうです」


 でも、現代の会社法では、一定の条件のもとで、種類株主総会によって役員を選任する仕組みが認められています。


 たとえば。


 ある投資家が会社に多額の出資をしました。


 その投資家は、会社の経営を適切に監督するため、自分たちの種類株主総会で取締役を選任できる権利を求める。


 そんな場面です。


「なるほどな」


 相馬先輩が頷きました。


「出資するだけじゃなく、役員の選任にも関わるわけだ」


「はい!」


 ただし。


 この種類株式は、どんな会社でも発行できるわけではありません。


 現代の会社法第百八条第一項ただし書。


 公開会社。


 指名委員会等設置会社。


 これらの会社では、この第九号の種類株式を発行できません。


「ここ、試験で引っかかりそうですね」


「ああ」


「公開会社でも拒否権付種類株式は発行できる場合がありますが、種類株主総会で役員を選任する第九号の株式は発行できないんです」


 私は書きました。


 ――第九号の役員選任種類株式は、公開会社・指名委員会等設置会社では不可。


 これで。


 九つ全部です。


 私は鉛筆を置きました。


「……終わりました!」


「長かったな」


「でも全部重要です!」


 相馬先輩が笑いました。


 私も笑いました。


 最初は、九つの難しい名前にしか見えませんでした。


 でも。


 一つずつ考えてみると。


 お金の分け方。


 会社への参加。


 株式の譲渡。


 株式の取得。


 会社の支配。


 役員の選任。


 それぞれ違う問題に対応するための制度なのです。


「さて」


 片桐所長が帳簿を閉じました。


「昨日の事件に戻ろう」


「はい!」


「村瀬精機の問題は、何だった」


 私は事件記録を開きました。


「優先株式の権利を、社長が一方的に消そうとしたことです」


「うん」


「それから、自分の一株に特別拒否権を付けようとしたことです」


「そうだ」


「前者については、種類株主総会の決議が問題になりました」


 村瀬精機では、普通株式八百株。


 優先株式百二十株。


 文子さんの百二十株には、優先配当の内容が定款で定められていました。


 そして。


 社長は、その内容を削除する定款変更を進めようとした。


「でも、先輩」


「何だ」


「普通株式の株主が多数決で賛成しても、それだけでは足りない場合があるんですよね」


「そうだ」


 種類株主の権利に損害を及ぼすおそれがある一定の行為については、種類株主総会の決議が必要になる場合があります。


 この考え方は、昭和六十三年の商法にも存在していました。


「つまり」


 私は言いました。


「株主総会で多数派が勝ったからといって、少数派の種類株主の権利を、手続なしに消せるわけではないんです」


 所長が頷きました。


「そのとおり」


 現代の会社法でも、種類株主総会による保護の仕組みが整備されています。


 ただし、どんな変更にも必ず種類株主総会が必要になるわけではありません。


 変更の内容。


 株主に生じる不利益。


 適用される規定。


 定款の内容。


 そして、反対株主の保護手続。


 それらを確認する必要があります。


「なるほど……」


 私は頷きました。


「だから、所長は最初に定款を見たんですね」


「そうだ」


「株券だけじゃ、どんな権利が付いているか分からない」


「うん」


「定款に書かれた内容と、決議の手続を確認しないといけない」


 所長は短く言いました。


「それでいい」


 私は、あの百二十株を思い出しました。


 文子さんの夫が、妻への感謝を込めて残した優先株式。


 もし。


 種類株主を守る手続がなかったら。


 普通株式を多数持つ社長が、自分たちだけで決めてしまえるかもしれません。


 でも。


 商法は、そこに歯止めを置いていたのです。


「先輩」


「何だ」


「種類株主総会って、弱い株主を守るための仕組みでもあるんですね」


「そうだな」


 先輩は頷きました。


「数だけで押し切られたら困る場面があるからな」


 私はその言葉を、ノートの端に書きました。


「ところで、こはる」


 相馬先輩が言いました。


「はい?」


「昭和六十三年の商法と、未来の会社法。何が一番違うんだ?」


 私は少し考えました。


 そして。


「種類株式の自由度です」


 と答えました。


「ほう」


「昭和六十三年にも、内容の異なる株式を発行する制度はありました」


 利益配当。


 残余財産の分配。


 一定の優先株式に関する議決権の取扱い。


 そうした仕組みです。


 でも。


 当時の商法では、現在の会社法第百八条のように、九つの事項について幅広く種類株式を設計できたわけではありません。


「それが、改正を重ねて広がっていくんです」


「なぜだ?」


 相馬先輩が聞きました。


「会社ごとに、資金調達や経営の事情が違うからです」


 私は答えました。


 ある会社は、創業者の経営権を守りたい。


 ある会社は、配当を重視する投資家を集めたい。


 ある会社は、将来の株式取得や資本再編を柔軟にしたい。


 ある会社は、新しい出資者に経営上の一定の権限を認めたい。


 そうした必要に応えるために、株式の種類が拡充されていきました。


「ただし、自由にするだけでは駄目なんです」


「どうしてだ?」


「既存株主や会社債権者の保護も必要だからです」


 私はノートに二つの言葉を書きました。


 ――資金調達の自由。


 ――株主・債権者の保護。


「この二つのバランスを取ることが重要なんです」


 所長が頷きました。


「会社は、出資者だけのものではない」


「はい」


「債権者も、会社が約束を守ることを前提に取引している」


 私は頷きました。


 なるほど。


 種類株式の制度が多様になったのは、単に社長が便利になるためではありません。


 会社が必要な資金を集める。


 株主が自分の希望に合った形で出資する。


 その一方で。


 権利を不当に奪われる株主が出ないようにする。


 会社財産が不当に流出して、債権者が害されないようにする。


 そのために、法律が細かく仕組みを整えているのです。


「そして、もう一つ大きな違いがあります!」


 私は言いました。


「会社法が独立したことです!」


「独立?」


 相馬先輩が首をかしげました。


「昭和六十三年には、現在の会社法という単独の法律はありません」


「当たり前だ。商法の会社編があるだろ」


「そうです!」


 当時、株式会社についての基本的な規律は、商法第二編に置かれていました。


 有限会社については、有限会社法。


 さらに、関連する特別法。


 会社に関する制度が、複数の法律に分かれていたのです。


「ところが、平成十七年に会社法が制定され、平成十八年に施行されます」


「ほう」


「そこで、会社の基本的な制度が独立した法律として整理されるんです」


 私はノートに書きました。


 ――昭和六十三年。


 商法第二編、有限会社法など。


 ――現代。


 会社法。


「でも、どうしてわざわざ独立させたんだ?」


 相馬先輩が尋ねました。


「制度を整理し、分かりやすくするとともに、会社の実情に合った柔軟な仕組みを整えるためです」


 私は答えました。


 現代では、株式会社の設立も大きく簡略化されました。


 昭和六十三年当時。


 株式会社の設立には発起人が七人以上必要。


 取締役は三人以上。


 監査役も一人以上必要でした。


「でも現代では、発起人一人、取締役一人の株式会社も設立できます」


「何だと?」


 相馬先輩が目を見開きました。


「しかも、法定の最低資本金制度もありません」


「……とんでもねえ時代だな」


「そうですよね!」


 私は笑いました。


 さらに。


 現代には合同会社もあります。


 昭和六十三年には存在しなかった会社形態です。


 昔の商法が会社の設立や機関構成について厳格な規律を置いていたのに対し、現代の会社法は会社の規模や実情に応じた柔軟な設計を認めています。


「ただし!」


 私は言いました。


「自由度が高くなったからといって、何でも許されるわけではありません」


 株主の権利。


 債権者保護。


 取締役の責任。


 情報開示。


 必要な決議。


 これらの仕組みは、現在でも重要です。


 むしろ。


 設立や経営の選択肢が広がったからこそ、それを適切に使う責任も大切になるのです。


「なるほどな」


 相馬先輩が頷きました。


「自由ってのは、勝手にやっていいって意味じゃねえからな」


「そうなんです!」


 私は嬉しくなりました。


 未来の会社法を知らない相馬先輩が、制度の本質をちゃんと見抜いている。


 さすがです。


「何だ、その顔は」


「いえ、先輩って意外と賢いなって」


「意外とは余計だ!」


 また怒られました。


 窓の外は、夕焼けに染まっていました。


 私はノートの最後のページを開きました。


 ここまで学んだこと。


 株主平等。


 全部の株式に共通する特別な内容。


 種類株式九つ。


 種類株主総会。


 昭和の商法と現代の会社法の違い。


 どれも重要です。


 でも。


 あの事件を思い出すと、もっと大切なことが見えてきます。


「所長」


「何だ」


「文子さんの百二十株って、法律的には優先株式でしたよね」


「そうだ」


「でも、あの人にとっては、それだけじゃなかったんです」


 私は言いました。


「亡くなったご主人が、自分の苦労を認めてくれた証拠だったんです」


 所長は静かに頷きました。


「そうだな」


「社長は、ただの株だと思っていたんでしょうね」


「そうかもしれん」


「だから、十二万円で買い取れば終わると思った」


 私は株券の写しを見つめました。


 優先株式百二十株。


 普通株式八百株。


 数字だけ見れば。


 少数派です。


 でも。


 その少数派には、法律と定款によって守られる権利がありました。


 そして。


 その権利を不当に奪おうとした社長は、種類株主総会という壁にぶつかった。


「先輩」


「何だ」


「株主平等って、全員に同じものを渡すことじゃないんですね」


「ああ」


「それぞれの株式に定められた権利を、きちんと守ることなんですね」


 相馬先輩が頷きました。


「そういうことだ」


 私は鉛筆を握りました。


 今日の一行の覚え書き。


 何を書こう。


 少し考えて。


 ゆっくり書きました。


 ――株式の特別な権利は、社長の気分ではなく、法律と定款によって生まれ、法律の定める手続によって守られる。


「……できました!」


 私はノートを掲げました。


「どうですか!」


 相馬先輩が覗き込みました。


「少し長くねえか?」


「大事なことが多いんです!」


「まあ、間違ってはいねえな」


「褒めましたね!」


「気のせいだ」


 私は笑いました。


 でも。


 この一行は、きっと忘れません。


 あの百二十株を思い出せばいい。


 社長の一株。


 創業者の妻の百二十株。


 そして。


 その両方に、法律がどんな意味を与えるのか。


 そこを考えれば。


 種類株式の本質が見えてくるのです。


「ところで、こはる」


 相馬先輩が言いました。


「はい?」


「九種類、全部覚えたのか?」


「もちろんです!」


「じゃあ言ってみろ」


「えっ?」


「順番に」


 私は背筋を伸ばしました。


「一、剰余金の配当!」


「うん」


「二、残余財産の分配!」


「うん」


「三、議決権の制限!」


「うん」


「四、譲渡制限!」


「うん」


「五、取得請求権!」


「うん」


「六、取得条項!」


「うん」


「七、全部取得条項!」


「うん」


「八、拒否権!」


「うん」


「九、取締役・監査役の選任!」


 私は拳を握りました。


「完璧!」


 相馬先輩が笑いました。


「じゃあ次だ」


「まだあるんですか?」


「全部の株式に共通する特別な内容は?」


「譲渡制限、取得請求権、取得条項の三つです!」


「よし」


「株主から会社に取得を請求するのは?」


「取得請求権付株式!」


「会社が一定の事由で取得するのは?」


「取得条項付株式!」


「株主総会の特別決議で種類株式の全部を取得するのは?」


「全部取得条項付種類株式!」


「配当と残余財産の分配、両方の権利を完全になくせるか?」


「できません!」


「公開会社の議決権制限株式の数については?」


「すべての議決事項について議決権を行使できない株式が、発行済株式総数の二分の一を超えたら、直ちに必要な措置を講じます!」


「よし」


「公開会社で第九号の役員選任種類株式は?」


「発行できません!」


「黄金株は?」


「拒否権付種類株式です!」


「社長が好き勝手に作れるか?」


「作れません!」


 相馬先輩が頷きました。


「よし。最後だ」


「はい!」


「昭和六十三年に、現在の会社法第百八条はあるか?」


「ありません!」


「正解」


 私は思わず笑いました。


 よし。


 今日こそ完璧。


「でも、先輩」


「何だ」


「こうして覚えると、九つもある種類株式が、意外と整理できるんですよ」


「ほう」


「お金の権利が二つ」


 配当。


 残余財産。


「経営参加の権利が三つ」


 議決権制限。


 拒否権。


 役員選任。


「株式の移転や取得に関するものが四つ」


 譲渡制限。


 取得請求権。


 取得条項。


 全部取得条項。


「二、三、四で九つ!」


 私は両手を広げました。


「どうです!」


 相馬先輩は少し考えました。


「……覚えやすいじゃねえか」


「ですよね!」


「でもな」


「はい?」


「今のお前には、もう一つ覚えることがある」


「何でしょう!」


 先輩は机の上を指差しました。


 大量の書類。


 六法。


 ノート。


 赤鉛筆。


 そして。


 空になった湯呑み。


「片付けろ」


「……!」


「九種類覚えたなら、書類の整理くらいできるだろ」


「先輩!」


「何だ!」


「私には、特別拒否権があります!」


「は?」


「今日の片付けについては、私の承認が必要です!」


 相馬先輩が、しばらく私を見ました。


 そして。


「こはる」


「はい!」


「その拒否権、どの定款に書いてあるんだ?」


「……!」


 私は固まりました。


 しまった。


 定款。


 法律上の根拠。


 必要な手続。


 全部ありません。


「残念だったな」


 相馬先輩がにやりとしました。


「お前の黄金株は発行されてねえ」


「ぐっ……」


 片桐所長が帳簿を閉じました。


「こはる」


「はい……」


「片付けを頼む」


「所長まで!」


「異議はあるか」


 私は少し考えました。


 そして。


「……種類株主総会を要求します!」


 相馬先輩が吹き出しました。


「何の種類株主だよ!」


「見習い種類株主です!」


「そんな株式はねえ!」


「新しく作ります!」


「昭和六十三年の商法を無視するな!」


 ……。


 どうやら。


 私の黄金株は、今日も認められそうにありません。


 残念です。


 でも。


 百二十株の優先株式を守った、あの内容証明郵便。


 その書面に並んでいた条文と事実は。


 今も私の頭の中で、はっきり生きています。


 同じ会社の株でも、権利の内容が違うことがある。


 その違いには、法律上の意味がある。


 だから。


 会社を支配する者であっても。


 少数の種類株主の権利を、好き勝手に奪うことはできない。


 私は箒を手に取りながら、ノートの最後の一行をもう一度見ました。


 ――株式の特別な権利は、社長の気分ではなく、法律と定款によって生まれ、法律の定める手続によって守られる。


 よし。


 これなら忘れません。


「こはる!」


「はい!」


「早く片付けろ!」


「先輩!」


「今度は何だ!」


「私の片付け義務にも、取得条項を付けられませんか?」


「は?」


「一定の事由が起きたら、先輩がこの仕事を取得するんです!」


「誰が取得するか!」


「じゃあ取得請求権で!」


「何の請求権だよ!」


「私が先輩に、片付けを引き取ってくださいって請求する権利です!」


「株式と掃除を一緒にするな!」


 ……なるほど。


 株式の仕組みは、日常生活に持ち込んでも、あまり役に立たないようです。


 少なくとも。


 掃除を逃れるためには。


 黄金株よりも、相馬先輩の機嫌をよくする方が効果的かもしれません。


 もっとも。


 それは商法にも会社法にも載っていない、片桐行政書士事務所だけの特別なルールなのでした。

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