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こはる行政書士見習帖 〜 昭和に転生して許認可に振り回されると試験知識が骨身にしみます 〜  作者: 条文小説
〈行政法 配点112点/300点〉 行政手続法

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[行政手続法3条・適用除外]現場編 「市役所の処分なら、全部同じでしょう」の罠。条例で動く市役所と法律で動く市役所、根拠をたどれば“同じ窓口”が別の顔をする

挿絵(By みてみん)

 役所の窓口は同じでも、その向こうで動いている法律まで同じとは限りません。


 これ。


 受験生には、かなり性格の悪い話です。


 市役所の人が処分する。


 市役所の人が書類を受け取る。


 市役所の人が「駄目です」と言う。


 見た目は全部、市役所です。


 なのに試験では、


 その根拠は法律ですか。


 条例ですか。


 規則ですか。


 どこに書いてありますか。


 と聞いてくる。


 役所の制服に、法的根拠の名札でも付けておいてほしい。


 少なくとも、昨夜まで行政書士試験のテキストに埋もれていた私は、そう思っていました。


 行政手続法第三条。


 適用除外。


 その中でも、地方公共団体についての部分。


 地方公共団体の機関がする処分でも、根拠が法律にあるのか、それとも条例や規則にあるのかで扱いが違う。


 行政指導はまた違う。


 届出もまた違う。


 文字で読むと眠い。


 ものすごく眠い。


 ところが。


 昭和六十三年。


 片桐行政書士事務所。


 この町では、その区別が一人の看板屋さんの仕事を左右しようとしていました。


「どうして駄目なのか、それだけ教えてほしいんです」


 相談者の女性は、膝の上で一枚の紙を握っていました。


 宮下佳代さん。


 四十代半ば。


 駅前商店街で、ご主人と二人で看板店を営んでいるそうです。


 机の上には、市役所から届いた通知。


 大きな文字で、


『登録不承認通知書』


 とあります。


「登録?」


 私は聞きました。


「何の登録ですか?」


「駅前の仮設店舗の看板を作る業者です」


 佳代さんが言いました。


「再開発で、しばらく商店が仮設店舗へ移るでしょう?」


「はい」


「市が、看板をばらばらにすると景観が崩れるからって、指定業者の登録制度を作ったんです。登録された業者なら仮設店舗の看板工事を受けられるって」


 なるほど。


 駅前再整備。


 最近、この町では何かとその言葉が出てきます。


「宮下さんは申請した」


「しました」


「それで不承認」


「はい」


「理由は?」


 佳代さんは、通知をこちらへ滑らせました。


 理由欄。


『駅前景観形成上、適当でないため』


 以上。


「……短いですね」


「でしょう?」


 短すぎる。


 これでは理由というより感想です。


 相馬先輩が横から紙を取りました。


「役所には聞いたのか」


「昨日行きました」


「何て言われた」


「基準に合わないからですって」


「その基準は?」


「聞きました。でも、“内部の審査基準なので詳しくは言えません”って」


 相馬先輩の眉が上がりました。


「ずいぶん便利な基準だな」


「でしょう?」


 佳代さんの声が少し震えます。


「うちは二十年以上、看板屋をやってきたんです。駅前の店の仕事だってずっとやってきた。それなのに急に“不適当”って言われても……何を直したらいいのかも分からない」


 そこです。


 許されなかったことより、


 何が悪かったのか分からない。


 そちらのほうが、人を追い詰めることがあります。


 私は通知をもう一度見ました。


 登録不承認。


 市役所。


 駅前景観。


 指定業者。


「この登録制度って、何に基づいてるんでしょう」


 私が言うと、相馬先輩がこちらを見ました。


「そこか?」


「はい」


「不承認の理由が雑なんだから、そこを突けばいいだろ」


「……それだけじゃ駄目な気がします」


 口に出してから、自分でも少し驚きました。


 昨夜までの私なら、


 理由提示。


 申請に対する処分。


 審査基準。


 この辺りの言葉を拾って一直線だったと思います。


 でも。


 今は昭和六十三年です。


 頭の中にある行政手続法は、まだこの世に存在していない。


 私は未来の試験知識を持っています。


 でも、それを役所の窓口で、


「行政手続法によればですね」


 なんて言ったら、ただの危ない人です。


 未来人以前に、架空法令を振り回す女になります。


 それは避けたい。


「こはる」


 片桐所長が奥から声をかけました。


「何を見る」


「……根拠です」


「何の」


「この登録制度そのものの」


 所長が一度だけ頷きました。


「調べろ」


 相馬先輩が立ち上がります。


「市役所行くぞ」


「早いですね」


「紙見てても条例は歩いてこねえ」


「たまには資料室という発想を持ちません?」


「役所に聞けば資料も出る」


 昭和の実務家、検索エンジンが人間です。


 市役所の都市整備課。


 例によって窓口には見覚えのある顔がいました。


 倉田係長です。


「あ」


「あ」


 倉田係長は私を見るなり、ほんの少し嫌そうな顔をしました。


「今度は何です」


「挨拶が警戒から始まりました」


「朝比奈さんが来ると、大体面倒になる」


「面倒を作ってるのは私じゃありません」


「どうだか」


 相馬先輩が通知書を置きます。


「宮下看板店の登録不承認」


「ああ……」


 倉田係長の顔が曇りました。


「理由を聞きたい」


「通知のとおりです。駅前景観形成上、適当ではないと」


「それは読めば分かる」


「でしたら――」


「何が適当じゃないんです?」


 私が聞きました。


 倉田係長がこちらを見る。


「総合的な判断です」


「何を総合したんですか」


「過去の施工例、色彩、デザイン、周囲との調和などです」


「その中の何が問題だったんでしょう」


「個別の評価については、内部審査ですので」


 内部。


 便利な言葉です。


 扉を閉めるときに非常によく使われます。


「もう一つ聞いていいですか」


 私は言いました。


「この登録制度、何に基づいてます?」


「駅前景観整備条例です」


 条例。


 やっぱり。


 胸の奥で、未来の知識がかすかに反応します。


 地方公共団体の機関。


 条例に根拠を置く処分。


 行政手続法第三条第三項。


 でも。


 今、それを口にはできません。


 まだ存在していない法律です。


「条例を見せてもらえますか」


「構いませんよ」


 倉田係長が例規集を出してきました。


 分厚い。


 重い。


 インターネット検索に慣れた現代人の腕に厳しい。


 私は該当箇所を追いました。


 市長は、一定の要件を満たす看板施工業者を登録する。


 登録申請を受けたときは、施工能力、景観への配慮その他規則で定める基準により審査する。


 なるほど。


「規則もあります?」


「あります」


 次。


 市の規則。


 施工実績。


 専門技術者の有無。


 過去の行政処分歴。


 景観方針への適合性。


 いくつか具体的に書かれています。


 私は佳代さんを見ました。


「宮下さん、技術者は?」


「主人が資格を持ってます」


「施工実績は?」


「二十年以上あります」


「処分歴は?」


「ありません」


 書いてある条件だけ見ると、少なくとも即不承認になる理由は見えません。


「倉田係長」


「はい」


「規則に書いてある基準のほかにも、審査項目がありますよね」


 倉田係長が一瞬止まりました。


 相馬先輩が気づきます。


「あるんだな」


「細かな評価項目はあります」


「公表してる?」


「していません」


「何で」


「審査実務のための内部資料ですので」


 私は少しだけ息を吸いました。


 ここです。


 行政手続法はまだありません。


 審査基準を公にしておくという、未来の制度を、そのまま要求することはできない。


 でも。


 だから何も言えないわけじゃない。


「その内部資料で、不承認を決めたんですか?」


「決めたというより、判断材料です」


「宮下さんは、条例や規則に書いてある条件は満たしているように見えます」


「しかし景観への適合性は総合判断です」


「総合判断でもいいです」


 私は言いました。


「でも、“何を見て不適合としたのか”くらいは確認できますよね」


 倉田係長が少し眉を寄せます。


「どういう意味ですか」


「宮下さんが知りたいのは、内部資料そのものを全部よこせって話じゃありません」


 佳代さんを見る。


「ですよね?」


「はい」


「何が悪かったのか知りたい。それが分からないと、次に直しようがない」


「……そうです」


 私はもう一度、例規集へ目を落としました。


「条例には、景観への適合性を見て登録するって書いてある。でも今の通知だと、“適当でない”しか分からない」


 相馬先輩が続けます。


「条例に基づいて審査したなら、条例のどの要素で落ちたのかくらい説明できるだろ」


 倉田係長は黙りました。


 そこへ、片桐所長が静かに言いました。


「不承認を撤回しろとは言っていません」


 倉田係長が所長を見る。


「審査が適正だったなら、説明できるはずです」


 短い。


 でも強い。


「説明できないなら、審査のほうを確認した方がいい」


 倉田係長の顔が少し変わりました。


 反発ではなく、


 ああ、そこか。


 という顔です。


「……担当を呼びます」


 しばらくして、審査を担当した主任が出てきました。


 四十代くらいの男性です。


 机に施工例の写真が何枚か並べられました。


「宮下さんについては、過去の施工に原色を多用したものが多かったんです」


 主任が言いました。


「駅前再整備では、落ち着いた色彩で統一する方針ですから」


 写真を見る。


 赤。


 黄色。


 紫。


 確かに派手です。


 すごい。


 昭和のパチンコ店、色彩に遠慮がありません。


「これ」


 佳代さんが一枚を指さしました。


「十五年前の銀河パチンコですね」


「はい」


「店主さんから、“赤と黄色で、遠くからでも見えるやつ”って指定されたんです」


 主任が止まりました。


「これは?」


「スナック美樹」


「派手ですね」


「美樹さんの希望です。“紫に金”って」


「……」


「こっちは?」


「玩具店。子供向けだから赤と黄色を使ってほしいって」


 私は主任を見ました。


「つまり、この色遣いって、宮下さんが駅前の景観として提案したデザインじゃないですよね」


「……施主の希望はあったと思います」


「そこ、審査しました?」


 沈黙。


 相馬先輩が小さく、


「あーあ」


 と言いました。


 主任が書類をめくります。


「そこまでは確認していません」


「写真だけ?」


「主に」


 佳代さんの顔がこわばりました。


「看板屋なら、お客さんに頼まれたものを作るでしょう」


「もちろん、違法なものなら断りますが」


「でも十五年前の店主の好みを見て、今の私たちの仕事を“不適当”って決めたんですか」


「……」


 悪意はありません。


 だから厄介です。


 市は駅前景観を整えたかった。


 応募が多かった。


 短期間で業者を選ぶ必要があった。


 誰かが、


 過去の看板写真を見れば、その業者のデザイン傾向が分かるだろう、


 と考えた。


 合理的に見えます。


 でも。


 看板は注文品です。


 写真だけでは、


 誰がその色を望んだのか。


 看板屋が提案したのか。


 施主が指定したのか。


 まったく分からない。


「係長」


 私が言いました。


「これ、もう一度見てもらえませんか」


「再申請しろということ?」


「いえ」


 片桐所長が止めました。


「まず、市の側で審査内容を確認してください」


「しかし、一度不承認を出しています」


「だからです」


 所長は淡々と言います。


「条例に基づいて登録する制度を作ったのは市です。その市が、条例上の基準に照らして適切に見たかどうかを確認する」


 倉田係長はしばらく黙っていました。


 それから主任を見ます。


「写真以外の資料は?」


「施工台帳があります」


「発注内容は分かる?」


「古いものは一部だけですが」


「確認しよう」


 佳代さんが顔を上げました。


「本当に?」


 倉田係長は頷きます。


「登録を約束するわけではありません」


「はい」


「でも、今回の評価方法に問題がなかったかは確認します」


 佳代さんは、それで十分だというように頷きました。


 その帰り道。


 相馬先輩が私を見ました。


「今日は妙に静かだったな」


「何がです?」


「いつもなら、“理由提示がどうの”とか、“審査基準がどうの”って言いそうなところだろ」


 ぎく。


 鋭い。


「……使えないんです」


「何が」


「いえ、何でもありません」


 危ない。


 未来の法律です、とは言えません。


 昭和六十三年。


 この時代には、まだ一般法としての行政手続法はありません。


 だから今日、私たちがやったのは、


 行政手続法を突きつけることではありませんでした。


 条例を見る。


 規則を見る。


 市が自分で作った制度の目的を見る。


 その制度の中で、審査が本当に合理的だったのか確認する。


 ただ、それだけ。


 でも。


 頭の中では、妙につながっていました。


 地方公共団体。


 条例に根拠を置く処分。


 法律に根拠を置く処分。


 将来、行政手続法ができたとき。


 この違いは、たしか重要になる。


 同じ市役所がする処分でも、


 何を根拠に動いているかで、行政手続法の適用関係が変わる。


 昨夜までなら、


 暗記。


 ただの暗記でした。


 今は違います。


 同じ窓口の倉田係長でも、


 条例を根拠に仕事をしているときと、


 国の法律を根拠に仕事をしているときでは、


 法的には同じ顔ではない。


 そういうことなのかもしれません。


 三日後。


 佳代さんが、事務所の扉を勢いよく開けました。


「通りました!」


「うわっ」


 私は思わず椅子から浮きました。


「登録ですか?」


「はい!」


 再確認の結果。


 派手な看板の多くは施主の明確な指定によるものだった。


 宮下看板店自身が、駅前再整備の景観方針に対応できないと判断する材料には乏しい。


 市はそう結論づけたそうです。


「不承認、見直してもらえました」


 佳代さんの顔は、最初に来た日とはまるで違います。


「よかった」


 本当に。


「でもね」


 佳代さんは紙袋を机に置きながら言いました。


「私、最初は市役所が駄目って言ったら、もう終わりだと思ってたんです」


「はい」


「条例だの規則だの、そんなの分からないし」


「普通は分かりません」


「でも、あのとき朝比奈さんが“何に基づいてるんですか”って聞いたでしょう」


「はい」


「あれ、変な質問だと思ったんです」


「私も昔ならそう思います」


「昔?」


「いえ、気にしないでください」


 危ない。


「でも今は分かります」


 佳代さんは言いました。


「市役所が決めた、だけじゃ足りないんですね」


 私は少し考えてから頷きました。


「たぶん、そうです」


「何で決めることができるのか。何を見て決めるのか」


「はい」


「そこを見たら、間違ってるところも見える」


 その言葉は、思った以上に胸に残りました。


 片桐所長が紙袋を開けます。


 カステラ。


「お」


 相馬先輩が立ち上がりました。


「まだです」


「何でだ」


「前回、団子で紛争になったでしょう」


「今回はカステラだ」


「物が変われば紛争もリセットされる制度じゃありません」


「じゃあ一人二切れ」


「増えてる!」


 佳代さんが笑いました。


 所長が包丁を持ちます。


「四等分」


「所長」


「何だ」


「相馬先輩の分だけ小さくしてください」


「こはる」


「はい」


「それは恣意的だ」


「今日一番刺さる言葉!」


 夕方。


 事務所が静かになってから、私はノートを開きました。


 行政手続法第三条。


 適用除外。


 そう書きかけて。


 ペンを止めます。


 昭和六十三年。


 この法律は、まだない。


 だから今日の事件を、


 行政手続法第三条で解決した。


 そう書いたら嘘になります。


 私は少し考え、


 ノートの一番上に別の言葉を書きました。


 ――同じ市役所でも、根拠は同じとは限らない。


 その下に。


 法律。


 条例。


 規則。


 三つだけ書きます。


「何だ」


 相馬先輩が覗き込みました。


「今日は少ないな」


「整理できてないんです」


「何を」


「今日、市が条例に基づいて処分してましたよね」


「ああ」


「もし、国の法律に基づいて市長が処分する場合だったら?」


「何が違う」


「……そこです」


 私はペンの先で机を軽く叩きます。


 今の時代にはない。


 でも未来の私は知っている。


 行政手続法ができた後は、


 地方公共団体の機関がする処分だからというだけで、全部が一律に適用除外になるわけではない。


 条例や規則に根拠を置く処分なのか。


 法律に根拠を置く処分なのか。


 そこを見る。


 さらに、


 地方公共団体の行政指導。


 条例や規則に根拠を置く届出。


 命令等。


 それぞれ適用関係が違う。


 昨夜までの私は、


 そこを表で丸暗記しようとしていました。


 でも今日。


 倉田係長の顔を見て、ようやく少し分かった。


 同じ人が窓口に座っていても、


 その人が今どの法令を背負っているかで、制度上の立場が変わる。


「所長」


「何だ」


「役所を見るときって、“誰がやったか”だけじゃ足りないんですね」


「ああ」


「“何に基づいてやったか”まで見る」


「そうだ」


「同じ市役所でも」


「根拠が違えば、見るべき制度も違う」


 所長が言いました。


 短い。


 やっぱり全部持っていきます。


 私はその一言を、ノートに書きました。


 同じ役所でも、根拠が違えば、見るべき制度も違う。


 そして、その下にもう一行。


 未来の自分だけに分かる書き方で。


 ――「地方公共団体だから除外」と丸暗記しない。


 相馬先輩が眉をひそめました。


「何だそれ」


「将来役に立つんです」


「何年後だ」


「……六年くらい?」


「意味分からん」


 ですよね。


 私にも、かなり意味が分かりません。


 でも。


 今日は、未来の条文を現場へ持ち込まなくてもよかった。


 条文ができる前から、


 問題そのものは存在していたからです。


 理由が分からない。


 基準が見えない。


 内部の評価が、いつの間にか住民の仕事を左右する。


 行政手続法は、ある日突然そういう問題を発明する法律じゃない。


 きっと。


 ずっと前からあった困りごとに、


 後から名前と手順を与える法律なのだと思います。


 制度は、法律ができる前にも人を困らせる。


 だから法律が生まれる。


 その順番を、私は今日初めて実感しました。


 窓の外では、駅前再整備の工事灯が点き始めています。


 この町も変わっていく。


 条例ができる。


 規則が増える。


 役所の権限も増える。


 そのたびに誰かが、


「市が決めましたから」


 と言うのでしょう。


 でも。


 それを聞いたら、今日から私はもう一つ質問できます。


 ――何に基づいて、ですか。


 法律なのか。


 条例なのか。


 規則なのか。


 その違いは、紙の上では小さい。


 でも、人の権利や手続の入口を探すときには、かなり大きい。


 私はノートを閉じました。


 今日の教訓は、一行です。


 「市役所がした」ではなく、「何を根拠にした」を見る。


「こはる」


「はい?」


 相馬先輩が最後のカステラへ手を伸ばしています。


「これ、俺が食う」


「駄目です」


「根拠は?」


「事務所内の公平」


「抽象的だな」


「じゃあ規則を作ります」


「誰にそんな権限がある」


「……所長」


「半分にしろ」


 即決でした。


 私は相馬先輩と顔を見合わせます。


「この人が一番強いですね」


「ああ」


「根拠は?」


 所長が新聞を開きながら言いました。


「俺の事務所だ」


 強い。


 少なくともこの問題だけは、


 法律と条例を区別する必要がなさそうでした。

 以下に私の作品へのリンク貼ってます。是非、手に取って頂ければと思います。また、ついでに評価ブックマーク頂ければ幸いです。

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