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目に見えぬ旋律(メロディ)―現代版・耳なし芳一―

作者:とんぷぅ
最終エピソード掲載日:2025/10/31
文化祭ライブまで、あと三日。
完成しないオリジナル曲。足りないのは「深さ」だった。

「悲しいけど、綺麗で、沈んでいくような音が欲しいの」
弱視の少女・芳子がそうつぶやいたとき、
透真は冗談めかして言った。

「平家の落人みたいな?」

一瞬、空気が止まる。
芳一の指がギターの弦の上で凍りついた。

「……平家? あそこ、夜になると音がするんだよ」

鈴のようで、波のようで――
海の底から誰かが呼んでいるような音。

透真は笑い飛ばそうとした。
けれど、芳子の声には、どこか祈りにも似た震えがあった。

「その音を聴いてると、涙が出そうになるの。
 まるで“もう一度、聴いて”って言ってるみたいで」

文化祭の夜、彼女のギターが紡ぐ旋律は、
“この世”と“あの世”をつなぐ呼び声になる――。

現代の“耳なし芳一”が奏でる、音と祈りの青春怪談。
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