敗戦技術 第四巻 超算の敗戦
最終エピソード掲載日:2026/10/02
1980年代後半。日本のスーパーコンピューターは世界最速だった。速く、安く、どの国の製品も追いつけなかった。
しかしアメリカは言った。「安すぎる、不公平だ」と。
国立大学で気象シミュレーションを研究する若手研究者・坂本大輔、三十一歳。台風の進路予測の精度を上げれば、逃げ遅れる人間を減らせる。その一点だけを信じて、計算を続けてきた男だった。
次世代スーパーコンピューターの選定会議で、坂本は知る。アメリカの圧力で、性能で劣るアメリカ製が選ばれるかもしれない、と。
日本製なら三年で届く目標が、五年から六年かかる。その間に来る台風は、今の精度で予測するしかない。
坂本は数字を持って霞が関に行った。学会で声を上げた。十二人の研究者と連名で要望書を出した。それでも流れは変わらなかった。
勝てない戦いだと、分かっていた。それでも言い続けた。言わなければ、確実に何も変わらないから。
これは、数字のために戦い続けた研究者の記録である。
しかしアメリカは言った。「安すぎる、不公平だ」と。
国立大学で気象シミュレーションを研究する若手研究者・坂本大輔、三十一歳。台風の進路予測の精度を上げれば、逃げ遅れる人間を減らせる。その一点だけを信じて、計算を続けてきた男だった。
次世代スーパーコンピューターの選定会議で、坂本は知る。アメリカの圧力で、性能で劣るアメリカ製が選ばれるかもしれない、と。
日本製なら三年で届く目標が、五年から六年かかる。その間に来る台風は、今の精度で予測するしかない。
坂本は数字を持って霞が関に行った。学会で声を上げた。十二人の研究者と連名で要望書を出した。それでも流れは変わらなかった。
勝てない戦いだと、分かっていた。それでも言い続けた。言わなければ、確実に何も変わらないから。
これは、数字のために戦い続けた研究者の記録である。
第一章 最速の道具
2026/09/27 22:16
第二章 海を渡る計算機
2026/09/28 09:00
第三章 選ばれたのに
2026/09/29 07:38
第四章 454パーセント
2026/09/30 07:58
第五章 計算機の国境
2026/10/01 08:02
第六章 敗戦
2026/10/02 07:51
エピローグ 計算は続く
2026/10/02 20:57