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式部省の呪詛係  作者: 浮田小葉子
第十二章 終わりの始まり
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二 里下がり

 皐月の終わり。

 弘徽殿(こきでん)中宮顕子(あきこ)が、実家である右大臣邸へ里下がりした。


 出産のためである。


 平安の習わしとして、后妃は実家で出産する。

 宮中は神聖な場所。

 出産という穢れを、持ち込むわけにはいかない。


 顕子は、大江次子(おおえのなみこ)——合歓(ねむ)の君を伴って、右大臣邸に移った。

 他にも多くの女房が付き従う。


 輿(こし)に揺られながら、顕子は弘徽殿を振り返った。


(また、戻ってこられるだろうか)


 不安が、胸をよぎる。


(この子が、男子(おのこ)なら東宮に――次代の帝になる)


 顕子は、腹に手を当てた。


(そうなれば、わが藤原氏は安泰。家は盤石となる)

(だが、女子(めのこ)なら……)


 顕子は、目を閉じた。

 それ以上は考えたくなかった。


 輿が右大臣邸に到着した。

 顕子は、邸内の一角に、仰々しく迎え入れられた。


 そこには、既に豪奢な産屋が設えられていた。



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