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十 三人の夜
その夜。
顕子と潔子は、一緒に清涼殿を訪れた。
帝は、少し戸惑いながらも、二人を迎えた。
「顕子、そして……潔子」
「はい」
潔子は、震えながら頭を下げた。
顕子が、そばにいる。
それだけで、潔子は少し落ち着いた。
「よく来てくれた」
帝は、優しく微笑んだ。
「体調が悪かったそうだな」
「……はい」
「無理はしなくていい」
帝は、穏やかに微笑み、安心させるように言った。
「ゆっくり、宮中に慣れてくれればいい」
潔子は、涙を浮かべた。
(帝は……お優しい)
潔子は、思った。
(中宮様の仰る通りだ)
顕子は、潔子の手を握った。
潔子は、少しだけ微笑んだ。
帝がそれを見て、柔らかく目を細める。
「ふふ。少し変な気もするが、今宵は三人でたくさん話そう。……そうだな、まずは好きな物から話そうか。お互い、少しずつ知っていこう」
顕子も潔子も、微笑んで頷く。
長い夜が、始まった。
しかし、潔子は一人ではなかった。
顕子が、ずっと傍にいた。




