四 疑いの檻
入内の儀式のすぐ後に。
源基隆邸では、会議が開かれていた。
源基隆と、側近たちが集まっている。
「潔子を、守らねばならない」
基隆は、厳しい顔で言った。
「道顕は、必ず何か仕掛けてくる」
側近たちは、頷いた。
「だから、誰も潔子に近づけるな」
基隆は、続けた。
「たとえ、中宮であっても、だ」
側近たちは、驚いた。
「しかし、左大臣様......」
「中宮様は......」
「中宮は、道顕の娘だ」
基隆は、冷たく言った。
「道顕が、中宮を使って何か企むかもしれない。優しい言葉ほど、危うい。それが、あやつのやり方だ」
基隆は、側近たちを見回した。
「だから、最大限に警戒しろ。潔子には、誰も近づけるな。我々だけで、潔子を守るのだ」
側近たちは、力強く頷いた。
「承知致しました」
潔子も、基隆から同じことを言われた。
「潔子」
「はい、叔父上」
「誰も信じるな」
基隆は、厳しく言った。
「中宮であっても、だ」
潔子は、戸惑った。
「しかし、叔父上......いえ、義父上様。中宮様は、お優しい方でした」
「それが、罠だ」
基隆は、潔子の肩を掴んだ。
「お前を油断させて、何か仕掛けるつもりだ。道顕の娘だぞ。信じてはならない」
潔子は、頷いた。
しかし、心は重かった。
(中宮様は、本当に優しかったのに……)
(あれが、罠なのだろうか)
潔子には、わからなかった。




