敗戦技術 第三巻 沈黙の炉心
最終エピソード掲載日:2026/09/22
1990年代前半。バブルが崩壊し、日本が「失われた時代」へと転落しようとしていた頃、別の戦いが静かに始まっていた。
大手電機メーカーの原子力部門で十五年、設計に携わってきた技術者・山下裕貴、三十八歳。アメリカの原子力規制委員会から「規格をアメリカ基準に統一せよ」という要請が届く。
従えば、十五年かけて積み上げた安全系の設計がほぼ全部やり直しになる。安全性が、下がる。
山下は言い続けた。会社に、役員に、霞が関に、大臣まで届くように。でも流れは変わらなかった。
おかしい、と思っても手は動く。記録する以外に、できることがない。
設計した人間と、現場で働く人間と、霞が関の官僚が——それぞれの場所で、同じことをしていた。変えられなくても、記録する。言い続ける。それだけが、自分たちにできることだった。
これは、〇・三秒のために戦い続けた男の記録である。
大手電機メーカーの原子力部門で十五年、設計に携わってきた技術者・山下裕貴、三十八歳。アメリカの原子力規制委員会から「規格をアメリカ基準に統一せよ」という要請が届く。
従えば、十五年かけて積み上げた安全系の設計がほぼ全部やり直しになる。安全性が、下がる。
山下は言い続けた。会社に、役員に、霞が関に、大臣まで届くように。でも流れは変わらなかった。
おかしい、と思っても手は動く。記録する以外に、できることがない。
設計した人間と、現場で働く人間と、霞が関の官僚が——それぞれの場所で、同じことをしていた。変えられなくても、記録する。言い続ける。それだけが、自分たちにできることだった。
これは、〇・三秒のために戦い続けた男の記録である。
第一章 設計図の重さ
2026/09/11 14:43
第二章 霞が関の温度
2026/09/12 08:43
第三章 数字の向こう側
2026/09/12 23:55
第四章 現場の声
2026/09/14 00:57
第五章 圧力の形
2026/09/14 23:17
第六章 現場に立つ
2026/09/15 23:52
第七章 残るもの
2026/09/21 07:45
エピローグ それでも炉は動く
2026/09/22 07:53