表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したおじさん、いきなり放り込まれた戦場で生き延びたい  作者: なごやかたろう
静寂の森に潜む影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/121

第4話 森に仕掛けた罠と、異常な群れ

村長宅を出たラースは、 馬を連れて村の北側へ向かった。


(……まずは村の周囲を確認する)


森の入口は薄暗く、 昼間だというのに光が届きにくい。

風が木々を揺らす音が、 どこか湿って聞こえた。


(魔獣が増えている……その理由が分かればいいが)


ラースは馬を木に繋ぎ、 森の中へ足を踏み入れた。



森に入ってすぐ、 土を掘り返した跡が目に入った。


(……新しい。ついさっきだ)


鼻を鳴らす低い音。

茂みが揺れた。

次の瞬間、 巨大な猪が飛び出してきた。


「ブォォッ!」


ラースは即座に弓を構え、 矢をつがえる。


(距離、十二歩……心臓の位置……)


ヒュッ―― ドスッ!

矢は猪の胸に深く突き刺さり、 巨体が地面に倒れ込んだ。

土煙が舞い、 森が静寂を取り戻す。

ラースは猪の体を確認し、 頷いた。


(……使えるな)



ラースは猪の腹を裂き、 肉を数切れ取り出した。


(森林狼は血の匂いに敏感だ)


周囲の木々を見渡し、 罠を仕掛ける場所を選ぶ。

木の根が張り出した窪地

視界が悪く、狼が足を取られやすい

風下で匂いが流れやすい


(ここだ)


ラースは手際よく罠を設置した。

足を挟む縄罠

体を絡め取る網

逃げ道を塞ぐ枝の配置

そして、 猪肉を罠の中心に置いた。


(……これで来る)



罠を仕掛けてから半刻ほど。

森の奥から、低い唸り声が聞こえた。


(来たな)


灰色の影が木々の間を走る。 5匹の森林狼。

本来なら、 もっと慎重に動くはずだ。

だが―― 彼らは“焦っている”ように見えた。


(……やっぱりおかしい)


狼たちは猪肉に飛びつき、 その瞬間――

ガシャンッ!

縄が締まり、 3匹が地面に引き倒された。


「ガゥッ! ガルルルッ!」


暴れるが、 縄と網が絡みつき、動けない。

残りの2匹がラースに気づき、 牙を剥いて突進してきた。



ラースは馬上ではなく、 地面に立ったまま弓を構えた。


(距離、近い……だが問題ない)


ヒュッ―― ドスッ!

1匹目の額に矢が突き刺さる。

もう1匹が横から飛びかかる。


(速い……だが読める)


ラースは半歩下がり、 矢をつがえたまま体をひねる。


ヒュッ―― ドスッ!

矢は狼の喉元に吸い込まれ、 そのまま倒れ込んだ。

森が再び静かになる。


(……5匹で行動していたのに、罠に気づかないなんて)


ラースは眉を寄せた。


(やはり、何かに追われている……?)



罠にかかった3匹を処理し、 狼の死体をまとめて馬に括りつける。


(これだけ駆除すれば、村の周囲はしばらく安全だろう)


村へ戻ろうとしたその時――

カサッ……

森の奥で、 小さな影が動いた。


(……まだいる?)


ラースは弓を構え、 音のした方向へ視線を向けた。

灰色の影。 1匹の森林狼。


だが―― その狼は、 “怯えたように”ラースを見つめていた。


(……群れからはぐれた?  いや、違う)


狼の体は痩せ、 毛並みは荒れている。

そして―― 背後の森の奥を、 何度も振り返っていた。


(……何かから逃げている)


ラースは矢をつがえたまま、 森の奥を見つめた。

風が吹き、 木々がざわめく。


(……この森、やっぱり何かがおかしい)


狼は一歩後ずさりし、 そのまま森の奥へ消えていった。

ラースは弓を下ろし、 静かに息を吐いた。


(……調べる必要があるな)


村へ戻る足取りは、 先ほどよりも重かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ