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転生したおじさん、いきなり放り込まれた戦場で生き延びたい  作者: なごやかたろう
静寂の森に潜む影

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第1話 若手冒険者たちの夜宴

依頼達成の報告を終えた夕刻。

皇国国境の町の冒険者ギルドは、 いつもより賑やかだった。


「よし、今日は打ち上げだ!」

「ラース君も来いよ、もちろん!」


Cランクパーティのリーダーが肩を叩く。

Dランクの若者たちも、 「行こう行こう!」と笑顔で誘ってくる。

ラースは少し戸惑いながらも頷いた。


「……はい。ご一緒します」



ギルド併設の酒場は、 木製のテーブルと椅子が並び、

壁には古い依頼書が飾られている。

樽から注がれる酒の匂い。

焼いた肉の香ばしい匂い。

冒険者たちの笑い声。

そのすべてが混ざり合い、 夜の空気を熱くしていた。


「ラース君、飲め飲め!」

「いや、俺は……水で」

「十五歳だもんな! ははは!」


Cランクの男たちは豪快に笑い、

ラースの前に水の入った木のカップが置かれた。

ラースはそれを両手で持ち、 少しだけ口をつけた。


(……こういう場は、まだ慣れないな)



酒が回り始めると、 話題は自然と“牙熊戦”へ移った。


「しかしラース君よ、あの一射はすげぇぞ!」

「右目にぶち込むなんて、普通できねぇ!」

「最後の矢も見たぞ! 脳天にズドンだ!」


Dランクの若者たちは、 酔いも手伝って大興奮だ。


「ラース君、あれどうやって狙ったんだ?」

「教えてくれよ、なぁ!」


ラースは困ったように笑った。


「……たまたまです。 まだまだ、全然足りません」

「出たよ、ラース君の“まだまだ”!」

「お前ほどの腕でそれ言うかよ!」


Cランクの男たちは大笑いした。

だがラースの表情は真剣だった。


(……本当に、まだまだだ。

 あの時も、もっと早く気づけたはずだ)

自分の中では、 反省点ばかりが浮かんでいた。



酒が進むにつれ、 7人はどんどん陽気になっていく。


「ラース君、次は一緒にパーティ組もうぜ!」

「いや、それは……俺は単独の方が……」

「ははは! 硬いなぁ!」


ラースは苦笑しながら、 水を口に運ぶ。


(……でも、悪くないな)


誰かと笑い合う時間。 仲間ではないが、 同じ依頼をこなした“戦友”たち。

その空気が、 ラースには少しだけ心地よかった。



夜が更け、 酒場の灯りが弱くなってきた頃。


「ラース君、今日はありがとな!」

「またどこかで会おうぜ!」


7人はふらふらと宿へ戻っていく。

ラースはその後ろを歩きながら、 静かに夜空を見上げた。

星が瞬き、 森の方から冷たい風が吹いてくる。


(……俺は、もっと強くならないと)


牙熊の咆哮。 矢を放った瞬間の感覚。 仲間を守る責任。

そして―― 金色の髪の少女の、あの小さな手。


(守りたいものがあるなら、なおさら)


ラースは深く息を吸い、 宿の扉を押し開けた。

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