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転生したおじさん、いきなり放り込まれた戦場で生き延びたい  作者: なごやかたろう
“成り代わりの証”――皇国脱出と喪失

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第2話 皇国へ再潜入――冒険者ラースとしての再出発

王国の砦でセシリアと別れた翌朝、

ラースは冒険者装備に着替え、静かに国境の門をくぐった。

冷たい朝の空気が頬を刺す。

皇国側の砦が見えてくると、胸の奥に緊張がじわりと広がった。


(……ここからが本番だ)


セシリアと交わした約束が、背中を押してくれる。



皇国側の砦を通過し、ラースは皇都へ向かう街道を歩いた。

皇都の街並みは以前と変わらず、

白い石造りの建物が整然と並び、聖職者たちが行き交っている。


だが――そのどこかに“仮面の者”が潜んでいる。


(油断はできない)


ラースは冒険者ギルドへ向かい、淡々と依頼を受ける日々を始めた。

魔物討伐、護衛、荷運び。

地味な仕事をこなしながら、皇国の空気に溶け込んでいく。



数週間が経った頃


――ギルドの扉が開き、白いローブの少女が入ってきた。

シャーリーだ。

その後ろには、レオン、ミリア、ガルドの姿もある。


(……来たな)


ラースは視線を逸らし、あくまで“初対面”を装う。

シャーリーは受付で依頼を確認し、牙熊討伐の紙を手に取った。


「募集人数……あと3人?」


ラースは自然な動作で近づき、依頼書を覗き込む。


「牙熊か。俺も受けるつもりだった」


シャーリーは少し驚いたように微笑む。


「ご一緒しても……いいんですか?」

「構わない。人数が多い方が安全だ」


レオンが腕を組んで笑う。


「お、頼もしい兄ちゃんじゃねぇか。よろしくな!」


ガルドはラースの肩を軽く叩いた。


「お嬢を頼むぜ!」


(……ガルド。前のループでは、シャーリーを庇って死んだ男)

胸が痛むが、表情には出さない。



牙熊の巣は森の奥にあった。

レオンたちは強いが、牙熊のパワーはそれを上回る。

牙熊の爪が振るわれ、レオンが弾き飛ばされる。

その隙に、牙熊は後衛のシャーリーへ迫った。


(間に合え――!)


ラースは弓を引き絞り、一射。矢は牙熊の頭部に突き刺さる。

巨体が立ち上がった瞬間、ラースは足元へ剣を一閃。

牙熊は暴れながらも、やがて力尽きた。

シャーリーは胸に手を当て、深く頭を下げた。


「助けていただき……ありがとうございます!」


ラースは軽く頷く。


「無事でよかった」


レオンとミリアは微笑ましそうに見ており、

ガルドはラースの肩をバンバン叩いた。


「お嬢がすげぇ気に入ってるぞ!次も一緒に行こうぜ!」


ラースは苦笑しながら答えた。


「……まぁ、その時はよろしくな」


こうして、ラースは自然な形でシャーリー一行に溶け込んだ。



皇国各地を巡り、魔物を倒し、傷ついた人々を癒し、

シャーリーは“聖女”として成長していく。

ラースはその背を守りながら、仮面の者の痕跡を探し続けた。


(……必ず見つける。そして、教皇の成り代わりを防ぐ)


その決意を胸に、ラースの皇国潜入の日々が始まった。

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