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転生したおじさん、いきなり放り込まれた戦場で生き延びたい  作者: なごやかたろう
仮面の襲撃と少女との邂逅

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第4話 戦場の中心へ――仮面の者たちの無音の殺意

「加勢する!」


ラースの声が戦場を切り裂いた。

護衛の騎士たちが振り返り、 驚きと希望が入り混じった目でラースを見る。


「助かる!」

「押し返せるぞ!」


だが―― 仮面の者たちは違った。

白い仮面が、 一斉にラースへ向く。

その動きは、 まるで“ひとつの意志”で動いているかのように統一されていた。


(……やっぱり、普通じゃない)


ラースは弓を引き絞り、 最も近い黒装束へ矢を放つ。

ヒュッ―― ドスッ!

矢は胸に刺さるが、 男は声ひとつ上げず、 そのまま前へ倒れ込むように突進してきた。


「……っ!」


ラースは横へ跳び、 地面を転がりながら短剣を抜く。


(痛覚が……ないのか?)


倒れたはずの仮面の者が、 血を流しながらも立ち上がろうとしていた。

護衛の騎士が叫ぶ。


「こいつら、死ににくい! 気をつけろ!」



馬車の中は激しく揺れ、 外からは剣戟と怒声が響いていた。

セシリアは座席にしがみつき、 震える息を整えようとしていた。


「エルナ……外は……?」


侍女エルナは窓の隙間から外を確認し、 短剣を握りしめたまま答える。


「護衛が応戦しています……ですが、数が多い。

 それに……あの仮面の者たち、動きが異様です」


セリアは唇を噛む。


「……どうして、私たちが狙われるの……?」


エルナは答えられなかった。

だが、外の戦況が変わったことには気づいた。


「……一人、加勢に来ています」

「一人で……?」

「ええ。若い男です。

 ですが……ただ者ではありません」



仮面の者が二人、 左右から同時に斬りかかってくる。

ラースは後ろへ跳び、 地面を蹴って距離を取る。


(連携が速い……!)


一人の剣を短剣で受け流し、 もう一人の足を蹴り払う。

倒れた瞬間、 喉元へ矢を突き立てた。

ドスッ!

血が飛び散るが、 仮面の者は声を上げない。


(……やっぱり、何かがおかしい)


息を整える暇もなく、 別の仮面の者が斧を振りかぶって突進してきた。


「少年、下がれ!」


護衛の騎士が割って入り、 斧を受け止める。

金属がぶつかり、 火花が散る。

ラースはその隙に弓を構え、 斧の男の側頭部へ矢を放った。

ヒュッ―― ガンッ!

仮面に当たり、 白い面が割れた。

その下から覗いたのは―― 無表情の、焦点の合わない瞳。


(……人間、なのか?)


ラースの背筋に冷たいものが走った。



戦況が一瞬だけ落ち着いた時、 エルナが馬車の扉を開け、護衛に声をかけた。


「そこの方! 馬車を押し直せますか!」


ラースが振り返る。

その瞬間―― 視線が交差した。

馬車の中、 フードを深く被った少女。

セシリア。


ラースは息を呑む。

(……誰だ?  いや……どこかで……)


セシリアもまた、 ラースを見つめたまま動けなくなっていた。

(この人……どこかで……)

だが、 互いに名乗ることはない。

戦場の緊迫が、 その一瞬の静寂を切り裂いた。



仮面の者たちが、 再び無言で突撃してくる。

ラースは馬車の前に立ち、 短剣を構えた。


「ここは通さない」


護衛の騎士たちも並び立つ。


「少年、頼りにしているぞ!」

「馬車を守り切る!」


馬車の中で、 セシリアは拳を握りしめた。


「……どうか、無事で」


エルナはセシリアを守るように寄り添いながら、 ラースを見つめた。


(あの少年……本当に、ただ者ではない)


ラースは深く息を吸い、 迫り来る仮面の者たちへ向かって走り出した。


(守るべきものがあるなら――戦うだけだ)


戦場の空気が震え、 金属の音が再び響き渡る。

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