ゆるキモトカゲは分相応な夢を見る～ファンタジーな異世界は思い込みと勘違いでできたミステリー～　１

　十五年前、弊政による国家崩壊寸前の淵から甦った王国グラン・シァトゥルは、先代王の負の遺産として未曽有に強大化した、一万七千に及ぶ魔王軍に王都を襲われる。奇跡を行使する二大聖人と教会軍の勇者に、王国近衛隊長が一致協力。一か八かの急襲部隊が、魔王城に残る魔王と跡継ぎを討ち果たした。
　数日後、急襲部隊は王都に帰還したが、それは不死身の剣士と謳われた現王子息の、犠牲を伴う凱旋となる。

　凱旋の道中、長年魔王城に囚われの奴隷が持ち出した卵から世にも珍しい珍獣が生まれ、近衛隊長の目に留まった。
　かくして、兄の凶報で悲嘆に暮れる妹殿下を慰めるため、『それ』が献上されるところからこの物語は始まる。




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