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9,あなただから

※本作には学校でのいじめや身分差に関する描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。

学園に通い始めて数日が経った。

”どん!”

「....っと」

鈍い衝撃が肩に当たった。

「あら、ごめんなさい。そこにいたとは気が付きませんでしたわ!」

「いえ....大丈夫です。」

傍から見てもわざと当たったようにしか見えない。でも、そこを指摘してもとぼけるに違いない。

「....っと、こちらあなたの教科書ですわね。はい、どうぞ。」

「あ、ありがとうござ....」

「あら、申し訳ございませんわ。手から滑ってしまいました。」

”バサッ”そんな音とともに教科書を落とされた。

「....。」

「....なんですの?その目は。手から滑ってしまったと申したでしょう。」

「いえ....なんでもございません。そう見えてしまったのであれば、申し訳ございません。」

「あら、どうなさいましたの?こんな所で....。まさか、彼女に何かしてるわけではございませんよね?」

「フィ....フィオナ様!?い、いえ。まさかそんなこと....」

「そう?まぁ、この国の方針を知っているのですから....フフフ。」

「す、すみません。わたくし、急ぎの用事があったのを思い出しましたわ。そ....それでは、失礼いたしますわ!」

そう言い放ち、令嬢は去っていった。

「彼女はちょっとやんちゃが過ぎますわね....。皆様、今一度お考えになってくださいね?なぜ、この国が平民を差別してはいけないという考えを持っているのか....それでは、失礼いたしますわ。」


「....っち。なんで、反論してこないのかしら。向こうから向かってくれば、辞めさせることができますのに....。それに、フィオナ様まで....」


——誰が乗るかっての。アッカンベー!

「それにしても、フィオナ様はなんで私を毎回助けてくれようとしてくれるのかな?」

「リナちゃん大丈夫?」

「ベルちゃん!大丈夫だよ。」

「たく、あのご令嬢はいつまでやるつもりかな?相手にされてないのわかってるだろうに。」

「まぁ、意地になってるんじゃない?ここまで無視されたら。」

「そういえば、なんでやり返さないの?」

「....え?だってわざわざ相手の土俵に立つ必要ないでしょ?それに、下手にやり返したら相手の思惑通りになりかねないでしょ。」

「それもそうだね。」

そんな話をしつつ、私たちは次の授業に向かった。誰かに見られている気配を背に感じながら....


「かのご令嬢は、今の状態が危ういってことに気が付かないのかな?この学校には、他にも平民の者が通っている。彼らが、どう思っているかも....」

そう、つぶやいた王子はその場を後にした。


また別の日、階段付近にて。

「そういえば、今まで考えていたけどフィオナ様の性格が違いすぎない?小説だと率先して、私をいやリナをいじめていたのに。今、いじめてきているのは別の令嬢....。うん?そういえば、フィオナ様のそばには取り巻きがいたよね。....。あ!そうだ。あの令嬢は取り巻きの一人だ。」

やっと、思い出した。彼女が小説でどんな役割だったのか疑問だったけど、取り巻きの一人だったらいじめてきてもおかしくないか....。ってあれ?原作と違ってフィオナ様は動いていない?

「それにしても、フィオナ様がいじめてこない理由は何だろう?イベントだってそうだ。起こるはずのものが全く起きないし....。もしかして、他に転生者がいる!?そうだ、それなら納得がいく。じゃあ、誰が転生者なんだろう....」

ふと、後ろになにかいるように感じ横によけた。

「って、なんでよけますの!わたくしが落ちてしまったらどうしますの!」

「え?す、すみません?」

「きー!ふざけやがりまして!」

え~、これって私が悪いの?

「えい!って、あ!」

「うわぁ!」

「あ、あぶない!」

「わ、わたくしは、悪くないですわよ!....わ、悪いのは、よけたあなたのせいよ!」

そういって令嬢はその場から立ち去った。


「いや、私のせいかよ。って、それよりもあなた大丈夫?」

「あ....ああ。君が助けてくれたから問題ないよ。」

「そう、それならよかった。って、あなた貴族の人!?....ご、ごめんなさい。平民に触れられたくなかったですよね....?」

「いや、助けてもらってそんなことを言うつもりはないよ。それに、僕は平民がいなければこの国が成り立たなくなってしまうことも知っているからね。」

「そ、そうなんだ....」

「逆に、すまなかったね。君の方こそ、貴族を助けたくなかったんじゃないかい?」

「それは....絶対にないです。確かに彼女にいろいろされているけど、それで助けないことにはならない。それに、お父さんの仕事を手伝ったときに良い貴族の人ともあったことがあるし....貴族全員が悪い人だとは思いません。」

「なるほど、実際にあったからそう思ったんだね。....助けてくれてありがとう。もし、何か困ったことがあれば手を貸そう。それじゃ。」


「さすが、わたくしが友達になりたいと思った方ですわ。」

「フィオナ様!?ご、ご機嫌よう。」

「はい、ご機嫌よう。」

「....て、友達になりたい方って言いましたか!?」

「ええ、そうですわ。あなたとは、わたくしお友達になりたいと思っておりますの。」

「で、でも私は平民ですよ!」

「平民だから何ですの?わたくしは、あなただから友達になりたいんですの。普段からいろいろ受けているのにもかかわらず、やり返すことはありませんし。先の出来事でも、相手がどんな人であろうと助けようとした。」

「いや、それはそうですよ。たとえ貴族の人だろうと、全員が彼女のようだとは思いませんから。」

「ふふ。その言葉を聞いてより、友達になりたいと思いましたわ。それに過去、わたくしは同じように命を助けられたことがありますの。....その時と同じ考えを持っているあなただからこそ。」

ええ?この方、本当にフィオナ様?違う人なんじゃ....

「やはり、ダメですの....?」

「い、いえ。そ、そんなことございませんよ。」

「ふふ、じゃあこれからは友達としてよろしくお願いいたしますわ。」

何が何やら。リナは困惑しつつ友達になることを了承したのだった....


「それにしても、彼女の考え....どこかで聞いた思想ですわね?」

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