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8,負けてやるもんか!

※本作には学校でのいじめや身分差に関する描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。

「はぁ....はぁ....っ。」

息も絶え絶えになりながら、私はあの場から早く抜け出した。ただ、フィオナからのいじめをどうにか対処すればいいと考えていたが学園自体がこんな感じだとは....

「....痛っ。」

先ほどこけてしまったときに、ケガをしていたようだ。

「最初からこの感じだと....平民はここでは受け入れられていないのかな?」

キズの手当てをしながら、考えを巡らせていると。

「でも、このままやられっぱなしは性に合わない。絶対見返してやる!平民だからとかどうとか言われない成績を収めて。」

そう決意をし、ケガの痛みを力に私は教室を目指した。


「まさか、私が入学する年でこんなことが起こるとは....。」


陰で見ている人がいることに気が付かなかった。


——教室にて

「ここが、私が1年間通うところか....ってもうだいぶ人は集まってきてるんだ。あ、あそこもしかして平民出身の人が....」

教室に入る前、そんなことを考えながら中を観察していると、後ろから——

「そんなところで何をしているんだい?教室にも入らず。」

「....え!あ、すみません。邪魔でしたよね。」

そう言って、声の主の方を見た。

「いや、問題ないよ。ただ、すぐに入らなかったから気になっただけだよ。もし、入りづらいなら私と一緒に入るかい?」

「あ、いえ....大丈夫です。もう少し教室内を見てから入るつもりなので。」

「そうかい?....て、自己紹介をしていなかったね。私はフェリクス・インジェント。これから1年間よろしく。」

「わ、私は、リナと言います。よろしくお願いします?」

「じゃあ、私は先に行くね。」

そう言って、先に入っていったフェリクスの後ろを見送っていると。

「....は!フェリクスって王子様!?....ってそんなこと言っている場合じゃない、教室に入らないと。」

そして、私は先ほど確認した人たちの集まりのところに向かった。


「あ、あの....ここ座ってもいい?」

そう声を掛けたら、まさか自分とは思っていなかったのかびっくりした顔を向けられた。

「え....!ああ、大丈夫ですよ。どうぞ。」

「ありがとう!よかった~。」

「うん?....って、あなたそういえば入り口で貴族の人に足を掛けられていた人よね?大丈夫だった?」

「うん、自分で手当てしたから大丈夫。心配してくれてありがとう。」

「まさか、貴族の人がするとは思っていなかったからびっくりしたよ。今まで、私の家がかかわってきた方たちはあんな事をするような人じゃなかったもの。」

「え?あなたの家も何かお店をしているの?」

「ええ、私の家はブティックなの。」

「そうなんだ。私の家もね商家なんだよ!あ、そう言えば自己紹介してなかったね。私はリナ、あなたは?」

「そういえばそうだね。私は、ベル。一年間よろしくね。」

「よろしく!」

学園で初めての友達ができたとうれしく思い、話に花を咲かせていると先生が入ってきた。


「ええ、皆さんお静かに。今からこの学校の説明を行います。まず——」

そう言って説明を終えると先生は最後にこう締めくくった。

「この学校には、貴族出身の方と平民出身の方がおります。そのためここでの経験が、大人になったときに必要なものとなるでしょう。初めから忌避することなく、関わり経験を学んでいってほしいと思います。」

——そんなこと言ったって、忌避してしまうよ。向こうが、こっちと関わろうとしないんだから。


「まあ、先生はいったい何を言っているのかしら。平民と仲良くなんて出来るわけないではありませんか。」


そんなつぶやきが、貴族の座っているほうから聞こえた。


「さて、本日は特に授業はないので交流をするなり寮に戻って予習をするなりしてもらって大丈夫です。それでは解散。」

そして、初日はベルやほかの平民の人たちと話して終わった。


——授業中

「はい、それではこちらの問題を——」

毎日の授業は日本で学んでいたことよりも難しくないから問題はなかった。ただそれを面白く思わない人連中が私を主な標的にしてきた。特に、貴族のマナーの授業時にそれは特に行われた。

「身分の低いものと高いものがいます。この場合はどのように挨拶するのが正しいでしょうか。リナさん答えてください。」

「はい。えっと....。」

「クスクス。まあ、こんなことも答えられないなんて。やはり、平民はダメですわね。」

「ほかの人はお静かに。リナさん、答えられませんか?」

「えっと....。高いものから最初に声を掛けて、低いものが返すと....思います。」

「はい、正解です。基本的に、身分の低いものは高いものから声を——」

急に苦手分野で当てられ胸の奥で心臓がうるさく鳴っていた。

「ふん、それくらいできて当然ですわ。」

貴族側から嘲るような声が上がったが、私は無視することにした。こういう手合いは、反論したところで無駄だ。

「さて、本日の授業はここまで。予習と復習を忘れないように。」

「やっと終わった。ベルちゃんこの後一緒に勉強しない?」

「うん、いいよ。それにしても毎回飽きないのかな?あんな事言ったところで、相手にされてないのにね。」

「まあ、今のとこ実害ないし、このまま卒業まで何もないといいな。」

「そうだね。」

そんな話をしながら私は、教室を出ようとした。

「ねえ、リナさん。」

「え....。は、はい。どうかしましたか、フィオナ様?」

「いえ、さすがと言いたかっただけですわ。毎日しっかりと勉強なさっている証拠ね。」

「あ、ありがとうございます?」

「ふふ、これからも頑張りなさい。もし、貴族のマナーがわからなければ教える事は可能なのだから。」

「え、なぜそこまでしてくれるんですか?....私は、平民ですよ?」

「平民だからなに?あなたが頑張ろうとしているから、わたくしは手を貸すのですわ。貴族だからと勉強しない方よりも、とても好感を持てるから。それでは、また。」

そう言って、フィオナは去っていった。

「フィオナ様って貴族らしい貴族だよね。」

「う、うん。そうだね....。」

私たちも教室を後にした。


「ち、平民風情が。フィオナ様に気にかけられてるからっていい気になって。そうだわ、わからせてやりましょう。ふふ、楽しみだわ....。」


「あの令嬢は、気を付けておいたほうがいいね。ある意味、この学園生活でこの国の膿が出せるかもしれないね....。リナ嬢には申し訳ないけど....。」


この先、何が起こるのか——まだ誰も知らない。

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