10,裏での策略
今回はリナ視点だけでなくアルベルト公爵、フェリクス王子の視点も書いております。
前回、フィオナと友達になったリナ。
「あの....フィオナ様。少しお聞きしたいことがあるのですが....」
「どうなさいました?....って、お友達になったのに敬語なのはいかがなものかしら?」
「え、でも授業で目上の人と話すのは敬語でと教わったのですが....」
「それは!そうですけど....距離があるようで寂しいですわ....」
「う~ん....それでは二人のときかベルと一緒のときはため口で、他に人がいるときは敬語というのはどうでしょうか?」
その言葉を聞いたフィオナはまるで、花が咲いたかのような笑顔を見せた。
「....!それで構いませんわ。それでは、今は二人ですので敬語はなしですわよ。」
回りを見るといつの間にか、私たち以外には人がいなかった。
「わかり....じゃない。分かった。」
「それで、聞きたいこととは何ですの?」
「あの....私にいろいろとしているご令嬢の名前って何かな?って思って。」
「ああ、彼女ですの?彼女の名前はモニカ。トリーマキ伯爵家の一人娘ですわ。」
——
学園から遠く離れた公爵家の屋敷では、学園の方角を見ながらつぶやく男がいた。
「彼女は今頃どうしているかな?」
”トントントン”
「入れ。」
「失礼いたします。アルベルト様、彼女のことについてご報告いたします。」
「ああ、待っていたよ。それで、彼女は学園でどうしているのかな?」
「はい。彼女は、平民の子に対して陰口を言ったり足を引っかけたりと行っております。」
「ほぉ....ということは平民に対して、彼女は嫌悪感を持っているといってもいいのかな?」
「そうですね。彼女は自分の成績より平民の子が高いのが許せないようです。」
「そうか、そうか。ということは私の計画は成功しているということか。過去の計画が失敗したと思ったが、問題なかったようだな。」
「そのようですね。」
「やっとだ....やっとあいつの経歴を傷つけられる。長年の夢が叶うんだ!」
”ハーハッハ”
公爵の満足げな高笑いが屋敷中に大きく響いた。
「と、いつまでも君を引き留めておくわけにはいけないね。もう、下がってもらって構わないよ。」
「それでは、失礼いたします。」
”パタン”
使用人が外に出たのを確認して扉から背を向けた。
「公爵家である彼女が率先して平民差別を行えば、他の者も同じように差別を行うようになるだろう。それに成功率を上げるためにもう一人、同じ教育を行った者もいる。申し訳ないが、率先して行った彼女達は、ただでは済まないだろうな....」
「もう一人、同じ教育を行った者もいるのか?これは、王子に報告しなければ。」
公爵は、部屋から出ていった使用人が耳を澄ませているとは、想像もできなかった。それこそ、計画を成功していると思っているが、過去に失敗したときに破綻していることにも....
——
”バン!”
寮中に響くかのような音を立てて、扉が開いた。
「フェリクス王子、ご報告があります!」
「ああ、おかえり。とりあえず、勢いよく開けるのは扉が壊れてしまうからやめてね。」
「す、すみません。すぐにでも報告をしなければと思った次第で....」
「次からは気を付けてね。それで、報告とは?」
先ほどの穏やかな顔とは違い真面目な顔をして話を促した。
「はい、先ほどアルベルト公爵のもとに報告をしにいったところ、彼は誰かの経歴を傷つけようとしているそうです。また、退出した後もう一人フィオナ嬢と同じ教育を行った者がいるとのことです。」
「もう一人....か。それはたぶん、彼女なんだろうね。で、誰の経歴を傷つけたいと思っているのか....。そこが分かれば、彼がなぜこんなことをすることになったのか知ることができるかな。」
フェリクスは今後、どう動くべきか考えながら訪ねた。
「そういえば、公爵にはどう報告したんだい?」
「はい。公爵は彼女としか言わなかったため、トリーマキ伯爵令嬢の行動を報告いたしました。」
「ありがとう。これからも申し訳ないけど、公爵の行動を監視しといてくれないかい?もし、何か動きがあればすぐに報告してほしい。」
「はい、承知いたしました。それでは、失礼いたします。」
そう言って、彼が部屋から出ていくのを見届けてつぶやいた。
「公爵は、いったい誰の経歴を....ここは、慎重に調べなければ。」




