11,お茶会と、ひとつの違和感
今回は、ほのぼの回です。
裏でいろいろと思惑が渦巻く中リナたちは....
「それで、聞きたいこととは何ですの?」
「あの....私にいろいろとしているご令嬢の名前って何かな?って思って。」
「ああ、彼女ですの?彼女の名前はモニカ。トリーマキ伯爵家の一人娘ですわ。」
彼女の家名って取り巻きになるような名前だな....
「モニカ様....って平民の人に過去何かされたのかな?」
「さぁ?わたくしは特に聞いたことはないですわ。」
もし特にないとしたら、何か良くないことを吹き込んだ人がいる?そういえば過去に出会った少女も先生に教えてもらったって言ってたな。もしかして、その先生?そうだとしたら、何が目的なの....?そんなことを考えてたら、ふと嫌な予感がした。
”キーンコーンカーンコーン”
思考を一時中断するほど、大きな音が鳴り響いた。
「あら....もうこんな時間。リナさん、あなた今度の休みの日予定は入っているかしら?」
「休みの日?その日は授業の復習とか予習するぐらいかな。」
「それなら、お茶会をしませんこと?」
「お茶会?」
「ええ。せっかくお友達になれたのですから、もっと親睦を深めたいの。もちろん、ベルさんも呼んで構いませんわ。」
これは、罠なのか。それとも、本当にそう思っているのか判断が付かず考え込んでしまった。
「やはり....ダメかしら?」
フィオナの顔が捨てられた子犬のような顔に見える。そんな顔を見たら、ダメだなんて言えっこないよ。
「だ、大丈夫だよ。」
「本当ですの!」
そんなものはないはずなのに、ものすごく尻尾を振っているように見えた。
「ただ、ベルちゃんについては聞いてみないことには....」
「ええ、わかっておりますわ。一度、聞いてみてくださいまし。もし、予定があれば断っていただいても大丈夫と伝えておいてね。これは、わたくしのわがままでしかないのですから。」
「わかった。伝えとくね。」
「お願いしますわ。それでは、もうそろそろ失礼しますわ。」
「うん、じゃあまた明日。バイバイ!」
「....!バイバイですわ。」
そう言って、フィオナ様と別れた。バイバイといったとき、彼女の顔はとてもうれしそうだった。
「まさか、あそこまで喜んでくれるとは....ということは本当に親睦を深めたかっただけか。」
そうつぶやきつつ、その日は寮に帰宅した。そして、次の日ベルに確認を取ったところ問題ないとのことだった。フィオナ様にそのことを伝え、休みの日までたまに話したりして過ごした。
お茶会の約束をした日から数日が経ち、その日を迎えた。
「リナちゃん、本当に私も行って問題ないんだよね....?」
「うん、大丈夫だよ。もともと、フィオナ様からベルちゃんも誘っていいって話を貰ってたから。」
「貴族の人とのお茶会なんて、緊張する。しかも、フィオナ様となんて....マナーが間違ってたらどうしよう。」
「あ、そうか。お茶会にもマナーがあるのか。....え、どうしよう。私も心配になってきた。」
そんなことを話しつつ、お茶会の場所に向かった。
目的地に到着したところ、目の前にいろんな色が広がっていた。その色たちは、それぞれの色を邪魔しないようにでも埋もれないように主張していた。
「....!学園にこんな綺麗な場所なんてあったんだね。」
「本当に綺麗だね....え、私たちこんなところでお茶会できるの!?」
「あら、お二方もういらしていたの?」
目の前の光景に目を奪われていたから、後ろから声を掛けられたことに肩が跳ねてしまった。
「フィ....フィオナ様、ご機嫌よう。本日はお招きいただきありがとうございます。」
「ふふ、ご機嫌よう。そんな固くならなくても、問題なくってよ。今日は、親睦を深めたいだけなのですから。」
「わ、分かりました....。」
「そういえば、しっかりとした自己紹介をしていなかったわね。わたくしは、エルベェール公爵の娘フィオナ・エルヴェールと申しますわ。」
「私は、ベルと申します。本日は私も呼んでくださりありがとうございます。」
「ベルさんね。リナさんにも前言ったことなのだけど、あなたも気安く接してくださって構いませんわ。」
「そ....それは、おいおいで構いませんか?すぐにそうするのは、恐れ多いので....」
「まあ、仕方ありませんわね。ベルさんは慣れてからでも、構いませんわ。」
「えっと....私忘れられてる?」
「あ、申し訳ございませんわ。別に忘れていたわけではないのよ?」
「いや、別に文句を言いたかっただけではないけど....」
——いや、こんなことを言ったら今の状態がつまらなかったて言ってるようなもんじゃん。
自分が何を言ったのか理解したら、顔から火が出るような感じがした。
「ふふ、それじゃあお茶会を始めましょうか。」
そして私たちは、席についてお茶会を開始した。とても良い香りのするお茶を飲みながら、フィオナ様が急にこんなことを言い出した。
「わたくし、お二方にお聞きしたいことがありますの。」
「「私たちに/ですか?」」
「ええ。お二方は好きな方とかいますの?」
まさか、そんなことを聞かれるとは思わなかったので慌ててしまった。
「え!い、いないよ?!」
「私もいないですよ?」
「そうなんですの?でも、慌てて答えたリナさんは怪しいですわね....」
「私も気になります。リナちゃん、どうなの?」
持っていたカップを置き、視線をそらしながら
「い、いや。本当にいないから。学園の勉強とかが忙しいし。」
「ふ~ん。」
「なに、その疑うかのような目は。というか、フィオナ様はどうなの!」
「....え?わたくしですの?」
「だって、フィオナ様はフェリクス王子と婚約者なんだよね?王子のことどう思っているんですか。」
「そういえば、そうだね。で、実際どうなんですか?」
ベルちゃんも興味深々と言いたげな顔でフィオナ様に聞いていた。
「フェリクス王子ですの?とても、素晴らしい方だと思いますわよ。」
「いや、確かにそうなんだけど。恋愛面でってこと!」
「恋愛面ですの?でも、わたくしたちの婚約は政略で決まったことですから....」
「え?じゃあもし、王子の隣に自分じゃない人が立ってたらどう思う?」
”カチャ”
「王子の隣にですの....?う~ん....」
「まさか、ここまで考え込むとは思ってもなかったな。」
「でも、考え込んでるってことは何か思いがあるんじゃない?」
「それもそっか。じゃあ、答えが出るまで私たちは黙っておこうか。」
「それにしても、フィオナ様って平民に対してこんなに良く接してくださるんだね。」
「わたしも、初めて会ったときからびっくりしてるよ。」
フィオナ様が答えを出せるまで、お茶を飲みながら待っていたら。
「それは....イヤですわね....」
まるで、ふと漏れてしまったかのようなつぶやきが聞こえてきた。
「ええ、イヤですわ。彼の隣に別の人が立つというのは。」
「政略で決まったことなんて最初に言うから、何とも思わないかなと思ったけどイヤなんだ~。」
「な、なにがいけませんの。イヤと思うことが!」
「いや、別にいけないと思ってないよ。ね~。ベルちゃんも思うよね。」
「うん、ただご令嬢として完璧なフィオナ様にそんな一面があるなんてと思っただけですよ。」
「うんうん。それで?今までに何かあったりしたの?」
「何かですの....?」
今までに何があったか思い出そうとしているフィオナ様の顔を見ていると、突然真っ赤になった。
「こ、この話はここで終わりですわ。べ、別の話をいたしましょう。」
「顔を真っ赤にするようなことがあったんだ~。ふ~ん。」
「ふふ、やはりかわいらしい方ですね。」
「その話は、終わりですわ!そ、そうだわ。ベルさんあなたのお家はブティックなんですのよね?」
「ちぇ~」
「はい、そうですよ。何かありましたか?」
「いえ、今度新しいドレスを仕立てようと思いまして——」
私たちは、ドレスについてや平民ではやっていることなんかを話した。最後には、距離がとても近づきまた次の休みにはお茶会をする約束をするほどに。
「今日は、とても楽しかったわ。」
「私も、楽しかったよ。」
「私もです。本日は本当にありがとうございました。」
「ふふ、また今度お茶会をしたいのですけれどいいかしら....?」
私とベルちゃんは顔を見合わせて大きく頷いた。
「はい、また誘ってくれると嬉しいです。」
「よかったですわ。それでは、また誘いますわね。」
次のお茶会の日を楽しみにしている私は知らなかった。休み明けにあんな事が起こるなんて....




