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4、少女を案内そして....

大通りに向けて歩いていると。

「それで?どこに案内してくださいますの?」

どうせ危ないところしかないんでしょ、とでも言いたげな声で質問された。

それでも、なんだかんだついてきてくれるのは自分の目で確認したいって気持ちがあるからだと思う。

「そうだな~、最初は私たちがよく行くお店でも案内するよ!」

そういって、リナの記憶からお店を思い出そうとした。

「よく行くお店ですの?そこに行けば平民の暮らしがわかるというのかしら?」

「お店だったら買いに来る人とか多く居るから、観察するには最適だと思うけど....。」

「....なるほど、それは一理ありますわね。分かりましたわ、そこに案内してくださる?」

「じゃあ、よく行くお店に案内するね。」

「そういえばあなた、名は何と言いますの?」

「え、名前?」

「ええ、そうですわ。名がわからなければ呼べないでしょ?」

——どうしよう、名前そのまま教えていいのかな?もし、フィオナだった場合、下手に教えたくないんだよね....。え、本当にどうしよう。

急に立ち止まって、考えてしまっていると。

「なぜそんなに考えていますの?名を教えていただきたいといっただけですのに....。」

「え、あ。ごめん。私の名前ね。私の名前は....。名前は....リーちゃんって呼んで!」

「リーちゃん....。ふふ。分かりましたわ。」

「あ!そ、それならあなたのことはなんて呼んだらいい?」

少女はびっくりしたような顔で、こちらを見ていた。

「え、もしかしてダメだった....?」

「いえ、まさかそう返されるとは思っていなかっただけですわ....。それもそうですわね。答えてもらったのに答えないというのは不誠実ですものね。わたくしは、フィオ....。いえ、フィナと呼んでちょうだい。」

「フィナちゃんね!わかった」

「あなた、距離を詰めるのが早すぎるのではなくて....?」


そんな話をしていると、急に。

「お、嬢ちゃんじゃねぇか!なんだ?随分とかわいい子と歩いてるじゃねぇか。もしかして、友達か?」

「あ、揚げ物屋のおじさん!そうなの、今日知り合ったばっかりだけど友達になったんだ。この子どうやら今日初めてこの街に来たらしくて今案内してるところ!」

そう返事を返したら、急に袖を引かれた。

「ちょ、ちょっと待ちなさい!わたくしは、友達などではないでしょ。あなたが街を案内してくれるというからついてきただけですわ!」

「え、でも名前を教えあったし、友達でいいんじゃないの?」

「あなた、それはいくら何でもフランクすぎないかしら。名を教えあったから友達っていうのは、いかがなものかと思うわよ。」

「じゃあ、フィナちゃんはどのタイミングで友達だと思うの?」

「そ、それは....。」

そんな言い合いをしているとおじさんが。

「随分と仲がいいじゃねぇか。嬢ちゃんが誰かと一緒にいるのでさえ珍しいってのに、こんな言い合いをするほどの仲とはなぁ~。それになダチってのは、ダチになりてぇと思ったらダチなんじゃねぇか?」

「ダチ?」

「友達ってことだよ。」

「友達になりたいと思ったら友達....。そんな簡単なことなのかしら....?それに平民と友達だなんて....。」

そんな言葉をぽつりとつぶやいたフィナは考え込んでしまった。

「まぁ、そんな難しく考えるこたぁねぇけど。結局は自分の気持ち次第だな。」

「気持ち次第....。」

「これは、サービスだ!お前さんらはまだ若けぇ。ゆっくりと答えを出していけばいいさ。」

そういって、コロッケを貰った。

「え、良いの、やったー!フィナちゃんやったね。おじさんの作るコロッケ本当においしいんだよ!」

「そ、そうなの?でも....。いえ、これはわたくしをはめようとしていますわね!」

「え、そんなことしないよ。食べ物にそんなことしたらもったいないじゃん。それにこれはアツアツのうちに食べるのがおすすめだよ!さ、食べてみて。」

私やおじさんの顔を交互にみて躊躇しつつも。

「わ、分かりましたわ....。いただきますわ。」

一口食べたフィナは目をキラキラとさせて。

「とってもおいしいわ。コロッケ?というものはこんなにおいしいものなんですの?」

「ふふん、そうでしょ!おじさんありがとね!」

「おう。そんなにおいしそうに食べてもらえるとはな。作ったかいがあるもんだ。もし、またここに来ることがあれば買ってってくれや」

おじさんと話をしながら貰ったコロッケの残りを食べてしまい、次の場所を目指して歩き出した。


「平民とはあんなに明るく接してくれるものなんですの?....いえ、たまたまかもしれませんわね。」

ふと、口からこぼれ出たつぶやきが隣から聞こえてきた。

「そうだね、まあそこは人次第ってところだけど....。フィナちゃんはさ、街を少し歩いておじさんと話してどう思った?」

「そうですわね....とても明るいって思いましたわ。とても危ない人がいるとは思えないくらい。」

「実はね危ない人ってのは、たとえ平民だろうと貴族だろうと関係なくいるもんなんだよ。」

「貴族にもですの....!いえ、そんなはずありませんわ。」

フィナちゃんはまさか、貴族にもいるとは思いもしなかったといった反応をしていた。というより、知らされていなかったっていうほうが正しいのかもしれない。

「じゃあさ、フィナちゃんの家にも平民もいるんじゃないの?」

「そういえばそうですわね....。そこまでよく考えていなかったですけど確かに家にも平民出身の人がいますわね。」

「その人たちは危ない人だと思う?」

「いいえ、思いませんわ。彼らは、わたくしが幼いころから使えている方たちですもの。危ない人などと、そんなことありえませんわ。」

「じゃあさ、もしフィナちゃんの家の人が連れていかれたらどう思う?」

「それは....許せませんわ。」

「それをやってたのが貴族ってこともあるんだよ。それと、フィナちゃんの危ない人には盗みをする人も入ってる?」

「ええ、入っていますわ。」

「もし、フィナちゃんは食べ物を買うお金がなかったらどうする。しかも、それまで何も食べれていなかったら。」

「どうするといわれましても、とても想像できませんわ」

「私ね、たまたまお父さんの仕事についていったとき見たことがあるの。そういう人。すごく痩せててさ食べたくても食べられなくて盗みをしないと生きていけないって人を。」

「....そんな世界があるなんて。わたくし、何も知らなかったのね」

「私が話した内容が信じられないなら、ほかの人に聞いてみるっていうのも手だと思う。それこそ領地経営している人だったりもし、聞けるんだったらフェリクス王子とかにも聞いてみるといいかも。」

「え、フェリクス王子にもですの?」

「そう。フェリクス王子それこそ王族はこの国をより良いものにしようと公平な判断をしてくれるって噂があるの。それに、こんな良い国を作ってくれている王族なら差別せずにしっかりと判断してくれると思う。」



「先生はこのことを知っていたのかしら....。」


そうつぶやいた一言に気が付かなかった。

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