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3.少女との出会い

「バタン!」

扉からそんな音を立てながら、勢いでそのまま外に出るために玄関まで走ろうとした。

そう、走ろうとしたんだ。

「こら!扉は優しく締めなさいって教えたでしょうが!」

そんな声に体を震わせ、ゆっくり後ろを振り返った。

「ご、ごめんなさい!……いつの間に帰ってきてたの?」

「さっき帰ってきたばっかりよ。……というか、そんなに急いでどこに行こうとしたの?」

「いや、ちょっと外に気になるものがあって……」

——うん……嘘は言ってない。そう、言ってない。

「気になるもの?特に外でイベントとかなかったはずだけど……?」

「イベントとかじゃなくって、えっと……」

なんてお母さんに言おうかとしどろもどろになっていると

「ま、あなたぐらいの子供には大人じゃ気にならないものが気になってしまうんでしょうね。」

——なんか、かってに納得しちゃってるけど特に説明しなくて大丈夫……?

「外に行くのは別に構わないけど、裏路地とか人が少ないところには行かずに大通りとかだけにしといてね。騎士の人たちが警備してくれてるといっても、危ないところは危ないんだから。」

「は~い!それじゃあ行ってきます!」

——ほかに何か言われる前に早くいかなきゃ。

私は、走らずにでもできるだけ早く家からでた。


——それにしても、本当に異世界に来ちゃったんだなぁ。

そんなことを思いながら大通りを歩いていると周りと雰囲気が違う少女が何かを探しながら歩いているのを見かけた。

——確かあそこの道は裏路地に入る道だったと思うけど、あの子大丈夫かな?

そう、うじうじ悩んでたら少女がどんどん奥に行っているのが見えて急いで声を掛けた。

「そこの君、そっちは危ないよ!」

呼びかけた声に反応してくれたのか、少女がこちらを振り返った。

「....どうしたの?お父さんかお母さんは一緒じゃないの?」

声を掛けられた少女は私のほうをじっと見ていた。

綺麗なドレス、整えられた髪。どう見ても貴族の子供にしか見えない。

けれど少女の瞳は、どこか戸惑っているようにも見えた。

「どうして…?」

小さくこぼれた声に、私は首をかしげる。

「え?」

「どうして、私に声を掛けてくださったの?」

その言葉に、思わず瞬きをした。

「だって、困ってそうだったから」

そう答えると、少女は息を吞んだように固まった。

「....変な人。」

ぽつりとそう言いながらも、彼女はここに来た目的を答えてくれた。

その少女は少しだけ震えていた。

「アルベルト先生に教えていただいた内容が本当なのか確認したかったのですわ。」

「アルベルト先生....?」

「そうなんですの、いろいろと平民について教えてくださる先生なのだけれど実際に自分の目で見てみたかったんですの。」

「平民についてか....。教えてもらった内容を確認するのはいいことだと思うけど、こっちの道は一人だと危ないよ。」

本当に危ないかはわからないけど、子供一人で行くのは本当に危ないと思う。

日本だって、そういうところに行くのは危ないって教わったしね。

「え?ですが先生はこのような道を通れば平民についてよくわかるとおっしゃっていたのだけれど....。」

「確かに、平民の暮らしの一部はわかるかもしれないけど子供だけで行くのは本当に危ないんだよ。」

少女はものすごく困惑をしていた。

それもそうだろう、先生に教わっていたことを確認しに行こうとしてるだけなのに危ないって言われたのだから。

「裏路地を見たいんだったら、護衛の人を連れておいたほうがいいよ。特に、そんな綺麗なドレスを着ている子は貴族だって言っているようなものだし、一人なら簡単に誘拐だってできちゃうんだよ。」

「やはり先生のおっしゃっていた通り、平民は危ない人達なのですね!」

せっかく少女の震えがおさまっていたのに、また震えるようになってしまった、

「いや、全員危ない人なわけではないよ!ただこういう道の先にいる人はそういう人がいやすいってだけで大通りのほうなら騎士の人だっているから安全だよ。それに、私の近所の人とかお店の人は優しい人ばかりなんだよ!」

そう、リナの接してきた人達はよく声を掛けてくれたり、お使いのときなんかおまけをくれたりしてくれていた。

「だから、今日は大通りのほうだけの確認にしない?というかしよう!ね!私が案内してあげる。」

「ですが、あなただって危ない人ではないということはわからないのではなくって?」

「それは、そうなんだけど....。でも、実際に暮らしている私と一緒のほうが平民の人がどんなふうに暮らしているかとかわかりやすいんじゃない?」

——ううん....。どういえばいいんだろう。でも下手なことをいうとこの子、平民は全員悪い人だと思いかねないし...。

そう、頭を悩ませていると

「まぁ、それもそうですわね。実際に暮らしている人と行動することも確かめるための方法の一つですものね。それならば、お願いできるかしら?」

「え、あ、うん!こっちから言い出したことだしね。任せてよ!」

——よかった、何とかなった。でも、どこから案内しようかな?

でも、何となく箱入りっぽい感じとフィオナっぽい雰囲気がするんだけど...。もしフィオナだったら、今なら平民差別の考えを変えられる?

——でも、本当にフィオナだとしたら...。関わっても大丈夫かな?

そんなことを思いつつ、少女を案内するためにまずは大通りのほうに足を進めるのだった。


「先生のいうことのほうが正しいのですから...。」


そう、少女のつぶやいた一言に私は気が付かなかった。


そして別の場所では、


「あの子が今回の外出でどんな”判断”を下すのか楽しみだ...。」


そうつぶやいた男は笑みを浮かべた。

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