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2.記憶の整理

朝ご飯を食べているときふと思った。

「そういえば、お母さん。今日相手するはずだった高貴な方の家名か名前って聞いてもいい?」

「……え?昨日、夜ご飯を食べているときにお父さんといっしょに教えたはずだけど……。」

その言葉を聞いて私は慌てて

「いや、それもそうなんだけど昨日聞いただけだったからちゃんと覚えきれているか心配だっただけで……。」

「まぁ、それもそうよね。お相手するはずだった方はエルベェール公爵家よ」

「エルベェール公爵家……。」

確かに昨日聞いたような気がするけど……。

でも、リナとしてではなくほかの場所でも聞いた気がする。

「どうやらね、公爵の娘さんが今度誕生日らしくってプレゼントを選びたいという話だったのよ。」

「へぇ~。公爵様って娘さん思いなんだね。」

家名を聞いてから頭の中がもやもやして話半分に聞いていると。

「ただ、やっぱり公爵となれば仕事が多いらしくて本当だったら今日はようやく取れた休みって話だったの。でも、領地のほうで問題があったらしくそちらの解決に向かうことになってキャンセルになったのよ。」

その話を聞いて何か思い出しかけたけど、何か喉に骨が引っ掛かったかのような感じがした。

「ま、今日はキャンセルになったことだし今後お父さんの仕事を手伝うならそういうお客さんも相手することを覚えておくといいわ。」

「は~い。」

「ちょっとお母さんは出かけてくるから食べ終わったら食器は洗っておくのよ!」

「わかってるってば、そんなこと言われなくてもするつもりで~す。」

そんな話をしつつご飯を食べ終えたら食器を片付け、私は記憶の整理をするために一度自分の部屋に戻った。


お腹もいっぱいになって頭にもエネルギーが流れてる状態なら整理できるかな……。

そんなことを思いながらまず自分に2つの記憶があることから整理していこう。

まず、私にはリナと日本人だった記憶がある。今の体はリナだからリナとして生きていることが今の私なんだと思う。

でも、日本人だった私の最後の記憶はよくある転生のもののような最後を迎えてるわけでもないんだよなぁ~。

そんなことをぐるぐる考えてめんどくさくなった私は。

「うん、たぶん日本人の私は記憶に残っていないだけで何かあったんだと思う。で、リナに転生した。もうそれでいいや……。というか夢で痛みはないって言われるし頭痛がした時点で夢じゃなかったんだ。」

「それよりも、リナって名前とエルベェール公爵どっかで聞いたような……?それにお母さんの話をどっかで聞いたような……。」

——あ!思い出した。転生前に読んでいたあの小説だ。

ヒロインのリナ、悪役令嬢のフィオナ・エルベェール、王子のフェリクスが主な登場人物の小説。

ものすごく簡単に言うと、フィオナが学園でフェリクスに話しかけられたリナに嫉妬していじめやケガさせることをして断罪されるっていうような話だったような。

もっと話は凝っていたと思うけど、確かそんな内容だったはず……。

えっ……。ということはこのまま学園に通ったらいじめられる?

それは嫌だ、というか誰だっていじめられるのは嫌に決まってる。

それならいじめられることがわかっているから、それを避ければいい。

でも、できるのかな?強制力的なものはないよね?というかあって欲しくない!

「避けるためには王子から話しかけられないことが一番なんだろうけど……そうはいかないよね。」

それ以外にもイベントは多くあったはず。

——じゃあ

「どうしたらいいんだろう……。」

そんな言葉がこぼれてしまった。

いや、いっそのこと何もしないほうがいいのかもしれない。

下手に変えるとケガなんかがよりひどいことになると思うし、特に命の危険があるものだけ避ければいいよね……。

うん、そうしよう。

今後の行動が決まった私はふと外が気になった。

「この世界は小説にあった国が舞台なんだよね……。ということは!」

部屋の窓を思いっきり開けて外を見た。


「わー!すごい、日本では見られない風景だ!」


リナとして記憶があるのに、街の人々の服装や馬車そのすべてが日本とは違っていて、勢いで部屋を飛び出した。

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