1、前世の記憶を思い出す
「ヒヒーン!」
——やけに近い。まるで部屋のすぐ外で鳴いているみたいな。
そんな馬の鳴く声に目が覚めた。
「あれ、この近くで馬なんて飼っている家あったっけ?」
そんな疑問を抱きながらベッドから起き上がろうとして体に違和感を覚えた。
「え、なんか手小さくない?そのうえ私髪の毛なんて染めていなかったよね?」
急いで部屋にあった姿見で自分の姿を見た瞬間
「え?……え~!いつも見ていたくたびれた姿じゃなくてかわいい系の女の子になってる!しかも目の色が青い!」
そう、私はこんな7歳くらいの少女ではなかったはずだ。ましてや、こんな目の色だって日本人だった私にはありえない。
というか、昨日はいつも通り平凡に一日を過ごし次の日の仕事のために早く寝てしまったはずだ。
……いや確か次の日は珍しく休みになったから趣味である読書を遅くまでしていたわ。
「あ、なるほど。これは夢か。じゃ寝る前までに見ていた小説を夢で見ているだけか」
となると、なんの小説を読んでいたっけな?
う~ん、確か最近人気の小説だったと思うけど…
そんなことを考えていると、
「リナ!、起きたのなら下に降りてきて早くご飯食べてしまいなさい!」
「は~い!着替えが終わったらすぐ行く」
母親らしき人の声に反射で返事をした。
「うん?反射で答えたけど特に違和感なく返事できたのなんで?というか私の名前リナっていうんだ。」
そんなことを考えながら着替えていると急に頭に今までリナとして過ごしてきた記憶がよみがえってきた。
「は……?え、今頭の中をよぎった記憶ってリナとしての記憶だよね……あれ?」
私はリナとして今まで生きてきた?
いやでも、普通に会社員として生きてきた記憶もある。どういうこと?
リナとしての記憶、会社員としての記憶どっちが正しいの?
考えれば考えるほど記憶の違いに頭痛がする。
夢にしては、妙に感覚がはっきりしている。というよりも頭痛がする時点で夢じゃない……?
「リナ~!まだ降りてこないの?ごはん冷えちゃうわよ!」
いや、いったんごはんを食べに行こう。考えるのはそのあとでもいいよね。
「今から行く~!」
「もう、やっと起きてきた…。それにしても珍しいわねあなたがなかなか起きてこないなんて。
ましてや、大声を出すことってめったになかったと思うけど?」
「ごめんなさい、声を出したのはちょっと怖い夢見たみたい。それよりも今日の朝ごはんって何?」
「まったく、仕方ない子ね。今日はパンと目玉焼きと牛乳よ」
私の主食はお米のはずだけど、リナとしてはいつも通りのごはんとしか思わない。
記憶の違いがどちらが本当なのかよくわからなくなり突っ立ってしまっていると
「もしかして、今日は体調悪かったりする?」
そんな声を掛けておでこに手を当ててお母さんは熱があるか測ろうとした。
「え!、だっ大丈夫。寝起きでちょっと頭がぼーっとしてるだけ」
急にお母さんが目の前にいてびっくりしてしまい、早口で言い訳を言うと
「まぁ、触ってみた感じ熱はないみたいね。もし体調が悪くなったら早く言うのよ。」
「は~い。もし悪くなったら早めに言うね。」
そんな会話をしながら私は席に着き、お母さんの洗い物をしている後ろ姿を見ながらごはんを食べた。
「あ、そうだわ。今日お父さんの手伝いをしてきてほしいって話を昨日したじゃない。」
「うん。確か今日は高貴なお客さんが来てたくさん買われていくから手伝ってほしいって話だったよね」
「そう。そのことなんだけど、どうやら予定が変わったみたいなの。だから今日は自分のしたいことをしなさいね。ただ、外に行くときは声を掛けてから暗くなる前に帰ってきてね。」
「わかった。」
今日の予定だった手伝いがなくなったのかぁ。
じゃあ、いったん部屋で記憶の整理をしたほうがいいかもな。
というよりかしないと私が混乱してどうにかなってしまいそう。
私は、パンをちぎり食べながら今日のこの後の予定を立てた。
その時はまだ知らなかった。
あの時、外に出るという選択をしたことが——その後のすべてが変わってしまうことになるとは。
初めての作品のため、つたない部分があるかもしれません。そのため何となく流し読みするような感じでよんでいただければ幸いです。
更新については続きを思いついたら書いていくスタンスでやっていきます。
転生者がリナという少女に転生したことで起こる世界のずれ、それはいつどのような影響を及ぼすのか
それでは、次の話でお会いしましょう。




