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14,差し込まれた一言

パーティーに向けてパートナーが必要だということを知ったリナ。まずは、フィオナから貰った情報を基に行動を始めた。


「まず、パートナーの狙い目といたしましては、子爵家や男爵家の方たちですわ。特にこのような方々は、おすすめですわよ。」

そう言って、候補の方の写真を出してくれた。

「なんでおすすめなの?」

「この方たちは、一度話したことがありますの。その時に、良い方たちであると思いましたの。また、婚約者もいるということも聞いてはいませんから。」

確かに、写真を見る感じ優しそうな雰囲気が見て取れた。

「分かった。最初は、この方達に声を掛けてみるね。」

「じゃあ、私は平民の人たちの中にまだパートナーがいない人が本当にいないかどうか確認してみるね。」

「ベルちゃんも、フィオナ様もありがとう。私、頑張ってみる!」

「その意気ですわ。」

私は、二人の協力を無駄にしないように、決意を胸に掲げパートナー探しに向かった。


——

教室に向かい目的の人物がいるのを確認した。

「まずは、あの方に聞いてみましょう。」

「あの人だね。....頑張ってくる。」

「ええ、ここから応援いたしますわ。」

その言葉を聞いて私は声を掛けるために歩き出した。

「え、付いていかないんですか?」

「ええ。心配なのはわかりますわ。けど、わたくし達もついていくと相手に強制させてしまいかねませんわ。リナさんにとってもそれは、避けたいはずですもの。」

そう言ったフィオナは、手を握りしめていた。


「あの....少しお話いいですか?」

「うん?ああ、構わないよ。どうしたんだい?」

声を掛けてみたところ、柔らかく笑っていて身構える様子はなかった。この人なら組んでくれるかも!

「学期末にパーティーがありますよね。」

「そう....だね?」

「そ、それで....パートナーになって欲しいんです!」

「喜んで....と言いたいところだけど、ごめんね。もう、パートナーがいるんだ。」

「え。そ、そうなんですね。こちらこそ、すみません。お話を聞いてくださりありがとうございます。」

そう言って、私はお辞儀をしてその場から離れた。

その後も、同じように声を掛けてみたが全員ダメだった....


放課後、

「まさか、全員ダメだとは....申し訳ないですわ。」

「ううん。フィオナ様がいい人だと思ったってことは、パートナーが決まっていてもおかしくないよ....」

教室の机で項垂れていたら、聞き込みを行っていたベルちゃんが帰ってきた。

「....ごめん、こっちもダメだった。」

「そ....っか。逆にありがとうね。」

「そんな!ありがとうなんて....私は、協力するって言っておいて何も出来ていないんだから。」

ベルちゃんの表情は悔しさが浮かんでいて、フィオナ様もその言葉を聞いて表情が歪んでしまった。

「それなら、わたくしだって何も出来ていませんわ。狙い目と言っておきながら全員ダメだったのですから。」

重い空気を私たちの間に感じて、空気を変えようとした。

「今日は、本当にありがとう。フィオナ様、いただいた候補以外にはパートナーがいない方はいないんですか?」

「....え?いますけど....おすすめはいたしませんわよ。」

「大丈夫です!もとはと言えば、行事について把握してなかった私が悪いんだし....」

そう言って、私は遠くを見た。

「....本当におすすめはいたしませんわ。それでも、構わないんですの?」

「うん、構わないです。教えてください。」

「....はぁ。そこまで言うのでしたら、仕方ありませんわね。」

しぶしぶ、本当にしぶしぶといった雰囲気で他の候補を教えてもらった。

「この方たちで全員ですわ....」

「ありがとうございます!よし、明日からまた頑張るぞ。」

明日への決意を胸に抱いているとき不安そうな声が聞こえた。

「フィオナ様....彼らとパートナーを組んでリナちゃんが嫌な思いをしませんか?」

「可能性は無きにしも非ずですわ。でも、リナさんは決意を変える気はなさそうですわ。」

そう言って、私のほうを二人が見てきた。

「うん、変える気はないよ。それに、私には二人がいるもの。それだけで、頑張ろうと思えるんだよ。」

まさか、そんなことを言うとは思ってなかったのか二人の顔はうれしいさと仕方ないなという気持ちが入り混じっていた。

「はぁ、そんなことを言われてしまっては仕方ありませんわね。ねぇ、ベルさん。」

「ええ、そうですね。フィオナ様。」

「へへ、わがまま言ってごめんね?」

「かまいませんわ。そのわがままが言えるのは、わたくし達がいるからでしょうし。」

「もし、何かされたらすぐ教えてね!また、前みたいに私を巻き込みたくないって思わないで。私は、リナちゃんの助けになりたいんだから。」

「わかった。もし、そんなことがあれば巻き込むからね。」

そして私達は顔を見合わせ、笑いあった。


”二人とも、本当にありがとう”


そう心で感謝をつぶやいた。そして残りの時間は、授業でわからないところを教えあったりして過ごした。


——

次の日、私は声を掛けて回った。

「す、すみません!あのパートナーになってくれませんか?」

「申し訳ないが、他を当たってくれ。」

最初は、他を当たるように言われた。

「すみません!」

「家の都合で平民とは組めないんだよ。申し訳ないね。」

次の人は、家の都合で組めないといわれた。

そして、その後同じような断りが続いてお昼休みが来た。断られるたび、胸の奥が削られていくのを感じた。


「リナさんを断るなんて、いったいどんな目をしているのかしら。」

そう言ったフィオナ様の目には怒りが宿っていた。

「そ、それは身内びいき過ぎない....?」

「身内びいきでありませんわ。本当に、リナさんは素晴らしい人だというのに!フフ、後で後悔しても遅いわよ。」

「そうですよ。こんないい人を断るなんて、後悔してしまえばいいんです。」

ベルちゃんもフィオナ様の意見に同意するように言い放った。

「いや、私なんて二人が思ってるほどいい人じゃないよ?それに、まだ候補者全員に聞いたわけではないし....」

そんな話をしていた私たちの後ろから男子生徒の話声が耳に入り込んできた。


「今日さ、リナって平民にパーティーのパートナーになって欲しいって声かけられたんだけど。」

「お前も?まぁ、あの噂がある限り誰も組もうとは思わないだろうな。」

「でも、その噂はあのフィオナ様が否定していたらしいけど....」

「だとしても、ああいうのって完全に嘘ってわけでもないだろうし?」

「そうだな、平民って身分だしそんなことを犯してもおかしくないもんな。」


「そこのあなた達!その話、詳しく聞かせなさい!」

私のことを言っていた男子生徒はフィオナ様の怒りの乗った声を聞いて、震えあがった。

「ど、どうしましたか。フィオナ様?」

「どうも、こうもないわ。リナさんの噂とやらを聞かせていただきましょうか?」

「へ?あの平民のですか....?」

そう言って男子生徒達は顔を見合わせていた。

「ええ、そうよ。それで、いったいどんな噂が流れているというの?」

「そ、それは....あの平民が、貴族の物を盗んだという噂です!」

まさか、あの事件のことが出てくるとは思わなかった私は、言葉が出なかった。

「へぇ、そう....あなた方は根も葉もない噂を信じるんですわね。」

まさか、フィオナ様からそんなことを言われるとは思わなかったのか慌てて弁明を始めた。

「で、ですが。噂というものは火のない所に立たないじゃないですか。」

「わたくしは、長く彼女のそばにいますけどそのようなことをする方ではありませんわ。まさか、その噂を信じて彼女の誘いを断ったというとでも?」

フィオナ様は男子生徒に詰め寄り、そう聞いた。

「そ、それだけではないです。あの子の誘いは断るように言われたんですよ。」

「言われた?いったい誰にですの。」

「そ、それは....」


「ん?」


「モニカ伯爵令嬢にです!私達下の身分の者には、上の者の話を断ることはできないことはご存じのはずです。」

「まぁ、そうなんですの?モニカ様がそんなことを....」

「も、申し訳ございませんがもう、良いでしょうか?」

「....まあ、分かりましたわ。下がってかまいませんわ。」

その言葉を聞くや否や、男子生徒達はその場を急いで離れていった。


「あの時のことが、ここで響いてくるなんて....」


「申し訳ございませんわ。」

「な、なぜフィオナ様が謝るんですか?!」

「わたくしが、見過ごしてしまったのは事実ですもの。」

「そ、それは結果論ですよ!フィオナ様が悪いわけではありません。」

「で、ですが....」

「それに、そんな噂が流れてたり断るように言われているなら、私と組んでくださる人はいないのは仕方ないですよ。」

そんな私の言葉にフィオナ様は何か言おうとしているが言葉が出ないようだった。

「一つ聞きたいんですが、パートナーがいない状態での参加は成績に響くと言ってましたよね?」

「ええ、そうですわ。それに、参加は必須ですもの。」

「成績に響きはするけど、参加しないよりはましですよね。」

「え....ええ。」

「それなら、私パートナー無しで参加いたします。」

「そ、それは!」

「だって、仕方ないじゃないですか。組もうとしてくれる人がいないんですから。」

「ま、まってもしかしたら組んでくれる人はいるかもしれないでしょ!」

「ベルちゃん、励ましてくれてありがとう。でもそんな、物好き貴族様にはいないでしょ。」


”コツ、コツ”

「だったら僕は、”その物好き貴族”ってことになるね。」


そんな言葉が後ろから聞こえて私たちは後ろを振り向いた。

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