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第22話 ビアンカの手乗りドラゴン

第22話 ビアンカの手乗りドラゴン


「グレイブ、あれ、ビアンカちゃんじゃないか?」

「もう一人は誰だろう? 見たことないやつだな」


「ん? どこだ?」

「うむ、確かにビアンカだな」

「ちっ、もう一人はビアンカのところに昨日から居候してるやつだ」


「い、居候? ビアンカちゃんの家に?」

「うらやましい奴だな」

「あの二人、朝から何やってんだ?」


「こ、コリン。今なんと言った??」

グレイブの首が、ぎぎぎ、と音を立てそうな勢いでこちらに向いた。


「え、いや、べつに。。。」

コリンは悟った。

今、自分は踏んではいけない地雷を踏んだようだ。


「あの二人・・・と言ったな?」


「ああ、まぁ…」


「それは、周りの者すべてを除外し、二人だけに焦点を当てた表現だな!」

「つまり、二人が特別だという含みがあるな!」


「そんなに濃い話じゃ……」


「なんと、なんとうらやましい響きだ!」

グレイブは拳を握りしめ目をつぶって悔しがっている。

 

「それから、『朝から何やってる?』とは、つまりだ!」

「一日の始まり!」

「まだ皆が活動的でない時間に、二人だけ雰囲気が違うということだな!!」

「くっっ! 許せぬ…」

 グレイブの目がキッと開かれ、二人の行方を追った。

 拳はさらに固く握られ、血が出てきそうな勢いだ。


おいおいおいおい……


ホントこの人、ビアンカちゃんが絡むとおかしくなるな…


「ビアンカが危ない。どこかに連れていかれようとしている」

「追うぞ!!」


「・・・」

いや、どっちかっていうと、思いっきりビアンカちゃんが連れて行こうとしてるんじゃ…。


「何をしている、早く来いっ!」


「はいはい……」


【コリン:ビアンカちゃん好き度100 グレイブめんどくさい度80 流される性格度80】


*****************************************************************************************


「い、いったん落ち着こうよ!」

はぁ、はぁ。息が切れる。


「落ち着いてなんていられないわよ」

「だって二日経ってるのよ?」

「まだいてくれてるかしら」


「もう逃げてるんじゃない?」

そ、そんなに大事なのかなー。


「それでも絶対見つけるわよ!!」

「あ!!!!」

「チロルも連れてくるんだった!」

「動揺してたわ」

「ここからじゃ遠いかしら??」


「な、なにが?」


ビアンカちゃんは急に目を閉じた。

すると、ざわついていた森の木々が、一瞬だけ静まり返ったような気がした。

彼女の眉間のあたりで、目には見えない「波紋」が空気を震わせているような、そんな奇妙な錯覚に陥る。

そして、頭から何かを発しているかのように力を込め、うんうんとうなずき始める。


「……チロル。聞こえる?」


小さくつぶやいた声は、誰に向けたものでもないように見えた。

けれど、ビアンカちゃんは真剣そのものだった。


「・・・」


しばらくすると、ぱっと表情が明るくなる。


「よし、届いた」


といって村の方の空を見上げ始めた。

「こっちよーーー、おいでーーーー!」


僕には、ビアンカちゃんが眺めている空に何も見えない。


「きたきた!! こっちよーー」


な、なんか、来る。


そいつはビアンカちゃんを見つけると、一直線に急降下してきた。

ぶつかる!!

そう思った瞬間、直前でぴたりと止まり、ビアンカちゃんの腕の中にすっぽり収まった。


「よく来てくれたわーーー」

「いい子、いい子」

ビアンカちゃんはそいつを抱きしめながら、頭をなでている。


「シギャシギャっ♪」


て、て、て、手のひらサイズのドラゴンだ!!!!


ドラゴンなんて初めて見たぞ!!!

サイズ感がかわいいが、よく見るとディテールはしっかりドラゴンしている!!!

かわいいと危険が同じ器に入ってる感じだ。


「あ、あの、ビアンカちゃん?」

「どう? かわいいでしょ?」

「あたしの手乗りドラゴンのチロルちゃんよ!」


「ほんとに、手乗りサイズのドラゴンだね」

「その、危なくないの?」

「火とか噴いたり…」


「火なんて吹くわけないでしょっ!」

「ねー、危なくなんてないわよねー」

 ビアンカちゃんはチロル?をなでなでしながら話しかけている。


「さて、話は歩きながらするわよ」

 といって、速足で進み始める。

 進み始めた瞬間にチロルはビアンカちゃんの手から抜け出し、自分でパタパタと飛んで付いていく。


確かにかわいいな。

僕もあわてて、歩きはじめ、ビアンカちゃんの隣を歩く。


**************************************************************************************

こそこそ……

グレイブとコリンは街道脇の木々に身を隠しながら前を行く二人を追っていた。


「ビアンカちゃんのチロルがきたね」


「うむ。ビアンカもこのままだとさすがに危険だと思ったのだろう」

「良い判断だ」


「危険っていうか、楽しそうに見えるけど?」


「だからこそ危険なのだ!」


「おっ、歩き始めたぞ」


「な、何っ!!」

「あのバカチロルっっ!!」

「場所が逆だ!!」

「二人の間に陣取らないでどうする!!」

「ぐぬぬぬぬ……」

「しょ、しょせんは獣か…」


「おいっっ!!!」

「誘拐犯とビアンカの距離がさらに縮んだぞ!!」

「かわいそうなビアンカ…」

「もはや、様子見などといっておれんっっ!」

 

グレイブが背中に背負った剣に手をかける。

今にも飛び出していきそうだ!!


「お、落ち着いて!!!」

「まだ早い!! しっかり証拠を押さえるまではダメだよ」

 

コリンはグレイブを必死に止める


(証拠って、僕は何を言ってるんだよ?!)

(今のだって、ビアンカちゃんの方から耳を寄せに行った感じだぞ!)

(まぁ、今この人に何を言っても無駄だな。むしろややこしくなる。。。)

【コリン:ビアンカ好き度100 客観的観察度80 グレイブ取扱度90】


*************************************************************************


「ねぇ、そのドラゴンが通信するの?」

「どういうこと?」

「さっきみたいに何か送るの?」


「ちょっと、あまり大きな声で話さないの!」

「手乗りドラゴンの思念伝達は私たちだけなんだから!!」


ビアンカちゃんは、僕の袖を軽く引っ張り、声を落とした。

自然と距離が近くなる。


近い。

通信より先に、僕の心臓が何かを受信している。


「そ、そうなんだ」

「ごめんごめん」


「それは、手乗りドラゴンは他にもいるけど、僕たち以外はその伝達はできないってこと?」


 僕は、少し声の音量を下げて話した。

するとまた、ビアンカちゃんが自然と顔を寄せてくる。


 むふ♪ これはもはやデートというやつですね!

 むふふのふ♪


「そうよ」

「案内書にそう書いてあったわ」


「ドラゴンはね、もともとそういう思念に敏感な生き物なのよ」

「で、私たちの手乗りドラゴンはね、心が通じた相手の思念を受け取れるの」

「さらに、受け取ったものを、他の手乗りドラゴンに飛ばしてくれるのよ」


「ほぅほぅ」


「でも、あなたはチロルと念が通じていないでしょ?」

「だから、私があなたに何か伝えたい時は、まず私からチロルへ」

「それをチロルが、あなたの手乗りドラゴンへ飛ばす」

「そして、あなたの手乗りドラゴンから、あなたに届く」


「つまり……」

「ビアンカちゃん、チロル、僕の手乗りドラゴン、僕」

「ってこと?」


「そういうことね」


「ビアンカちゃん→チロル→僕、みたいに直接は無理なの?」


「無理よ」

「手乗りドラゴンは、普通、主人一人にしかなつかないもの」


「なるほどね」


「で、その思念の伝達って、したことあるの?」


「まだないわ」

「まだ手乗りドラゴンを飼っている人に会ったことないもの」


「え? じゃあどれくらい便利なのかわからないんじゃ・・・」


「どう考えても便利でしょ!」


「そりゃそうだけど・・・」


「んぎゃんぎゃ」

 

突然チロルが少し騒ぎ出した。

ビアンカちゃんに何か言っているようだ。


「どうしたの?」

「この辺、なにかあるの?」

 

ビアンカちゃんは、チロルをなでなでする。


「もしかして、あなたの手乗りドラゴンが近くにいるんじゃ!!」

 ビアンカちゃんは、ぱっと顔を上げてこちらを見た。


「あの、チロルの言うことはわからないの?」


「それはわからないわよ。手乗りドラゴンは思念を捕まえて、そのまま流してくれるだけだもの」


「そうなんだ」

「なるほどね」


「あ、チロル? どこ行くの?」


チロルは森の方へパタパタと飛んでいく。


「行くわよ!」


「はーい」


僕たちは街道を外れ、木々の中に入っていった。


少し入ったところで、チロルがこちらを見て待っていた。

すると、「あそこ、あそこ」とでも言うように、翼を器用に動かしながら斜め奥を指した。


いるのか?

まさかあのまま死んでいたりしないだろうな……。


僕は恐る恐るチロルの方へ近づいていく。

チロルの横まで行くと、体を屈め、僕とビアンカちゃんは草に隠れながらチロルが指す?方向を覗いてみた。


その先には・・・


「なんでやねん!!!」


なんと、一匹の手乗りドラゴンが石の上にふんぞり返り、うさぎたちから食べ物を献上されていた。


第22話 完


【ミッション:初期装備ドラゴンの回収】【現在地:街道脇の森】

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