表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/22

第12話 村長さんの裁き

「村長のおなりである」

と衛兵が言うと、廊下の奥から、おそらく村長が歩いてくるドカドカという

音が響いてきた。


モーサムさんが頭を下げる。

そして小声で、

「おめぇも、頭を下げろ」

と言ったので、僕も慌てて頭を下げた。


頭を下げたままでも分かる。

歩いてきた人物が椅子に腰を下ろした瞬間、床が少し鳴った。

かなり重量のある人らしい。


「おぅおぅ、モーサム。こ奴が昨日言っておった青年か?」

 

上の部屋から、恐ろしいくらい重低音の響きをもった声が届いた。


「はい、ナオえもんって言いまさぁ」


モーサムさんは頭を下げたまま返事をしている。

かなり敬意をもって接してはいるが、怯えているような様子はない。


「よし、面を上げい」


村長さんが言うと、モーサムさんは頭を上げた。

それを見て、僕も恐る恐る少しずつ目線を上げ、村長さんを見た。


か、か、か、海賊だ!!!

いや、ここは山の中だ。山賊か!!!


眼帯こそしてないが、片目には十字の傷痕が走っている。

身体はデカくて、広くて、厚い!!

「武の塊」のような男が目の前に座っている!


「ナオえもんと申すのか」

「わしがこの村の村長、グラディウスである」

「畏まることはない。普通にしておればよい」

 村長さんは、いかにも貫禄たっぷりに言った。


「は、はい。ナオえもんと言います」

僕は答えながら、改めて村長さんをよく見てみた。


良かった。

腕はフックになってないし、足も例の義足じゃない。


ただ、僕は心の中で泣いていた。


違うでしょ。。。

お城、畳、椅子、岐阜県

ここまで来たら、誰だって信長様の登場だと思うじゃないですか。

とても残念だ。


鬼の貫禄を放ちながら、グラディウス様はじっくり間を取っている。

僕は、こちらから何か言うべきか。

それとも、身分が下の者から話しかけてはいけないのか。

判断がつかないまま、固まっていた


「ほう、大したものだな」

「初めてわしを前にして、動じておらんようだ。。。」


くっ!またかっ!!

また、やってしまった!!!


どうする?

今からで間に合うか?

い、一歩も動けない。。。


「それで?」

「おぬしは、街道で全裸でいるところをこのモーサムに拾われて、今に至るというわけだな」

「記憶もないと」

 村長さんは、確認するように言った。


「はい、その通りです」

 僕は素直に答えた。

 あるがままの事実だ。


ただ、全裸で捕獲されたことは、すでに公式記録となってしまっているようだ。。。


しかし、今だ!

今しかない!!


発動、スキル「偽パニック・弱」!


「そ、そ、そその通りなんですが、その前にお尻カプってされて、jgふdfhg」

「ガタゴト通り過ぎるから、gふdfhぐ」

「両手ピシッしたのは、僕は悪くなくて、ぅfkぎんぶ」


「おいおい、落ち着け!」

「村長さんを前にして、緊張するのはわかるが、落ち着け、な?」

モーサムさんは両手で僕の肩をもち、必死に落ち着かせようとしてくれる。

スキルは決まっているようだ。


「すいません、村長。こいつぁ、その、昨日もうちで倒れちまいまして」


僕はモーサムさんの隙間から、衛兵4と村長さんをほんの一瞬だけ垣間見た。


よし……!

衛兵の目は死んだ。

村長の肩の力も抜けた。


どうやら「……ふん、勘違いか」と思い直してくれた様に見受けられる。

スキル、偽パニック・弱!

見る目が無い相手を、そこそこ騙せる。


「ふん、落ち着くがよい」

 そう言ったグラディウスさんは、少し時間をおいた。

 そして、思い直したかのように、口を開く。


「さて、ナオえもんよ。わしの目を見よ」


「え?」

僕は言われるがままに、村長さんの開いている方の目を見てしまった。

 

グラディウスさんの目は動かない。

僕の目をじっと見続けている。

僕も目をそらせない。


片目だけなのに、逃げ場がない。

見られているというより、覗かれている感じがした。


しばらくすると、村長さんがふっと視線を外した。


「なるほど」

「混じってはいないようだ」


混じってない?

な、なんですかそれ?

なんかマズイ展開ですか?


「混じってはおらぬが、お主、何者だ?」


し、しまった!!

また、恐怖心を盛り込まず普通に目を合わせてしまった。

しかも見続けてしまった。

何度、何度同じ過ちを犯すんだ、僕はっ!

今からどうこうしても、もう遅い。

ちくしょうー! ここまでかっっっ!!!


その時、僕の頭の中に何かが舞い降りた。


いける!

これなら、まだいけるぞ!


くらえ!スキル「偽パニック・弱」!!!


あわあわあわ。。。

僕は言葉を出せず、ガクガク足が震えている。


ぶ、べ、ぼ、ぎ。。。。

謎の言語を発する。


3人は眉をひそめてこちらを見ている。


ここからだ!

奥義、多重スキル「死にゆく者」


ナオえもん 

奥義:多重スキル

解説:スキル発動中に別のスキルを重ねて発動する高等技術。

効果:スキル同士が共鳴し、威力が上昇する。

注意:敵を欺く精神攻撃系を多重すると、人としての尊厳を失いかねない。


ユニークスキル:「死にゆく者」

解説:「精神的限界点をこじ開けられた状態」まで自らをもっていき、敵を欺く混乱系攻撃スキル。

効果:見る目が無い相手を、恐慌状態に陥らせる。


僕は泡を吹いて、そのまま後ろに倒れていった。


「ナオえもん」

モーサムさんが慌てて僕を抱き起こす。


「どうした!しっかりしろーーっ!!」

「村長ぉ、そんな眼力飛ばすなんて、どうしちまっただxs-」

 モーサム:間近で多重スキルをまともに浴び、恐慌状態・強


「グラディウス様っ!!!」

「何もそこまでっっ!!!」

衛兵4も僕に駆け寄る。

衛兵4:突然の多重スキルをくらい、恐慌状態・強


「ぐっ、お前らっ!」

「べ、別にわしはっ……」

「ちっ、医者じゃぁーーーーーーーっ」

グラディウス:正面からの多重スキル直撃+周囲二名の恐慌に巻き込まれ、動揺・中

 


こうして村長との最初の面談は、半ばうやむやのまま終了した。

僕はしばらく村に滞在してもよいことになった。


グラディウス: 優しい村長度0 武の塊度100 見る目いまいち度75

ユニークスキル:絶対オーラ

解説:常時発動型スキル。

圧倒的なオーラで周囲の者の心をひれ伏せさせる精神系範囲攻撃スキル。

効果:だいたいの成り行きが、スキル発動者に有利な方向へ進む。

欠点:友達が非常にできにくい。        


第12話 完


とりあえず村への滞在を勝ち取ったナオえもん。

医者を呼ばれる大ごとになりましたが、ここからどう「普通の村人」として潜伏していくのでしょうか。


それとも、この「死にゆく者」キャラが定着してしまうのか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ