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エルデーン世界記録集 ― Chronicle of Eldern

淵睨録

最新エピソード掲載日:2026/09/19
二百年前、一冊の本が異端として焼かれた。

その名は――『淵睨録』。

「魔法を使えば、世界のどこかに必ず“残り滓”が生じる」

そう考えた一人の学者は、誰も疑問に思わなかった魔導の仕組みを調べ始める。

人々が魔法を使うたびに生じる「澱み」。

それは消えているのではない。

世界の底――闇界へと、数千年にわたって沈み続けている。

ならば、なぜ世界はとっくに澱みに満たされていないのか。

計算が正しいのなら、答えは一つしかなかった。

――世界の底で、何者かが今もそれを受け止め続けている。

研究を進めた学者は、やがてエルデーンの正典に記された「反逆神」の歴史そのものを疑い始める。

本当に彼は世界を裏切ったのか。

それとも――。

しかし、その研究をまとめた『淵睨録』は異端書として焼却。

著者自身も人里離れた塔へ姿を消し、数年後、底なしの淵を残して消息を絶った。

それから約二百年。

一人の研究者が、彼の暮らした塔から大量の紙片を発見する。

最初の記録は、冷静だった。

仮説を立て、証拠を集め、数字を検証する、ごく普通の学者の文章。

だが年月が進むにつれ、文字は乱れ、文章は崩れ始める。

「影が伸びている」

「底が満ちる」

「門は、どちらを向いている」

狂人の妄想。

そう片付けることは簡単だった。

ただ、一つだけ問題がある。

――彼の残した記録は、調べれば調べるほど、辻褄が合ってしまう。

これは世界の真実を覗いて狂った男の手記なのか。

それとも。

狂人と呼ばれた男だけが、最後まで正しかったのか。

架空世界エルデーンに残された禁書と、その著者の絶筆断片を編纂した記録。

「エルデーン世界記録集」禁書・異端文献編。
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