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応人の盾

カノンさんが帰ったと思ったら、今度は店長が大声を上げる。


「おおい! みんな、『お知らせ』を見ろ!」


どこを見ればいいのか分からなかった僕は、教科書のない転校生のように、東野さんのモニターを覗かせてもらう。


■■■ リベンジ戦&大合戦の参加邑募集について ■■■


皆様から多数のご要望をいただき、この度『リベンジ戦』の導入が決定いたしました。


「友達の邑と戦いたい」「以前敗れた邑と、もう一度戦いたい」といったご要望にお応えする、新たな対戦方式となります。


邑長同士でフレンド登録を済ませている邑、あるいは過去に対戦履歴のある邑へリクエストを送り、相手の邑長が承認すると対戦が成立します。


また、現在八日に一度となっている対戦間隔についても、六日に一度への変更を検討しております。


あわせて、大型イベント『大合戦』の実装に向けたテストを開始します。


今回のテストは、百人対百人で実施いたします。邑人百人以上の邑を対象に参加を募集し、ご応募いただいた中から、運営が二つの邑を抽選いたします。


対戦決定後、プレイヤーによる操作は必要ありません。対戦の模様および結果は、後日動画サイトにて放映いたします。


「カノンが言ってたことは、これか……」


店長、なんだか楽しそうだ。


どちらかというと、にやけてる?


ちょっと悪い顔になってますよ。


僕に分かったのは、友達の邑と対戦できることと、八日周期の対戦が六日周期へ変わろうとしていることぐらいだ。


それは、楽しくなる気がする。


「パパ、『リベンジ』しよ? 西野君もやりたいよね? 三階のお姉さんたちと」


卑猥に聞こえたことは言うまい。


「う、うん。楽しそうだね。カノンさん、このこと言ってたんだね」


喋り方に気をつけたら、変な喋り方になってしまった。


「みんなもいいか? 三階に『リベンジ』を出すか?」


店長の言葉に、


「いいじゃん! いいじゃん!」


椅子を揺らす直くん。


後ろのモニター上には、


『是非!』


と書かれた紙。


一体、あの紙はどこから出てくるのか?


「決まりだな。今からLINEを送る。西野君、先に入ってくれるか?」


ピロン、と着信音が鳴る。


グループチャットへの招待だ。もちろん承認する。


「入りました」


返事と同時に、着信が続く。


直くん、モブさん、東野さん。それぞれから、よろしくのスタンプ。


直くんは棒人形のスタンプ。


モブさんは米俵? どこで買えるのだろう。


東野さんのスタンプは、般若がよろしくと言っている。呪われそうだ。


最後にピロン。


店長かと思ったら、榊さんだった。


アニメで見たことのある女の子が、可愛らしくよろしくと言ってきた。


喜びに浸っていると、正面から店長の声。


「送るぞ。声に出すなよ!」


ピロン。


***西野君のキャラクター覚醒について***


まずはおめでとう!


我がAZITO邑から、二人目の覚醒者。


スキル名『応人の盾』


範囲内にいる味方全てのスキルランクを、一つ上昇させる(六十秒)。


発動中は、一切の行動ができない。


覚醒条件は『レベル差』とだけ伝えておく。


店長からのメッセージだった。


感想は……ふーん、だったが、周りの目つきが違う。


みんなから届く驚きのスタンプが、鳴りやまない。


ただ、般若だけは表情が分からなかった。


モブさんから、


『買い取るなら、いくらつく?』


とメッセージ。


買い取りって、僕はまだ買ったばかりだよ?


続いて、東野さんから、


『私、この間二十万円で売ってくださいと言われたけど、断った』


と送られてきた。


榊さんも、


『このスキルなら、三桁万円になるかもしれません』


と続ける。


さらに、店長から、


『まぁ、今日は置いて帰れ。西野君の所有物であることに変わりはない。代わりに、在庫から剣Bを持ったキャラクターをやるから』


……そんなに貴重なのか?


実感がない。


『西野君のアカウントと紐づいているから、仮に盗まれても対処は可能だ。パスワードさえ守ればな』


店長が『大丈夫』と書かれたスタンプを押した。


榊さんが、


『置いて帰った方が賢明です。私なら、大合戦の状況を見てから判断します』


と続けた。


要は、『慌てて売るな!』と言っているようだ。


東野さんからも、


『学校で言っちゃダメよ!』


と念を押された。


般若のスタンプ付きで。


僕一人、みんなに心配をかけている格好だ。


『ありがとうございます。店長が代わりのソフトをくれるなら、それで来週まで遊びます』


僕はそう書いて、塾の課題を終わらせるため、代わりのソフトを受け取って家へ帰った。


   ◇


その夜。


AZITOのメンバーは、いつもより言葉少なに遊び、帰っていった。


深夜の店内には、店長が清掃する音だけが響いている。


「今だから言える……あっぶねぇ~!! ホントにゴミNPCを倍の値段で売るところだった!!」


誰もいない店内で、一人叫ぶ店長だった。

やっと麓についた感じがしています。最近、ジェンスパに読んでもらっての感想が良くなってきました。Geminiはいつも盛ってるのであしらってますが・・・完結まであと10万文字はかかりそうですが、何とかやります。

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