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『イベント屋、異界案件承ります』

作者:mikan
最新エピソード掲載日:2026/07/21
その男は、前の世界で、五十歳で死んだ。らしい。
 死んだ記憶は、ない。気がつくと、三十歳の体で、よく似た別の世界に立っていた。
 御手。フリーのイベント屋。
 設営、運営、撤収。何万人を集めて、ちゃんと帰す。それが、この男の三十年だ。
 ところが、この男が回す現場には、なぜか、人ならざるものが、集まってくる。
 なりかわる。終わらないアンコール。群衆の、眼。
 御手は、それを退治しない。祓いもしない。
 ただ、イベント屋のやり方で――終わらせる。拍手で、送る。
 「イベントは、承ります。けど、お化けは……勝手に来るんですよね」
 怪異退治じゃない。“お開き”にするだけだ。

◆ 登場人物 ◆

【境野御手(さかいの みて)】
 フリーのイベント屋。見た目は三十歳、中身は五十。
 設営から撤収まで、何万人を集めて、ちゃんと帰す。それが、この男の三十年だ。
 昔から、人の集まる場所に“湧く”ものが視える。だが本人は、台風や停電と同じ「現場の障害」くらいにしか思っていない。
 口癖は「まあ、いいか」。深刻になる才能が、ない。

【橘ひなた(たちばな ひなた)】
 制作会社の新人。業界に入ったばかり。
 うっすらと、視えてしまう側の人間。
 御手について現場を回るうち、この男が“ただのイベント屋”ではないことに、少しずつ気づいていく。

【九条(くじょう)】
 祓い屋。作法と式神を操る、由緒ある家の術者。
 御手を「素人の邪道」とライバル視している。

【ヨイ】
 御手の家に居着いた、景色の欠けた獣。
 目はない。なのに、こちらを見ているのは分かる。

※本作はカクヨムにも掲載しています。
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