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前世のストーカーが一緒に転生していた

最終エピソード掲載日:2026/06/25
婚約が決まった日、兄は少しだけ寂しそうだった。

「おめでとうございます、お兄様」

そう言うと、兄アルフレッドは少し困ったように笑って言った。

「リディア、それは私の台詞だろう」

「でも、お兄様も嬉しいでしょ」

「それは嬉しいさ」

「だってリディアが幸せそうなのだからな」

私は思わず笑った。昔から兄はそういう人。
私が笑えば喜び、泣かされたら烈火の如く怒る。

「だがエドワード殿なら安心だ」

兄は紅茶を口に運びながら言った。

「エド様…とても誠実なお方ですもの」

「ああ」

窓の外を眺める横顔は穏やかだった。

「彼なら君を傷つける事はないだろう」

その言葉に私は小さく笑う。

「もし傷つけたら?」

「誰であろうと許さない」

あまりにも迷いのない即答に、思わず吹き出す。

「お兄様ったら…」

「私は本気だ」

「分かっています」

本気なのが分かるから困るのだ。
思い返せば兄は昔からそうだった。
理不尽を嫌い、弱い者いじめを嫌う。
特に女性に対する暴力や執着を激しく嫌悪していた。

兄は優しくて正しい人。
私を傷つけることなど決してない人。
それが当たり前だった。

とても大好きで自慢の兄だった。

——あの日までは。
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