家族が皆殺しにされた。復讐すら許されなかった。だから私は呪われた辺境伯を選んだ。
最新エピソード掲載日:2026/07/25
家族が皆殺しにされた少女は、復讐すら許されないまま、呪われた辺境伯に手を伸ばす。
家族が皆殺しにされた。家族を殺したのは隣国レッシュの人間だった。
死んでいくその瞬間まで、家族はアリの幸せだけを願っていた。憎しみに手を染めず、お前だけは幸せになってくれと、炎に溶けていく瞬間まで言い続けた。
だが、父、兄さん、姉さん。
愛する人をすべて失った私が、どうして幸せになれるというのだろう?
壊れたアリの耳に、呪われた辺境伯の噂が飛び込んできた。
ハジャン帝国を蹂躙し、戦争を勝利に導いた英雄でありながら、数万人を虐殺した代償として凄まじい呪いを受けた辺境伯。一度でも辺境伯の城に足を踏み入れれば、呪われて死ぬという。
降りしきる雪のように鬱屈と沈んでいたアリの頭の中が、徐々に冴え渡っていった。
「ああ、そうか。」
復讐もできず、幸せにもなれないのなら。いっそ家族の後を追えばいいんだ。
ねえ、兄さん。
兄さんはグレイル将軍を正々堂々とした人だと言っていたね。彼と戦って敗北するのは誇らしいことだったと。
だから私も同じ道を歩んでもいいよね? これは復讐じゃないから。許してくれるよね?
少しだけ待っていて。
すぐに会いに行くから。
**メルヘン調の穏やかなお話です。復讐劇はおそらく後半に出てきます。ご都合主義な展開です。誤字報告はいつもありがとうございます。**