表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

第九話 帰り道の距離

凛は退院して、一週間後には学校へ戻ってきた。


 クラス中が騒いだ。


「雨宮大丈夫か!?」


「めっちゃ心配したんだけど!」


「入院ってマジだったんだな……」


 凛はいつもの調子で笑っていた。


「大げさだなぁみんな」


 その姿を見て。


 安心した。


 ……はずだった。


「じゃあ湊、帰ろ」


 放課後。


 いつものように声をかけられる。


 でも。


 少しだけ違和感があった。


「どうした?」


「え?」


「いや、なんか」


 うまく言えない。


 凛の距離感が。


 ほんの少しだけ遠い。


 隣を歩いているのに。


 前みたいな自然さがない。


「……湊ってさ」


「ん?」


「前からそんなに静かだったっけ」


「は?」


「なんか最近、よそよそしい」


 それを言いたいのはこっちだった。


 でも言えない。


「気のせいだろ」


「かなぁ」


 凛は首を傾げる。


 その時。


 不意に視界が揺れた。


「……っ」


 息が苦しい。


 胸の奥が焼けるみたいに痛む。


「湊?」


「……なんでも、ない」


 誤魔化す。


 でも。


 これはきっと。


 凛が受けるはずだった苦しみだ。


 契約の代償。


 そう思った瞬間。


 なぜか少しだけ安心してしまった。


 凛が元気なら。


 それでいいと。


 本気で思ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ