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第八話 違和感
凛が目を覚ましたのは、それから二日後だった。
「湊」
その声を聞いた瞬間。
全身の力が抜けそうになった。
「……よかった」
「何その顔。泣きそうじゃん」
「誰のせいだよ」
凛は少し痩せていた。
でも。
確かに笑っていた。
医者も驚いていた。
数値が急激に改善しているらしい。
理由は分からない。
でも俺には分かっていた。
あの夜。
契約は成立した。
「そういえば」
凛が首を傾げる。
「ん?」
「最近、なんか変な感じする」
心臓が止まりそうになる。
「変?」
「うまく言えないけど……夢見てるみたい」
「……」
「あと」
凛は少し考え込む。
「昨日、お母さんに“神谷くん来てたよ”って言われた時、一瞬誰だっけってなった」
呼吸が止まる。
でも凛は、すぐに笑った。
「あはは、さすがにやばいよね」
冗談みたいに。
軽く。
言った。
なのに。
俺だけが、笑えなかった。




