表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/19

第三話 雨の日

朝から雨だった。


 窓を叩く雨音を聞きながら、俺はスマホを見る。


 凛からの連絡はまだ来ていない。


 いつもなら。


『湊、迎え来て』


 とか。


『コンビニ寄って』


 とか。


 朝から好き勝手送ってくるのに。


「……寝坊か?」


 珍しい。


 そう思いながら家を出た。


 学校へ向かう途中。


 見慣れた交差点に、凛の姿はなかった。


 教室へ入っても、席は空いたままだ。


「神谷ー」


 後ろの席の男子がニヤニヤしながら振り返る。


「雨宮今日いないじゃん」


「だから?」


「いや、お前らセットみたいなもんだし」


「誰がだ」


「え、違うの?」


 違わない気もした。


 少なくとも。


 凛がいない教室は、少し静かすぎた。


 昼休み。


 スマホが震える。


『ごめん。今日は休む』


 それだけ。


 珍しく短いメッセージだった。


『風邪?』


 送る。


 少し間が空いて。


『そんな感じ』


 絵文字もない。


 なんとなく、嫌な感じがした。


 放課後。


 俺は傘を差して、凛の家へ向かった。


 昔からよく来ている家だ。


 インターホンを押すと、凛の母親が出てきた。


「あら、湊くん」


「凛、休んでるって聞いて」


「ありがとう。今寝てるの」


「熱ですか?」


 一瞬だけ。


 凛の母親が困ったような顔をした。


「……ちょっと体調崩しやすくてね」


 曖昧な言い方だった。


 でも、その時の俺は。


 そこまで深く考えなかった。


「湊?」


 二階から声がする。


 見上げると、凛が階段の途中からこちらを見ていた。


「お前、寝てろよ」


「暇だった」


「病人みたいなこと言うな」


「失礼な」


 そう言って笑う。


 けれど、その笑顔は少し弱かった。


 雨のせいなのか。


 妙に白く見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ