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第十七話 空白
それから。
凛は、本当に俺を覚えていなかった。
話しかけても。
笑いかけても。
全部、他人への反応だった。
「ごめんね、なんか前にも言った気がするんだけど……」
凛は困ったように笑う。
「私、本当に神谷くんのこと知らないの」
その言葉が、何度も胸を刺した。
それでも。
嫌いにはなれなかった。
凛は元気になっていた。
前みたいに笑って。
普通に学校へ来て。
友達と話している。
それを見るたび。
苦しいのに、安心してしまう。
救えてよかった。
そう思ってしまう。
もう手遅れだった。




