第16話 〜深淵樹海〜
アルト達は数日間安静にし傷が癒えるのを待っていた。
「よし、傷は完璧に治ったな」
「アルト、黒獄魔竜の討伐依頼について聞きに行くよ」
「アルトさん、行くっすよ!」
アルト達は再び謁見の間へ向かって行き、国王から直接依頼詳細を聞くことにした。
「レオニス国王様、黒獄魔竜の討伐依頼について、もう少々詳しくお聞きしたく参りました」
「お主らは、深淵樹海についてどこまで知っておる」
「それは、魔王領で深淵樹海周辺では、魔物の異常繁殖が確認されているくらいしか…」
「それ以外に、樹海周辺では濃く黒い霧が発生して、魔物達が凶暴化しているんだ。しかも、死亡した魔物は周辺の濃い魔素によって蘇生している。」
「何故、そこまでの情報をお持ちなのですか?」
「S級の精鋭部隊を一度向かわせて周辺を調査してもらったんだが、領地に入る前に魔物の脅威にやられて逃げ帰ったんだ死者はいなかったから良かったがな」
(魔王領内だからな、膨大な魔素によって自然とか魔物が突然変異して、その環境に適応しようとしているのかもな…)
「わかりました、これから北西にある魔王領へ向かいます」
「よろしく頼むぞ、アルト達よ」
謁見の間を出て部屋に荷物を取りに行き、アルト達は王城を出て馬車乗り場へ向かって行った。
「あのさ、アイリス」
「どうしたの?」
「俺とルシエラは同じ魂で陰と陽で分かれてるんだよね?」
「そうよ、だから…在るべき元の魂に戻さなくちゃいけないの」
「アルトさん、大丈夫っすよ。私達なら必ず元に戻せます!!」
ルシエラは手を伸ばし、アルトの手を包み込むように握った。
その瞬間だった、アルトの脳裏に一つだけ記憶が蘇る。
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「アルト、何してるの?」
アルトの視線の先には、金髪で長めのショートボブヘアで瞳は鮮やかな水色だった。
「アルトは、集中するとすぐ周りが見えなくなるんだから気をつけなよ?」
手にできた血豆が破れ謎の美少女に手当てをしてもらっていた、その間に周りを見渡していると話し掛けられた。
「もう、なんでこんな手になるまで練習するの?」
「それは…、まぁ、なんだ、強くなりたいからだよ」
恥ずかしさから少し頬を赤く染めて、目線を横へ逸らし頬を軽く掻いた。
「ふふっ、もしかして私の為とか?」
「っー!?ち、ちっげぇわ!!」
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「アルトさん?どうしたっすか?」
「あ、いや、なんでもないよ」
「もしかして、前世の記憶が戻ったの?」
「うん、前世の俺とルシエラが話してた」
「前世の私!どんな感じだったっすか!?」
「お淑やかで、可憐な少女だったかな」
「可憐で、お淑やか、今の私とは全然ちがうっすね!」
馬車乗り場に着き乗り込んで「深淵樹海」の近場まで向かって行った。
馬車に揺られながら窓から風景を眺めていた、数時間程経ち馬車が止まり降りて数十分歩くと禍々しい樹海の入口に到着した。
「ここが、深淵樹海か…」
「早速入ろうか、討伐依頼の「黒獄魔竜」を倒そう」
深淵樹海内に入り、目的の魔竜を探しに入った。
「凄い魔素量ですけど、私達に影響はないんすか?」
「大丈夫だよ、聖女時代の能力で魔素の影響を受けないようにしているから」
「流石ね、それにしても…不気味な樹海ね」
少し奥に進むと次々と魔物が現れたがあっさりと簡単に倒し、するとある異変に気付いた。
周囲は黒い霧に包まれていた、暫く歩き進めると外界から完全に隔絶された村が現れた。
「え、こんな所に村?」
「どういうことなの?」
「こんなのありえないっすよ〜!!」
すると、空から黒獄魔竜が現れた。
「まさか、ただの人間がここまで来れるとはな」
「お前が…黒獄魔竜だな?」
「我はこの村の守護者、黒竜「黒獄魔竜」である」
「アイリス、ルシエラ、この戦いは死ぬ気でやらないと死ぬぞ」
「大丈夫よ、私はこういう戦い今まで何度もしてきたからね」
「わ、私は死なないように頑張るっす!」
お互い見合って戦闘態勢になり、竜対人間の戦いが始まろうとしていた。




