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新訳 三河物語 〜 徳川家康と家臣団の戦国サバイバル 〜 with 逆行転生犬シロ  作者: 条文小説


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2-8 信玄とのアライアンスと遠江エントリー

挿絵(By みてみん)


 『三河物語』(みかわものがたり)は、江戸時代初期の、旗本の大久保忠教による著作。戦国時代から江戸時代初期を知るための史料とされることもあるが、徳川史観による偏った記述により資料としての正確性は欠如している。出典:Wikipedia

 よう、三河の歴史ログを愛する「条文小説」の同志よ。語り部の彦左衛門だ。


 これまでの話で、若君・広忠公がいかに泥を啜って三河を守り抜いたか語ってきたな。だが、時代はさらに激しく動き出す。今川の凋落、そして織田と武田という二大巨頭に挟まれた「遠江とおとうみ侵攻ミッション」の幕開けだ。


 今日は、家康公が信玄と組んで今川領を解体し、遠江を平定していくプロセスの裏側を語ろう。裏切り、残酷な処置、そして戦場での「ブラックジョーク」……戦国のリアルが詰まったログだぜ。


 永禄11年(1568年)。家康公は甲斐のレイドボス・武田信玄と「大井川を境に、駿河は武田、遠江は徳川で分け合おうぜ」という密約を結んだ。


 菅沼、鈴木、今藤といった地元 案内者ガイドを先頭に、徳川軍は怒涛の勢いで遠江へ進軍を開始。今川 氏真うじざね公は信玄に駿河を奪われ、這々の体で掛川城へと逃げ込んできた。


 そんな中、家康公は「説得工作スカウト」を仕掛ける。二俣城を早々に落とすと、親戚関係にある小笠原新九郎を呼び出した。


「お前の親戚の与八郎よはちろうが、武田軍の秋山所得あきやまのぶつぐに付こうとしているらしい。引き止めてこい」


 新九郎は道中で与八郎に追いつき、こう説いた。


「おい、与八郎。今さら秋山(武田)のところへ行ってどうする。これからは家康公の時代だぞ。無駄なレイドは止めて、俺と一緒に家康公に出仕ログインしようぜ」


 与八郎はこの「キャリア相談」に乗り、秋山への合流をドタキャンして家康公の配下に加わった。


 だが、面白くないのは武田軍の秋山所得だ。彼は信濃から遠江の見付まで進出し、地元の侍を囲い込もうとしていた。家康公は即座にクレーム(使者)を送った。


「大井川を境に分ける約束だろ。お前がここにいるのは規約違反だ。速やかに撤退ログアウトしろ。さもなくば力ずくで排除する」


 秋山は「お、おう、分かったよ」と、異議を唱えずにスッと引いていった。


 これを見て周囲は「流石は秋山、巧者プロの引き際だぜ」と感心した。意地を張って無駄なPvP(対人戦)をしない。これが戦国を生き抜く強豪のメンタリティだ。


 さて、与八郎。家康公に降ったはいいが、彼には「黒いログ」が残る。逃亡中の今川家臣・小原備後守が、家族を連れて頼ってきた際、与八郎は彼らを温かく迎えるふりをして、妻子ともども一人残らず殺害した。これには諸人も「いくら何でも残酷すぎる。あいつの将来(行末)はどうなるんだ……」と眉をひそめた。


 一方、久野城の久野三郎左衛門はピンチに陥っていた。自分の弟や親戚たちが「家康を裏切って氏真を助けようぜ!」とクーデターを画策したんだ。彼らは「兄貴が首を縦に振らないなら、殺して別の奴をリーダー(淡路)に据えよう」とまで話し合った。だが、三郎左衛門は一歩も引かない。


「俺は一度氏真を裏切って家康公に付いた。それをまた裏切ったら、世間から『内股膏薬うちまたごやく』と呼ばれて後ろ指を指される。そんな不名誉な記録ログを残すくらいなら、死んだほうがマシだ!」


 結局、陰謀は漏れ、家康公の加勢によって反乱分子は一掃。裏切りの中心人物・淡路は切腹に追い込まれた。


 永禄12年(1569年)。氏真の籠る掛川城を包囲。激しい攻防戦が繰り広げられた。ここでも徳川のガチ勢がスコアを稼ぐ。


 伊藤武兵衛を、謀久原むくはら次右衛門が討ち取る。大屋七十郎を、大久保次右衛門が討ち取る。戦いの後の報告会。


 謀久原が「今日は組み打ちでド派手にやりましたよ!」とドヤ顔で報告したのに対し、大久保次右衛門は冷めた口調でこう言った。


「いやいや。今日の高名に組み打ちなんて一人もいねえよ。お前が獲った首も、鉄砲で撃たれて死んでた奴だろ。全部『冷頸ひえくび』、つまり死体から拾った首だ。俺が獲ったのも、鉄砲で既に死んでた奴だぜ。」


 これを聞いた内藤四郎左衛門も「俺の獲った首も、みんな冷頸ですよw」と被せた。


 この「正直すぎる報告」に周囲は爆笑。「あの二人の口の悪さは、まさに三河武士の鑑だな」と感心されたんだ。嘘の手柄を申請しない。これもまた、譜代のプライドだな。


 掛川が落ち、氏真は北条へ逃亡ログアウト。一件落着かと思いきや、堀川で一揆レジスタンスが発生した。家康公は即座に反応し、徹底的な「なで斬り」を命じた。この戦いで、大久保甚十郎(17歳)が一番乗りで城壁に飛び乗った。だが、敵の鉄砲に左膝を撃ち抜かれ、そのまま討死ロスト。死ぬ間際、甚十郎は戦場の状況を冷静に報告した。


「誰々はパニックになって逃げました。誰々は冷静に戦っていました」


 家康公はこれを評価した。


「息子ながら、神妙に最後まで見ていたものだ」


 こうして遠江の反乱を鎮圧。家康公は拠点を引間から、新たに築いた「浜松城」へと移し、ついに遠江の本格的な運営(領国経営)を開始した。


 どうだ。裏切りを「内股膏薬」と嫌い、戦場での嘘を笑い飛ばし、若くして散る。この泥臭い記録ログの積み重ねが、後の天下に繋がっていく。




【三河物語 作:大久保忠教 国民文庫刊行会 1912年】




然処に早吉田を渡し而行、長間ながしのつく手段嶺だみねもかうさんし而出仕をする。扨又甲斐かひ武田たけだ之信玄と仰合而、家康は遠江を河切に取給得、我は駿河を取んと仰合而、両国得出給ふ。蒯沼すがぬま次郎右衛門、鱸石見、今藤登、是三人して案内者をして、永禄えいろく十一年〈壬辰〉十一月日、遠江得出させ給ふ。然間氏真は信玄に駿河を取れ給ひ而、懸河得落来り給ふ。上様は伊野谷得出させ給得ば、二俣ふたまた早く御手を取、小笠原新九郎をめし而、其方一類るゐ之事なれば、蚖堬まむしづか得行而小笠原与人郎を引付給得と御証なれば、かしこまつて御請を申、其寄蚖壔まむしづか得行ける処に、与八郎は人質をつれ而、秋山あきやま所得行を道に而逢而、御身は何方寄何くゑ通らせ給ふぞと云ば、新九郎申は、我等は御身之方得心懸而参りたり。御身は大勢引つれ給ひ而、何方得渡らせ給ふぞ。我等は秋山方得出仕いたし而、人じちを渡さんと思ひ而、是迄罷出申成と申せば、其儀ならば先御帰あれ、内談を申さんとて、すなはち押帰して申、当国は家康之御手に入成、御身も秋山方得之出仕はやめられ候得而、早々家康得御出仕あれ、為㆑其に某が参候と申ければ、何と成とも御貴殿之御計らひあしき事はあらじとて、秋山方得之出仕を頓而やめて、新九郎をつれ而、家康得出仕有。上様は懸河にむかはせ給ひ而、不入斗いりやまぜに御陣をはらせ給ふ。秋山は信濃しなの寄も遠江の国あたご得出て、見付之郷がうに陣取而、国侍さぶらひ供を引付んとす。然処に家康やす寄仰つかはさる。大炊おほゐ河を切而、駿河の内をば信玄之領分、大炊おほゐ河を切而、遠江之内をば某領分と相定而有処に、秋山被出候事ゆはれ無、早々引帰らせ給得と御使之立ければかしこまつ而候と而、山なし得引入すくもだが原得押上而、原河之谷をとをり、倉見西郷くらみさいがうをとをり而、さよの山得出て駿河得行、秋山が異儀に及ならば打害ころし被㆑成と被仰けれども、秋山異儀に不及して引除のきけるは、秋山 こう者とこそは申しける。然間永禄十一年〈壬辰〉に、氏真は、駿河をば信玄に押しはらはれ給ひ而、懸河得朝稲之備中守処得落来り給ふ。備中ぼつちう守が引請而、爰をせんどとかせげ供成難がたし。然処に小原之備後守、日比、小笠原与八郎が奏者之事なれば、与八郎を頼而蚖堬まむしづかへ、妻子を引つれ而落行ければ、入も不㆑立して妻子共に悉一人ものこら打害ころす、扨もむごくあはれ成次第哉。小笠原が行末すゑいかがあらんと諸人感じける。然処に久野が庶子どもに、久野佐渡、同日向守、同弾正、同淡路あはぢ、本間十右衛門申けるは、爰に而人と成処成。いざや家康得敵に成而、懸河と相挿み而、爰をのかせ申間敷、久野が敵をするならば、遠江内之侍達は一騎も不㆑被㆑残して、敵に成而くつ帰すべし。さもあらば国中之一揆供も此方彼方 寄起おこるべし。然者家康も深入をし而御おはしませば、ふくろ得入たる心成、いざさらば惣領しきにきかせんとて、久野三郎左衛門に申ければ、何れも申処尤にはあれども、然と云に一度氏真得逆ぎやく心をし而、家康之御手を取奉而、氏真得弓をひく事をさ得、侍之弓矢義理をちがゑたると思得ば、夜之目も㆑被㆑寝して、人の取さた迄も面目無して、赤面するに程も無して、又家康得 逆心ぎやくしんをする物ならば、二張の弓成。其故人之取仕さたにも内股膏薬とて後指うしろゆびを指れば、命ながらへても益も無、一心に家康得思ひ付給得とて承引なければ、各々罷立而申は、惣領に而有者に人と成給得と取立申とも、一円ゑんに承引なし。其儀においてはそうりやうにははらを切せ申而、鹿子の淡路あはぢを取立て、家康を跡先寄も取つゝみ、何方得ものがす間敷と申定ける処に、久野佐渡と本間十右衛門両人内談して申けるは、何況いかにいはん哉そうりやうと云又は主なれば、方々もつていかに知行を取、たやすく身を過ぐるとても腹をば切せられ間敷とて、両人くみ帰而此由申ければ、三郎右衛門驚おどろき而、其儀ならば御家勢を可㆑申とて其由申上ければ、尤と被㆑仰而御家勢をさしつかはされ給得ば、三郎左衛門は二の九得折をり而、本城得御家勢之衆をうつせば無㆓何事㆒、然間淡路あはじにははらを切せ、弾正は三郎左衛門姪をひなれば押除おしはらひける。其寄懸河得押寄、天主山に御旗はたを立させられ給得ば、城寄も爰者の者どもが出て、きび敷せり合有。其比信長に面目うしなひ而浪人して駿河得下、氏真得出御供して今城にこもり居たる衆之内に打死有、伊藤武兵衛をば謀久むく原次右衛門が打取、大屋七十郎をば大久保次右衛門が打取、小坂新助をは大手のぬりちが得迄押こみて、ぬりちがゑにて打取而のく。其外高名は数多有。其置謀久むく原慇懃いんげんに申、今日はくみ打に仕たると中上ければ、大久保次右衛門が申けるは、いや〳〵今日之高名にくみ打は一人も無く、御身之打たるも青皮せいひの具足著而、鉄砲てつぽうにあたり死而臥したるを打給ふ成。今日之高名は悉 冷頸くび成。我等が取たるも鉄砲てつぽうにあたり而死たるひゑくびに御座候と申処に、内藤四郎左衛門高名をして来りて申は、高名は仕候得ども、今日之高名はそれがしはじめ悉ひゑくびに而御座候と申上ければ、内藤四郎左衛門と大久保次右衛門が口は扨も相たり。両人之衆には似相たりと各申ける。扨又天王山に取出を被成而、久野三郎左衛門を置せられ給ふ。西にはかは田村の上に取出を被成、各々番手にもつ。南には曽我そが山に取出を被成、小笠原与八郎がもつ。然間永禄十二年〈己巳〉正月二十三日に落城して、氏真は小田原得落行給ふ成。然処に三月日堀河ほりかは一揆の起き申候由告つげ来りければ、其儘取あ得させ給はず、懸付給而催もよほしもなくよせかくる程に、頓而へいに付而乗る。然間大久保甚十郎十七歳に而一番に乗りける処を、内寄鉄砲てつぽうに而左のべにさきを打れて打死をする。平井甚五郎も打死をする。其外数多すた打死有。ほり河は汐の指たる時は舟に而寄外行べきかたも無。しほひ之時も一方口なれども みちひく事璅つめいる程に、すなはち男女ともになで切にぞしたりける。右之大久保甚十郎は、右に一揆之起おこり申たる折節に通り合ければ、悉歴々の衆立も一同す。駭騒おどろきさわぐ衆も有ければ、甚十郎は御膝元ひざもとちかく召つかはれ申、御意のよかれば一々に申上げけり。誰々は憔酷、跡先得迯にげちり山得もにげ入而御座候。誰々はみだれして神妙しんびやうに御座候つる由を申上ければ、せがれなれども神妙しんびやうに能見たと御意被成御感成。然間見付之国かうを御住所に被成、城を取、原に各々屋敷取をしてすませ給ひけるが、爰は不㆑可㆑然とと浜松得引かせられ給ひ而、御城を拵へ給ひ御住所を定させ給ふ。

〜参考文献〜

三河物語(国民文庫刊行会 大正元年)- Wikisource

https://share.google/jJTiQMFkLIRfryR6a


〜舞台背景〜

 この作品では原典を併記していますが、これがなかなか厄介で、単にWikiなどから貼り付けると元のルビが崩れて文章がグチャグチャになります。そのため原文の体裁は、ストーリーを考える数倍の手間を掛けて整えています。

 せっかくなので、小説と原文を見比べながら、原典の雰囲気を感じてもらえたらと思います。

 この「小説+原文併記」という形式は、たぶんなろうではあまり見ない試みだと思います。

 もし面白い試みだと思って頂けたら☆5とは申しませんが、☆3〜4くらい頂けると嬉しいです。

 逆に「ウ~ン」と思われた方は、遠慮なく☆1で意思表示して頂ければと思います。率直な感想として謹んで承ります。

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