神隠しの後で。〜隠されたのは、娘ではなく私のほうだった。〜
「かーたん!」
満面の笑みでそう呼びかけてくる愛しい娘が、四歳の誕生日にいなくなった。
必死になって辺りを探していた私が近所の女性に説明すると、彼女は訝しげに言う。
「何を言ってるの……? 貴女に、娘なんかいないじゃない」
そんなバカな、と思った所で、ふと気づく。
自然と接していた目の前の女性も、景色も、知っているのに『知らない』。
ーーーここはどこ?
消えたのは、多分娘ではなく自分のほう。
ーーーあの子のところへ、帰らないと。
娘の姿が、どこにもなくて。
2020/12/24 15:41
闇の中に、光る目を見た。
2020/12/25 11:54
自分がここにいる意味を、知った。
2020/12/28 22:16
(改)
神隠しの後で。
2020/12/29 11:53
(改)