正邪の交心

　地味で人間恐怖症気味の比護誠（ひごまこと）は、下校中、事故に遭いそうな老人を救ったが、そのお礼にとして受け取ったのは、牛柄模様の卵だった。
　不思議なことに、その卵は重さもなければ割れもしない。そして、日に日に模様が変わっていく。　
　卵を手にした他の二人と情報を共有していくが、それでも一向に正体はつかめない。
　やがてそれぞれの卵が孵化を迎えたとき――――三人の関係が、卵の殻のように崩れていく。
　何が正義で何が悪か。誰が正義で誰が悪か。
　果たして比護は、どちらなのか。