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最新エピソード掲載日:2026/10/24
町のスピーカーが父の名前を呼んだとき、父は私の向かいで、柿をむいてもらうのを待っていた。
「行方不明者のお知らせです。本日午前から、二丁目の、真壁繁さん、八十一歳の、行方が分からなくなっています」
名前のところで、向かいの父が、小さく「はい」と答えた。
認知症の父が家を出たまま帰らなかったことは、これまでに二度ある。そのたびに美津子は届けを出し、町の放送を流してもらってきた。
けれどこの日、仕事から帰ると、玄関の補助錠はかかったままで、父は茶の間の座椅子に座っていた。
交番の小田さんは言う。今朝九時過ぎ、「娘です、真壁美津子です」と名乗る女から110番があった。昼に家を訪ねると、インターホンに娘さんが出た、と。
その時刻、美津子は職場の揚げ場で唐揚げを返していた。昼は、売り場にいた。
「行方不明者のお知らせです。本日午前から、二丁目の、真壁繁さん、八十一歳の、行方が分からなくなっています」
名前のところで、向かいの父が、小さく「はい」と答えた。
認知症の父が家を出たまま帰らなかったことは、これまでに二度ある。そのたびに美津子は届けを出し、町の放送を流してもらってきた。
けれどこの日、仕事から帰ると、玄関の補助錠はかかったままで、父は茶の間の座椅子に座っていた。
交番の小田さんは言う。今朝九時過ぎ、「娘です、真壁美津子です」と名乗る女から110番があった。昼に家を訪ねると、インターホンに娘さんが出た、と。
その時刻、美津子は職場の揚げ場で唐揚げを返していた。昼は、売り場にいた。