003話 やっちまった〜
「ノブ様、私はずっと、待っておりました。
ノブ様を知る前の3年、そして、ノブ様を知ってからの5年。
ずっとノブ様をお慕いし続け、ずっとずっとノブ様をお待ちしていました」
リュリュの静かな口調、真剣な瞳が俺を縫いとめている。
「以前お会いした時、私は12歳、ほんの子供でした。
あの時のノブ様は18歳の立派な殿方でしたね。
私はようやく17歳になりました。
私もちょっとは、大人になりましたでしょうか?」
ニッコリと微笑みながら、リュリュが俺に近づいてくる。
リュリュの手が俺の着衣に触れて……
えと…… どうしよう? まさか、こんな展開になるとは……
うん、もしかすると、前回の最後に言ったのが効いたのか?
いや、でも…… 俺としては、こういう展開は……
ゴクリ
「ノブ様…… ……
…… …… ……
…… …… ……
…… …… ……
お屋形様! お屋形様! 起きてけ!」
んんん…… なんだ?
「お屋形様、そろそろ起きねばまねや!」
誰だ?なんて言ってる?
「ほれ、お屋形様! 起きへ! 今日も仕事だんだべ?」
ううん、ここは?……知らない天井?
「あ、リュリュ様、おはよごす。お屋形様っとば、なんとかしてけねが?」
ん?リュリュ?
「ノブ様、おはようございます」
ニッコリと笑うリュリュの顔…… ああ、そうか、これはまだ夢の続きだな……
「ノブ様、起きてください。朝ですよ!」
朝? あ、リュリュ! 夢は?
「おはようございます。ノブ様」
「ああ、リュリュ、おはよう。ア、イッ…… あたまが」
「はい。お水です」
「ありがとう」
「いえ、どういたしまして」
あの…… なんか、妙によそよそしいというか、なんか、変な感じなんだけど……
「あの、リュリュ、なんかあった?」
「いえ、特段、なにもございません」
「それにしては、なんか妙に淡々としてない?なんかあったなら、おしえてよ」
「そうですね。いえ、でも……」
「なんかあるなら、言っちゃった方がスッキリすると思うよ」
「それでは申し上げます。昨日は、すごく嬉しかったことと、そして、ちょっと残念だったことがありました」
「う、うん。そうなんだ」
なんかリュリュの顔が怖いかも?コレは、もしかすると、藪の中の大蛇の尾を蹴り飛ばしたか?
「はい。嬉しかったことは、言うまでもなく、お分かりかと思いますが、ノブ様と再びお会いできたことです」
「は、はい。それで、残念だった方は?」
「昨夜のことは、どこまで覚えてらっしゃいますか?」
「どこって…… 皆が俺に忠誠を誓ってくれて、ちょっと打ち合わせしただろ。そのあと、 ゲンゴーから杯を受け取って、サシで乾杯しただろ?それから次が長老格の白髪爺と乾杯して、んで、イカつい四角ニイチャンと乾杯して、イガイガ頭、キツネ目、たぬき顔、縦長のきゅうり、ナスビ、じゃがいも、セミっぽいやつ、それから、えーと、あそうだ、あのバンザイと乾杯して、それから…… しかし、見事に名前が出てこないな……」
「家臣の皆さま、おひとりおひとりと交流を深めるのは良いことにございますれば、おなごの身から、そこにはくちは出しませぬ。しかし、ご酒の過ぎたるはお身体に障り、お命を縮めまする」
「う…… はい。ごめんなさい」
ひとりひとりと乾杯するたびに、イッキしてたってことだよな?あんとき、何人いたっけ?
「御身は、ノブ様ご自身おひとりのものでは御座いませぬ。ノブ様に関わるすべての者にとっての大事なお身体に御座います。くれぐれも御身大事になさらねばなりませぬ。私に詫びるのならば、領民、家臣にも詫びなされ」
「はい。大変申し訳ありません。ごめんなさい」
めっちゃ怒ってる。やっちまった。怖い。でも、しょうがないやん。みんな、俺んとこに注ぎにくるんよ?断れるか?ていうか、断っても良かったのか?断れたか? どうすりゃ良かったんだ? で、領民と家臣に謝ればいいってこと?
「そうですね。主君たるもの軽々しく頭は下げるものではありません。それでも、心の中でしっかりと、お詫びしてください」
「はい、承知しました。ありがとうございます」
はぁ、良かった。なんか妥協案がでてきた。リュリュはやっば優しい。あ、そうか。領民のみなさん、ごめんなさい。家臣のみなさん、ごめんなさい。あとは…… 俺に関係するすべての皆さん、ごめんなさい。と、こんな感じでいいかな?
俺は土下座しながら、ちらっとリュリュの顔を盗み見る。ていうか…… リュリュ?だよね?
「なんですか?」
「いえ、なんか、凄いオーラだなと思って。まるで、ネーネ様みたいだなと」
「お母さまの……」
うん。王妃になる前の聖女ネーネ様の伝説のオーラ。
ネーネ様、優しいときはとことん優しいし、俺はどっちかといえば、優しい面しか見てないけど、でも、怒るとめちゃ怖い、らしい。宰相様でもまったく頭あがってなかった、らしい。
前王のカリスマの半分はネーネ様のものだったって話もあるし、それで一旦は大陸中央部全域の支配を確立したんだから、やっぱ、たぶん、それはホントのことで…… そのころを知ってる人は、みんなネーネ様に頭があがらないといわれている。ちなみに、皇帝もその中のひとりだったりするんだよね。
「私、似てますか?」
あ、機嫌なおった? 俺は上体を起こし、立ち上がって応えることにする。
「うーん、似てるかといわれると、それほどでもないような気がするけど、雰囲気はちょっと似てるかもね」
「嬉しいです!そうですか、お母さまに雰囲気が……」
よっしゃーーーーー!! リュリュの機嫌、大復活! ここでもうひと押し。
「昨日は、長いあいだ待ってたリュリュにとって、待ちわびた日だったのに、あんまり話ができなくてごめん」
「いいえ。私のことよりも、ノブ様が必要とすることを優先するのは当たり前だと思います」
「そっか、ありがとう」
「はい。昨日のみなさんとの懇親は必要不可欠だと思います。ただ、お酒の飲み方だけは、もう少し考え直した方がよいと思います」
「そうだね。リュリュの言う通りだと思う。すまん」
「いいえ、分かっていただけたのであれば、次にどうされるか考えればよいだけですから」
「そうだね。リュリュの言う通りだ。ありがとう」
「いえ、差し出がましい口を聞きまして申し訳ありません」
「それはいいさ。これからも同じように、俺のいたらぬところを諌めてくれれば助かるよ」
頭をあげたリュリュの顔がほんのりと赤いような気がするのは、たぶん、頑張って諫言してくれたからかな?そうだな。さっきのアレは、結構気合いいりそうだもんな。
「さて、今日はボードサリュ一帯の視察なわけだが……」
「ノブ様、その前に朝餉の用意ができてますけど、食べられますか?」
「そうだな、正直、ちょっとキツイんだけど、あ、昨日のスープ残ってないかな?あれなら、なんか優しい味で、ちょうど良さそうなんだけど」
「あのスープでしたら、すぐに作りますよ」
「え?そんなに簡単にできちゃうの?」
「はい。あの調味料は作り置きするものですから、具なしでよければすぐにでも」
「そっか、それはいいね。それだったら、お願いするよ」
「はい。では、すぐに」
「そっかぁ、そんなに簡単にできるんだったら、毎朝たのんじゃおっかなー」
リュリュが厨房へむかうのを見ながら、なにげなく俺がつぶやくと、リュリュが突然うごきをとめて、振り向いた。
「ノブ様!」
リュリュは信じられないものを見ているように目を大きく開いて俺を見るんだけど…… ん?俺、またなんかマズイこといっちゃった?
リュリュの顔がみるうちに赤くなっていく。
「リュリュ、どうした?」
「いえ、なんでもありません」
リュリュはそういって、俺から顔をそむけ、厨房へと走っていってしまった。
なんだ?なにがマズかった?ていうか、そんなに急かしたつもりはないんだけど……
「おーい、リュリュー、ゆっくりでいいからなー」
(つづく)
あとがき
どうも筆者です(^^)/'
というわけで、主人公どのの強いご要望により、今回は、こんなのになりました。ちょっと短いですが、こんな感じでいかがでしょう?
冒頭の夢オチ。まあ、そうやろって、思った通りだったでしょ?ベタですいませんm(._.)m ←ウーバールーパージャナイヨ
ん?「毎朝、俺のためにミソ汁を……」ってのはわかるよね?わからない?…… そういうとこやぞ!ってやつじゃんw とりあえず、あらすじに書いたやつ回収っと(^^)
このあと、新田開発とか灌漑とか水運の話をしようと思ってたんですが、さすがにこの続きには、なんか変だよね? とゆわけで、今週はこのくらいで。
あ、お家騒動の方も、仕掛けだけは早めにしてかないとな…… しばらく動きはないかと思ったけど、いろいろあるじゃん。
というわけで、ちょっと練りますんで、続きは、また来週末です。
もしよろしければ、また来週、お付き合いくださいm(_ _)m
まったねー (^0^)/"
なお、この物語はフィクションであり、以下ry
あ、そだ。このお話のカプについてさ、名前つけるとしたら、なんていうのがいいかなぁ?とか、ふと思ったんだよね。例えば、「のぶりゅ」かな?とか。
んで、なんとなく漢字2文字で表すとして…… 「信龍」とかいてみて、「しんりゅう」って漫才師かい!\( ^o^;) ←オマエ イクツヤネン トシガバレルゾ→ ミソシル デスデニ バレトルヤロ
たぶん、「信辰」が無難なとこなんだろうけど、「信」だらけなんだよなー(>_<)
まあ、なんちゅうか、「枚辰」とかいて「まいしん」(邁進)って呼ぶのがイーカモナー (^ 3^)〜♪




