002話 断言しよう
「いや、しかし、確かに美味いわ、このスープ。リュリュが料理するなんて知らなかったよ。こっちきてから料理するようになったの?」
「いえ、はい。王都にいた時はまだ小さかったからさせてもらえませんでしたが、ネーネ母さまが時々作ってくださるのを見てたんです。母さまの故郷の料理とか、それを思い出しながら、最初は全然ダメだったんですけど、皆さんの助けもあって」
「へえ、ネーネ様の味なんだ。なるほど、お袋の味って感じだね」
俺自身はお袋の味とか、よく分からんのだけど、なんだか落ち着く優しい味わい。ふう、なんか、いいね、こういうの。べつになにか特別な具が入ってるわけでもないけど、とにかくなんか落ち着くわ。
「なんだろうな?この味わい。たぶん、俺は初めて口にする味かもしれない」
「そうですね。王都や聖都でもちょっと違う種類の似たものはありましたけど、これは母様の故郷の調味料を使ってるんです。王都ではいろんなものを混ぜて作るんですけど、母さまの故郷では、お豆さんとお塩だけから作ってたそうで、この辺りでもいいお豆さんが栽培されてるから」
「へえ、豆からできてる味なんだ。確かに、ちょっと豆のカケラっぽいのが沈んでるかな?」
「はい。お豆さんを炊いて柔らかくしてから潰して、それを塩漬けにして発酵させるんです。身体にとてもいいんですよ。その…… ノブ様の疲れが少しでもとれればいいなって」
くぅ、なんだ?この娘。このニッコリ笑顔は、いったい俺をどうしたいんだ? その笑顔からは、俺を労わろうとする想いがストレートに伝わってくるような気がして。いや、たぶん、純粋に本当にそう思ってくれてるんだろうけど。
「ありがとう。なんだか、長旅の肉体的な疲れも、領都での精神的な疲れも、みんな吹き飛んだような気がするよ」
俺もまた、ストレートに感謝の気持ちを笑顔に載せて…… ちゃんとストレートな笑顔になってるよな?
「若様、其処だば、『気がする』でねくて、『吹き飛んだ』と断言せねばまいね」
「んだずや。若様、見た目はいい男だんだばって、喋りがまんず本地無ぇはんでな」
「然たはんで、若様まいねだね。もう少つかでいいはんで、しっかりしてもらわねば」
「若様ばんざい!リュリュ様ばんざい!よっ!お似合い!ひゅーひゅー」
おいおい、俺は一皿目のスープをリュリュと話しながら、まったりと堪能してるとこなんだけど…… まわりは、あっさりとスープはひと飲みで空にして、いやスープだけじゃなくて、酒杯もクイクイと。いや、確かにテーブルには肴になる食い物も山盛りなんだけどさ。しかし、こいつら…… あ、最後のヤツはあとでコ○ス。
「おい、お前らまで、俺のこと、『若様』って呼ぶんだな?」
ここでもかよって感じ。家督を継いで主君になったはずなのに、どこいっても若様、若造扱い。要するになめられまくってるわけ。そりゃあ、親父みたく貫禄はないよ。そりゃあ、親父の代からの家臣はみんな俺よりも歳上だよ。でも、俺、もう23よ?それなりに大人でしょ?そりゃあ、このヒョロガリぐあいが頼りなく見えるってのはあるのかもしれんけど、俺、どっちかっていうと頭脳派だし……
「若様は若様だべや?」
「んだ。べつに若様で良いんでねが?まんず、若いんだはんで。間違ってねえべ?」
「「「「んだんだ」」」」
「若様ばんざい!」
ふう…… ダメだこりゃ。特に最後のヤツは論外でダメだ…… 顔覚えとくぞ! しかし、まあ、別に呼び方ぐらいどうでもいいっちゃいいんだけどさ。でも、なんか、ちょっと落ち込む感じだな……
「皆さん、ちょっと聞いてください」
俺がなかば呆れつつももう諦めかけてると、静かにリュリュが立ち上がって皆にむかって声をかけた。え?急になに言うの?リュリュって、こんな感じ? ただ、リュリュ、立ち上がってもちっこいからなぁ…… みんな見えてるか?
「どうしたんずや?リュリュ様」
「おろあ、リュリュ様が我んどさ聞いて欲しって喋んべってらんだはんで、汝んど、静かにすんべす」
「然たはんで、五月蝿へってすの。お前だち、口とば閉じへ!」
「リュリュ様ばんざい!」
誰かコイツをつまみ出せよ。いや、コイツの万歳をキッカケに、立ち上がったリュリュに視線が集まり、なんとなく場が静かになったから、まあヨシとすべきなのか?ていうか、狙ってやったのか?やっぱ、こいつらのノリはよく分からん。
「8年前、私は一度、全ての希望を失いました」
リュリュがゆっくりと静かに、しかし、はっきりとした声で話し始めた。
「そこに救いの手を差し伸べてくださったのが、ノブ様のお兄上様、先日お亡くなりになられたタケーノ様でした。タケーノ様は私に希望を示してくださり、そして信じて待てとおっしゃってくださいました。
その希望の言葉にすがって、私はじっと動かずに、ただひたすら身を縮めて待ちました。その3年間はそれが永遠と感じられるほどに長かったです。でもノブ様は私のためにその間さまざまな手段で準備を整えてくださっていたのです。
そして、その日、ノブ様は王都まで私を迎えにきてくださいました。王都から港までの7日間の道のりは王都育ちの私にとっては途方もなく長い道のりでした。道中、私はノブ様たちに大変なご迷惑もかけてしまいましたが、ノブ様の入念な下準備のおかげで途中止められることもなく、無事に港に着くことができました。
その時、私はノブ様のお優しさと頼もしさを心から感じました。そして、私はノブ様にこのご恩を返すために、いつか、できるならこのままずっと、ノブ様のおそばでお世話をさせてほしい。ノブ様の役に立つように……」
そこでリュリュは言葉をとめて、ちょっと俯いて、両手の拳に少し力をいれてから、顔をあげて再び話し始める。
「本当は、恩返しはいい訳かもしれないです。港に着いてお船に乗って、お船が陸から離れていく時、私は…… なぜか涙が止まりませんでした。 でも、お船に乗った私たちをノブ様が手を振って笑って見送ってくださってて。きっとすぐにまた会えるって、また信じて待つだけだって、きっとまた迎えに来てくれるって。私は手を振って見送ってくださるノブ様を…………
あ、でも、本当は、お船はちょっと怖かったです。私、お船はじめてだったはんで、それで怖ぐて、涙コ出たんでねがと」
ここでクスリと笑いが漏れて緊張していた場の空気がゆるむ。リュリュの照れた顔がかわいい。
そうなんだよな、もちろん、親父の指示ではあったわけだけど、リュリュたちの脱出と逃亡の実動部隊はタケ兄と俺だったわけよ。ただタケ兄は王都からはなかなか出られないし、王都脱出以降の段取りは全部俺ってわけ。まあ、少なくとも形式上は俺の許嫁ってことなんで他人事じゃないし、フットワークよく小回りきくのは俺ぐらいなわけで。
とりあえず、ネーネ様の、というかあの宰相様が作った商人たちとのコネクションがあってさ、極秘裏に町の商人とか隊商とかから情報仕入れたり、頼みごとしたり、打ち合わせてさ。それに公的には、俺は皇帝の近習やってて、実は皇帝からの覚えもそれなりにおめでたかったもんで、それ関係のツテもそれなりに使ってね。あとは親父やタケ兄が仕切ってた密交易船のゲフンゲフン
いや、だから、その、実は準備の実動自体はそれほどないんだよね。それぞれと話をするだけ。正直、宰相様やっぱマジすげぇって思った。けど、なかなかいいチャンスがなかったんだわ。絶対失敗できないからさ。あの日が初めてやってきた絶好のチャンスでさ。とはいえ、確かにつらい思いさせちゃったよな……
ともかく、そんな王都脱出の経過をリュリュは話しだした。微妙に核心はハッキリ言わずに。でも、こん中には事情知ってるやつもそこそこいるよな。あの道中で警護してたヤツらもチラホラいるし。そりゃ、詳細まで知ってるのは限られるけどな。まあ、集まってる大半はなんとなく知っちゃあいるけど、聞いちゃいけないんだろうなってぐらいの空気なんだろうけど。
いや、しかし、リュリュの俺に対する評価って?なんでそうなった?俺なにしたっけな?
すこしの間ののち、リュリュは背筋を伸ばして、コホンと小さな咳払いをしてから、話をつづける。
「お船の中でお世話してくださった方もお優しい方ばかりで天候も穏やかでとても快適な船旅でした。10日ぐらいお船にゆられて、トーガル領のトレーズの港に無事に到着したら、皆さんがトレーズまで迎えにきて待機していてくださってて、皆さんに連れられてこのボードサリュー村まできて…… ここでは皆さんに暖かく受け入れていただきました。
私は、たくさんのお優しい方々のお世話になって、ここでこうして、今も生きさせてもらっています。本当に、皆さん、ありがとうございます」
「なんもなんも、リュリュ様、頭コ上げてけ」
「んだいな。我んどだば、そしたら凄げこと何もしてねって」
「んだね。リュリュ様はたんげ物知りだはんで、我んどさ、たんげだに教えてけたんだはんで」
「然たはんで、泣がねでけ。泣ぐのだばまいねず。リュリュ様、笑ってけ」
「んだ、笑ってけ、リュリュ様。我んど、リュリュ様の笑顔が好きだんだはんで」
「リュリュ様ばんざい!」
最後のヤツ、もういいっちゅうねん。ていうか、まだいたのかよコイツ。ん?でも、リュリュがクスッて泣き笑いしてるし、もしかして、コイツすげえヤツなのか?
「ごめんなさい。んだな。悪りした。わ、もう泣かねはんで……」
リュリュは涙を拭いて顔をあげる。そして、一度大きく深呼吸をして背筋を伸ばして皆に向きなおる。
「私は恩返しがしたいです。皆さんの役に立ちたいです。そして今は、ノブ様の役に立ちたいです」
リュリュは、静かな声でそういってから、あらためて大きく息を吸い込んでつづける。
「ノブ様はトーガル家の家督をお継ぎになりました。次の当主はタケーノ様がお継ぎになるものと、皆さんはそう思っていたでしょう。私もそうだと思っていました。でも、皆さんもよくご存知のように、タケーノ様が身罷られ、その後を追うように先代タメーノ様まで身罷られてしまい、突然ひとり残されたノブ様が全てを背負っていかなくてはいけなくなりました」
うん、そのへんはね、実は、タケ兄がついてた王国の旗色が悪くなった頃から、だいたい既定路線だったんだよね。だってそうじゃん、王国に組して帝国に楯突いたタケ兄が後継なんて、皇帝は認めらんないでしょ?ワンクッションおいてタケ兄の嫡子ベアーノあたりならワンチャンあるかもだけど、まだ9歳だし、そこは皇帝の覚えめでたい俺が継ぐのがスムーズっちゃあスムーズなわけよ。
まあ、親父があんなにすぐ逝くとは思わなかったんだけどさ。ま、いうても58だったし、そろそろやばいよなぁと、ちょっとは覚悟してたんだよ。だから、覚悟はともかく、今は、準備というか領地の地元衆への根回しとかの時間が全然なかったのが厳しいよなーって感じなんだよね。
「ノブ様は、王都や聖都でたくさんの知識を身に付けておいでです。それから多くの人脈もお持ちです。先の大戦では、その武勇によって皇帝から爵位を与えられて、さらにご褒美もいただきました。
ノブ様はとても賢く、とても強く、そして頼りになる方です。ノブ様が中心となって、トーガルのみんなが力を合わせれば、このトーガルはもっともっと良くなって、みんなの暮らしももっともっと良くなると私は信じています。
だから、私はノブ様の役に立ちたい」
力強くそう言い切ってから、リュリュは、ひとつため息を吐く。
「でも、見ての通り私には何の力もありません。自分ではなんにもできません」
そこでリュリュは再び顔を上げ、顔をゆっくりと左右にうごかして、リュリュをみつめるひとりひとりの顔をみる。
「私には皆さんにお願いすることしかできません。すいません。もう一度だけ、もう一度だけ皆さんの力を貸してください。『お屋形様』のために、皆さんの力を貸してください。お願いします。この通りです」
そう言ってリュリュは深く深く頭を垂れた。その場はシーンと静まって、口を開こうとするものは誰もいない。
いや、アイツがいたか。
「まんずな、もう泣がねって喋ったばっかりでねんずな?」
うん、やっぱすげえヤツだったんだ。あとで名前きかなきゃな。
「リュリュ様、頭を上げてください。ここに集まってる仲間はみんなリュリュ様と同じことを思ってます。リュリュ様に頼まれなくとも、『お屋形様』のために。皆そのつもりです」
「リュリュ様、もう一度だけなんて寂しいこと言わねでください。我はなんべんでも手を貸すはんで。『お屋形様』のために、なんべんでも手を貸すはんで。此処さいる皆んなも我ど同じだはんで」
「「「「「「「「「「リュリュ様!」」」」」」」」」」
「リュリュ様ばんざい!」
「「「「「「「「「「リュリュ様ばんざい!」」」」」」」」」」
「リュリュ様ばんざい!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「リュリュ様ばんざい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「お屋形様ばんざい!」
「「「「「「「「「「お屋形様ばんざい!」」」」」」」」」」
「お屋形様ばんざい!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「お屋形様ばんざい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
えと、これ、どう収めればいいんだ?と、俺がなんかいう前に、もう泣き顔も隠さずにリュリュが……
「皆さん!ありがとうございます!」
「然たはんで、泣げばまねって。お屋形様、何故にボヤッと見てらんずや? なんでも良いはんで、喋らねばまいねべ」
「あ、ああ、そうだな。すまん。その…… コホン」
俺は立ち上がり、リュリュの隣へいって左手をリュリュの肩にまわす。ほんと、華奢な身体。おもわず、両手をまわして…… いや、いまは、それはマズい。とりあえず、いまは仕方ない。左手でリュリュの左肩を掴んで隣に引き寄せてみる。リュリュは一瞬ビクッと反応したあと力を抜いて、俺に身体を預けて俺を見上げる。俺はリュリュの赤い瞳を見下ろす。うん、めっちゃかわいい。
「あー、まずは、リュリュ、ありがとう。俺はリュリュがそんな風に思ってるなんて、今のいままで知らなかったよ。でも、ホント、嬉しかった。俺は一生、リュリュを大事にする。
リュリュに力がないなんて、とても思えないし、何もできないなんてこともないと思うけど、でも、俺も皆と同じで、リュリュのために力を尽くしたい。リュリュにお願いされたい。お願いされなくったって何度でもリュリュに力を貸す。
だから、リュリュはいつでも俺を頼って欲しい。大丈夫だ。リュリュも言ってくれたように、俺はそれなりに強い。領都のアイツらだって、きっとなんとかする。だから……」
「お屋形様、それは無んでねか?手柄の独り占めだの、許さいねんでねか!」
「んだんだ。我んどもついてるんだはんで、独りコで大丈夫だの喋らねでけ」
「いや、ひとりでなんとかするとは言ってないけどな」
「まんず、お屋形様、見た目はいい男だんだばって、喋りがまんず本地無ぇな」
ちくしょ、さっきとおんなじことい言いやがる。そんなに俺って口下手かな?俺は、深くひとつ深呼吸をして、リュリュの肩から手をはなして前にでる。口々に文句をつけたり、囃し立てたりする家臣どもを見回して、スーっと息をすう。
「五月蝿へじゃ!なんでも良はんで、我さ付いて来い! 俺が、この領地を見違えるように立派で豊かにしてみせるはんでな!」
俺が皆に向かってそう声をはると、皆が、俺の前へ駆け寄り、それぞれ片膝をついて礼をとる。
「ボードサリュー村詰め家臣団一同、お屋形様の野望実現の一助となるべく、お屋形様に忠誠を誓い、今後も精進いたします。良いな?皆のもの!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「そうか、わかった。皆の気持ちは了解した。ありがとう。正直、助かる。これからも、よろしく頼む。皆の働きには必ず報いると約束する」
そっか、ゲンゴーいたんだよな。コイツ、このわずかな期間できっちり配下の統制とって、俺への、というかリュリュへの忠誠を勝ち取ってやがる。コイツが各地から連れてきたヤツらもいろいろやってるんだろうな。うーん、宰相様の遺産。やっぱ、こわいねー。味方でよかった。
いや、でもさ、リュリュのあと、正直どうしたもんかとめちゃプレッシャー感じてドキドキしてたんだわ。なんとか、それなりにうまくまとめられたような気がするよね?そうでもない?リュリュのインパクトが凄かったから、あれと比べられちゃうとキツいんだけどさ。
「それで、お屋形様、さっそくですが、ベアーノ様派閥の動向について……」
いや、うん。知ってたよ。タケ兄の嫡男ベアーノを担ぎ出して、俺を排除しようとする動き。そりゃあ、もちろんあるよね?
俺はずっと領地にいなかったわけだし、家臣ったって、要するに親父の家来だった人たちだから、別に俺に忠誠を誓ってたわけでもなくてさ。領地の実態なんかは俺は知識としてしか知らないわけだし、そこを突かれると弱いんだよな。
しかも、ベアーノの母方の氏族はさ、そもそも後継ぎに娘を嫁がせてたわけで、突然降って湧いたようなはなしで三男の俺なんかが家督を掻っ攫ってったら、そりゃあ頭くるだろうと思うよ。その立場だったら、たぶん、俺だって一瞬はキレるかも。
でもさ、しょうがないじゃん。さっきもちらっと言ったけど、ベアーノ、まだ9歳よ?王国から帝国への体制移行が待ったなしの、この激動の時代に領主させられるか?いろんなことがこれまでからガラッと変わるんだぜ?
いや、確かに有能な配下がうまく盛り立ててやれば、あるいは、しばらく俺が影から暗躍するとか?……それもちょっとおもしろいかも?いやいやいやいや、面白がってちゃダメでしょ。
マジな話、俺、皇帝から騎士爵の爵位もらって褒美として帝都の近くに領地まで貰っちゃってるんだよね。っていっても帝都から徒歩2日ぐらいかかるド田舎の小領地なんだけどさ。まあ、街道沿いだし帝都からなら割と行きやすいとこなんだけどさ。ていうか、要するに帝都防衛の防波堤ってことなんだろうけど。
でもさ、すごいと思わん?親父にじゃなくて、当時まだ16歳の若造だった俺個人にくれたんだよ?俺個人の大戦での働きへの褒賞。俺自身は、俺なんかしちゃいました?って感じなんだけど、妙に皇帝に気に入られちゃっててさ。
いや、まあ、皇帝にもいろんな思惑があるんだろうけどね。
でも、そのおかげで、タケ兄とかが王国に与してたことなんかについてもお咎めなしってことでカタがついたし、もちろん、今回の家督相続の件もあっさり認められちゃってる。とはいえ、そこは、あくまでも非公式なんだけど、ここ来る途中で帝都によった時にさ、一応、そんな話になったのよ。
いまさらそれをご破産にして、王国に与した長兄の息子を後継にってのは、さすがに無理筋だよな。俺も賛同して平和的にってんなら、まだなんとか…… うーん、やっぱ、それもムリかも。まして、俺を暴力的に排除して簒奪なんてやってみろよ、そんなことしたら、この領、秒で消し飛ぶぞ。
そりゃあ、誰が領主になろうが、帝国にとっちゃ実質的には些細な話なんだけどな。でも、いくら非公式とはいえ皇帝がいったん認めちゃったこと、正当な理由もなく覆せんだろ?なんか違ってたからやっぱやんぴなんて、メンツが許さんやろ。まして、皇帝の意向を無視したり、勝手に違うことするなんてのは、明確な叛逆だぜ?わかってるのかな?帝国なめちゃいかんよ。
な?冷静に情勢を分析すればするほど、俺が領主やるしかないんだけどさ。情報格差ってやつだよね。領地に張り付いてる地元衆はそこまでの状況が理解できてないのも多いんだよね。多少わかってるヤツもいるんだろうけど、不満をもってる周りを納得させるのはなかなか難しいと思う。
うーん、どうしたもんかねえ?いきなり、なんもしてないヤツらを粛正なんてことは出来ないしなぁ。まあいいや、とりあえず、俺や俺の周辺に危害を加えてこないうちは、穏便に静観だな。
ゲンゴーから報告を受け、分析しながら意見を交換して…… しかし、コイツ、ぜってぇー諜報要員まで連れてきてやがるわ。もってる情報量がおかしすぎる。こわいねー。
とりあえず、しばらくは無難に領主としての実績を積み上げながらコツコツと信頼度アップかな。そうだな、味方を増やしていかないと。若様呼びだって、必ずしも俺をバカにしてってことでもないだろうし、話のわかるやつだっているだろう。まあ、その辺、ある程度はゲンゴーに任せて、俺はしばらくゲンゴーの指示、じゃなくて助言に従うってことにしよう。
しょうがないよ、俺、領地とか地元衆のこととか、なんも分からんもん。ま、親父のいうようにゲンゴーが有能なら、任しときゃ、なんとかするでしょ。んで、俺はしばらくリュリュと…… とりあえず、ゲンゴーとひとまずの方針を確認しあってから、俺はリュリュに向き直りウインクを飛ばす。
「な?なんとかなりそうだろ?」
「そうでしょうか?なんか、少し不安です」
「どこが?どこに不安要素がある?」
「わかりません。オンナの第六感ってやつです」
それはヤバい。リュリュの第六感はたぶん当たる。そんな気がする。いや、『たぶん』でも『気がする』でもなくて、『当たる』と断言して第2話を終えよう。次回こそは、もう少しリュリュと…… 作者、よろ! ではまた!
(つづく)
あとがき
どうも筆者です(^^)/'
第2話、こんな感じになりました。いかがでしょう?
トーガル語のセリフも、可能な限り、漢字を使って表現すれば、ある程度の意味はつかめるかなぁ?なんて思って、頑張ってみました。それでも分かんない部分はあると思いますが、まあ、いいじゃないですか、そんな一字一句読まなくても、ストーリーは追えますって。たぶん。
主人公、今回は無茶なこと言うなよーと祈っていたのですが、最後の最後に…… よろ!ってなんや、よろ!って(>_<)
しかもリュリュまで…… いや、煽ったノブが悪い! しかし…… いったい、どんな不安が的中するんや?(>_<)
それにしても、家督を継いだ途端に、反対勢力によるお家騒動って、タイヘンダヨナー。と、やや棒読みなのは、やっぱ宰相殿のある意味チートすぎる置き土産がありますから r(^ε ^;
ともかく、少なくともこのお家騒動が収まるまでには、ちょっと時間がかかりそうだし、次は、内政回かなぁ?あるいは、主人公どののご希望通り、ほのぼの日常いちゃらぶ回?
まあ、なんか考えます。今後ともどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
なお、この物語はフィクションであり、登場する人名、地名、言語(方言)、調味料、および団体名はすべて架空のものです。過去も含め実在する人物や場所などとは、一切関係ありません。たぶんー♪
そこは史実と違う!なんてクレームは…… たぶん、おもしろいから歓迎いたします。よろ(^-^)/'
あ、ネーネ母さんは、若い頃にお隣に住んでたピーヌス姐さんからスープの作り方を教わったんじゃないかなぁ? ん?麹?……なにそれ?




