■第9話 レベルアップと新しい森、そしてポーションのランクアップ
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本編スタートです。
岩鳴りの谷で集めたゴブリンと大牙コウモリの魔石は、換金だけでなく、もちろん寺院への寄進にも回していた。
「おっ! 今回の魔石は角ウサギの時より質が良いですね!」
神官の少女はトレイに乗った魔石を見て、嬉しそうに声を弾ませた。
「だろ? それなら今度こそ、もっと強いポーションが貰えたり……」
「はい! 質が良い分、今回はいつもの『初心者お助けポーションセット』をどどーんと多めに差し上げますね!」
「……種類は変わらないんだね。知ってたけど」
とはいえ、貰える量が劇的に増えたのはありがたかった。
これまでは毎日のようにガブ飲みしていたため、常にストック切れの不安と戦っていたが、木箱にぎっしりと詰められた小瓶を見れば安心感が違う。これなら、毎週のように慌てて寄進しに来なくても当分はポーション切れになることはなさそうだ。
ポーションの心配がなくなった僕は、その後も毎日ギルドへ足を運び、順調に討伐を続けた。
飛ぶ斬撃という「ご都合クオリティ」の技を習得した僕にとって、岩鳴りの谷はすっかり楽な稼ぎ場になっていた。
そして数日後。いつものように大量の魔石をカウンターにドンと置くと、受付嬢がため息交じりに口を開いた。
「……もう何も驚きません。レベル3で岩鳴りの谷を全く苦にしないなんて異常ですが、あなたにはあなたの戦い方があるのでしょう。それに、これだけ毎日大量の魔石を持ち帰っているんですから、間違いなくレベルも上がっているはずです。次の狩場をご案内する前に、一度鑑定してみましょうか」
「おっ、待ってました!」
僕は案内されるまま、見慣れた『ステータス測定板』に手を置いた。
淡い光が浮かび上がり、数字が形作られていく。
【レベル:4】
【筋力:25】
【体力:23】
【敏捷:24】
「よしっ、レベル4だ! ステータスもまた一回り大きくなってる!」
「おめでとうございます。順調な成長ですね」
受付嬢の言う通りだ。さらに、レベルが上がったということは、神官の少女が言っていた通りポーションのバフ効果もまた一段階底上げされるということだ。二桁の中盤に差し掛かった基礎ステータスに、さらに効果がアップしたポーションの補正が乗れば、僕の脳筋プレイもいよいよ板についてくるだろう。
受付嬢は地図を広げ、トントンとある場所を指差した。
「さて、ステータスも確認できたところで、さらに次の狩場をご案内します。東門から少し離れた場所にある『獣牙の森』です。ここはさらに手強い『オーク』や『キラーウルフ』などの強敵が生息しています。今まで以上に危険ですが、魔石の質もさらに跳ね上がりますよ」
オークにキラーウルフ。いよいよ本格的なモンスターとの戦いという感じがしてきた。
僕は翌日からさっそく獣牙の森へと狩場を移した。確かにオークの突進力やキラーウルフの素早さは厄介だったが、レベルアップしたステータスに効果の上がったポーション、そして飛ぶ斬撃があれば、決して倒せない相手ではなかった。
「ふっ! はぁっ! 飛べええっ!」
森の中で剣を振り回し、斬撃を飛ばして強敵を次々と狩っていく。
苦戦するどころか、僕は新しい魔物の動きにもすぐに対応し、怒涛の勢いで魔石を回収していった。
そして、その獣牙の森で採れた上質な魔石をひっさげて、再び寺院を訪れた時のことだ。
「こ、これは……! オークの魔石じゃないですか! しかもこんなに大量に!」
麻袋の中身を見た神官の少女は、これまでにないほど目を丸くして驚いた。
「どう? これならさすがに、初心者セットからは卒業できるんじゃない?」
「はい……! これだけ質の高い魔石を寄進していただけるなら、女神様からの恩恵もさらに大きくなります! 少々お待ちください!」
パタパタと祭壇の奥へ走っていった少女は、いつもより少し大きめで、立派な装飾が施された木箱を抱えて戻ってきた。
「ジャーン! 今までの初心者セットの1つ上位にあたる、『中級バフポーションセット』です! 筋力と敏捷の上がり幅がさらに大きくなりますよ! さらに今回は特別に、怪我を治す『回復薬』もセットでお付けします!」
「おおっ……! 回復薬まで!」
今まで怪我をしなかったのが奇跡のような脳筋プレイを続けてきたが、回復薬があるという安心感は計り知れない。
それに、ついに手に入れた上位のバフポーション。レベルアップしたステータスにこれが掛け合わされば、どれほどの力が出るのかワクワクしてくる。
ギルドでの換金率も上がり、強力なポーションと回復薬のバックアップも手に入れた。
チート能力を弾いてしまったどん底のスタートから一転、僕の泥臭い異世界冒険は、益々順調に、そして飛躍的に進んでいくのだった。
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