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■第50話 深海の果実と、鋼鉄の釣竿

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


武具屋の親父さんに特注の竿を頼んだ僕は、ジュエルタートルの大好物だという『深海サンゴの果実』を求めて、再び市場の奥へと足を踏み入れた。


しかし、これが意外と見つからない。

魚や海藻、魔物の素材を扱う店はいくらでもあるが、目当ての果実を置いている店は皆無だった。


「うーん、さすがに迷宮の深層に生えてるものなんて、そう簡単には売ってないか……」


諦めかけていたその時、ふと路地裏の薄暗い場所で、怪しげな薬草や干物を並べている老婆の露店が目に留まった。


「あの、すみません。『深海サンゴの果実』って置いてませんか?」

「……ひっひっひ。お若いの、また珍しいものを探しているねぇ」


老婆はシワシワの顔で笑うと、店の奥から木箱を引っ張り出してきた。中には、まるで赤紫色の宝石のように鈍く光る、拳大のゴツゴツとした果実がいくつか転がっていた。


「これかい? 海溝の第3層以下でしか採れない代物だ。ジュエルタートルなんかを狙う物好きしか買わないからね、値段は張るよ」

「おおっ! あります、お金ならたっぷり!」


バベルで荒稼ぎした金貨に物を言わせ、僕はその果実を木箱ごと買い占めた。ズッシリと重い果実からは、微かに甘く、そして強い魔力の匂いが漂っている。これならあの巨大ウミガメも確実に食いつくはずだ。


餌の確保に成功した僕は、足取りも軽く『海都の武具屋』へと戻った。


「親父さん、餌はバッチリ買えましたよ! 竿の進み具合はどうですか?」

「おう、待ってたぜ! ちょうど組み上がったところだ。見な、これが俺の最高傑作……『剛力釣竿・リヴァイアサン』だ!!」


ドスゥゥゥンッ!!

親父さんがカウンターに叩きつけるように置いたそれを見て、僕は思わず目を剥いた。


「……親父さん。これ、釣竿っていうか、もはや『船の帆柱』か『攻城兵器』じゃないですか?」


それは僕の背丈よりも遥かに長く、ぶ厚い魔力鋼ミスリルでコーティングされた極太の金属棒だった。リール部分には、巨大なクレーンについているようなゴツい巻き上げ機が装着されており、糸に至っては完全に『ミスリル製の極太ワイヤー』である。先端についている釣り針も、大人の腕ほどもある凶悪なフックだ。


「バカ野郎、相手は小型船をひっくり返す怪力ウミガメだぞ! これくらい頑丈じゃねえと、一瞬でへし折られちまう! 糸も針も特別製だ。お前さんのバケモノ筋力で無理やり引きちぎろうとしねえ限り、絶対に切れねえよ!」

「なるほど……これなら力比べで負ける気はしませんね!」


重厚なシルバーアーマーに身を包んだ怪力剣士が、攻城兵器のような鋼鉄の釣竿を担いで迷宮に挑む。

もはや釣りの概念がゲシュタルト崩壊を起こしているが、これこそが僕にふさわしい「異世界脳筋フィッシング」のスタイルだ。


「よーし、準備は完璧だ。親父さん、ありがとう!」

「おう! 絶対に釣り上げて、でっかい甲羅を拝ませてくれよ!」


親父さんに見送られ、特注の釣竿と餌を抱えた僕は宿屋へと向かった。


明日はついに、第3層での大勝負が待っている。

宿の硬いベッドに潜り込み、異世界特有の「一晩寝れば全回復システム」に身を委ねながら、僕は未知の巨大ウミガメとの綱引き(激闘)を夢見て、ゆっくりと目を閉じた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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