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■第49話 おじさんの助言と、迷宮での『釣り』

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


「よし! 波間の魔道具屋で、一番頑丈な捕獲ネットを買ってくる!」


一攫千金のロマンに火がついた僕が、勢いよく市場を駆け出そうとした、その時だった。


「おっと待ちな、威勢のいいお兄さん! 網で捕まえるって、まさかあのジュエルタートルを海中を泳いで追いかけ回すつもりかい?」

「えっ? はい、そのつもりですけど」


先ほどの初老の商人が、呆れたような顔で僕の肩をポンと叩いた。


「やめときな。あいつらの水中でのスピードは尋常じゃない。いくらお兄さんが凄腕でも、あの水流レーザーを避けながら、三次元の海中戦で生きたまま網に掛けるなんて無茶が過ぎる。最悪、命を落とすか、甲羅を傷つけてパァになるのがオチだ」

「うっ……確かに、昨日は避けるだけで精一杯だったしな……。じゃあ、どうやって生け捕りにするんですか?」


商人はニヤリと笑い、市場の奥――漁師たちが集まるエリアを親指で指し示した。


「『釣り』だよ」

「……はい? 釣り? 迷宮でですか?」

「ああ。海溝の迷宮の第3層には、ぽっかりと空洞になっている安全地帯や、海底の崖っぷちみたいな地形があるんだ。そこから、あいつらの大好物である『深海サンゴの果実』を餌にして、専用の釣り糸を垂らすのさ」


迷宮で釣り。

なんとも牧歌的な響きだが、よくよく考えてみれば理にかなっている。


「なるほど! 水中で追いかけっこをするから向こうに地の利があるんだ。餌でおびき寄せて、こっちの土俵に引っ張り上げればいいのか!」

「その通り。食いついたら最後、あとは釣り糸が切れるか、釣り人の腕がちぎれるかの力比べ(綱引き)さ。もっとも、ジュエルタートルの引きの強さは小型船をひっくり返すほどだから、並の腕力じゃ海に引きずり込まれて終わりだがね」

「力比べ……綱引き……!」


その言葉を聞いた瞬間、僕の顔に邪悪な(そして脳筋な)笑みが浮かんだ。


ステータスがバケモノ級に成長している今の僕の『筋力』。それに加えて、気楽な寺院で貰った『上級バフポーション』を重ね掛けすれば、腕力だけで言えばオーガの群れとだって綱引きで勝てる自信がある。


「おじさん、最高の情報をありがとう! 釣りなら僕の最も得意な分野(力技)だ!」

「お、おう? なんだか急に自信満々になったな。釣りをやるなら、網じゃなくて『魔物用の釣り竿』と『ミスリル製の釣り糸』が必要だぞ。海都の武具屋の親父さんに頼めば、とびきり頑丈なやつを打ってくれるはずだ」

「分かりました! すぐに行ってきます!」


僕は商人に深々と頭を下げると、今度こそ市場を駆け出した。

向かうは波間の魔道具屋ではなく、先ほどコーティングでお世話になったドワーフの親父さんがいる『海都の武具屋』だ。

カランカランッ!


「親父さん! 迷宮用の釣り竿! 一番頑丈で、絶対に切れないやつをお願いします!」

「あん? なんだ坊主、さっき出て行ったと思ったら血相変えて。……迷宮で釣りだと? お前さん、ジュエルタートルでも狙う気か?」


親父さんは僕の顔を見るなり、すべてを察したようにニヤリと笑った。


「はい! 生け捕りにして一攫千金を狙います!」

「はっはっは! いい度胸だ! だが、生半可な竿じゃあいつらの引きには耐えられねえぞ。……よし、少し時間はかかるが、俺の最高傑作を組んでやる。純銀の装備シルバーアーマーを着込んだ怪力野郎にぴったりの、鋼鉄のクジラでも釣り上げられる『特注・剛力釣竿』だ!」

「ありがとうございます! 餌の『深海サンゴの果実』も市場で探してきます!」


一攫千金のための生け捕り作戦は、「網で捕獲」から「釣りによる力比べ」へと大きくシフトした。

魔法も小細工もいらない。ただ純粋な『筋力』と『バフポーション』で、巨大なウミガメを海からぶっこ抜く。


いかにも僕らしい、泥臭くて脳筋な「迷宮フィッシング」の幕が開こうとしていた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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