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■第48話 市場の驚きと、生け捕りのロマン

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


翌日。今日は一日迷宮探索を休みにして、水上都市アクアリアの市場でゆったりと買い物を楽しむことにした。


潮の香りと活気に満ちた市場には、色鮮やかな魚介類や、海で採れた素材を使った珍しい魔道具が所狭しと並んでいる。手持ちの資金は潤沢にあるため、美味そうな海鮮串焼きをかじりながら、僕はのんびりと露店を冷やかして歩いた。

その時、ある高級素材を扱う店の前で、僕の足がピタリと止まった。


「……あれって」


店の一番目立つ場所に恭しく飾られていたのは、七色にキラキラと輝く、巨大で美しい透き通った甲羅だった。


間違いない。昨日僕が第3層で遭遇し、シルバーソードで真っ二つに叩き斬った『美しき巨大ウミガメ』の甲羅だ。


だが、僕の目を引いたのはその美しさだけではない。甲羅の下に置かれた値札のゼロの数が、とんでもないことになっていたのだ。


「うわっ……なんだこの値段。家が何軒も建つぞ」

「おや、お兄さん。お目が高いねぇ」


僕が値札を見て固まっていると、人の良さそうな商人の初老の男がニコニコしながら話しかけてきた。


「それは第3層の奥深くにしか生息していない『ジュエルタートル』の甲羅さ。ただでさえ希少な上に、あいつらを見つけた冒険者は大抵、力任せに魔法や剣で叩き割っちまうからな。こんなに綺麗な状態で残ってる甲羅は、この街でも滅多にお目にかかれない超一級品の素材なんだよ」

「ははは……(昨日、見事に真っ二つにしました)」


僕は顔を引きつらせながら、曖昧な笑いを浮かべた。特大の魔石は手に入ったものの、あの美しい甲羅をそのまま持ち帰っていれば、このとんでもない金額が手に入っていたかと思うと少しだけ後悔が押し寄せてくる。


「でもねぇ、お兄さん。実はこの甲羅を売るよりも、もっと『いいこと』があるのを知ってるかい?」

「え? これよりいいことって、何ですか?」


商人は声を潜め、周囲を気にするように僕の耳元へと顔を近づけてきた。


「生け捕りさ。あいつらを傷つけずに『生きたまま』捕まえることができれば、王都の貴族や大富豪たちが、この甲羅の数十倍の値段で買い取ってくれるんだよ」

「す、数十倍!?」

「ああ。なんでも、生きたジュエルタートルは観賞用として最高な上に、飼っていると定期的に『七色の真珠』を落とすんだと。それに、あいつらは深海の宝が眠る場所へ導いてくれる『幸運の使い』だっていう言い伝えもあってね。まあ、あんなデカくて素早い魔物を水中で生け捕りにするなんて、一流の冒険者でも至難の業だがね」


生け捕り。

その言葉を聞いて、僕の頭の中で猛烈に計算が始まった。


昨日遭遇した時は、あの凶悪な水流レーザーにビビッて反射的に『飛ぶ斬撃』で一刀両断してしまった。だが、あのパターンさえ分かっていれば、新兵器『水棲ポーション(絶級)』と『アクア・ブーストのブーツ』の圧倒的な機動力を持つ僕なら、攻撃を躱しながら捕獲することも不可能ではないはずだ。


「……生け捕りにすれば、数十倍の報酬。それに七色の真珠……」


僕はゴクリと喉を鳴らした。

冒険者たるもの、やっぱり一攫千金のロマンには抗えない。


「おじさん、ありがとう! すごくいい話を聞けたよ!」

「おや? まさかお兄さん、ジュエルタートルを生け捕りにしに行くつもりかい? 無理はするなよ!」


商人の声援を背に受けながら、僕は市場を駆け出した。

向かう先は、昨日お世話になった『波間の魔道具屋』だ。あのエルフのお姉さんなら、水中で巨大な魔物を捕獲するための頑丈な魔法の網や、拘束具なんかを売っているに違いない。


「よし! 次にあのキラキラウミガメに会ったら、絶対に斬らない! 魔法の網でぐるぐる巻きにしてやる!」


ただ魔物を狩るだけだった脳筋な僕の迷宮探索に、「生け捕り」という新たなミッションが追加された。

七色の真珠と一攫千金を夢見て、僕の海中でのモチベーションはかつてないほどに高まっていくのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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