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■第45話 第2層の竜宮城と、快速のウミガメ

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


浅層の大穴を抜け、さらに深くへと続く第2層のエリアに足を踏み入れた。


「そろそろ太陽の光が届かなくなる頃かな……ランタンの準備を……あれ?」


腰に下げた『深海サンゴのランタン』に手を掛けた僕は、拍子抜けして周囲を見渡した。


覚悟していた真っ暗闇とは程遠く、そこそこ明るかったのだ。海底の岩肌や柱に群生している発光性のサンゴや海藻が、淡い青や緑の光を放ち、空間全体を幻想的に照らし出している。


「なんだ、まだランタンは点けなくても大丈夫そうだな」


視界が開けているのはありがたい。さらに周囲を見渡すと、そこはまるで夢に描いた『竜宮城』のような光景だった。


色とりどりの熱帯魚の群れが、輝くサンゴ礁の間をキラキラと泳ぎ回っている。水はどこまでも澄み切っており、静かで美しい。


「すっげえ……綺麗だなぁ。水族館のど真ん中にいるみたいだ」


ポーションのおかげで息苦しさもないため、完全に南国のダイビングレジャー気分だ。ここが命がけの迷宮であることも、自分が魔物を狩りに来た冒険者であることも、うっかり忘れてしまいそうになる。


「おっ、あんなところに亀がいるぞ」


発光するサンゴの影から、立派な甲羅を持った大きなウミガメがふわりと姿を現した。

陸上で歩く姿ののろのろとしたイメージとは裏腹に、前足を優雅に羽ばたかせて、実にすいすいと気持ちよさそうに泳いでいる。


「かわいいなぁ。あんな風にのんびり泳いでると癒やされ……」


――シュバァァァッ!!


「は!?」


のんびり泳いでいたはずのウミガメが、突如として甲羅に手足を引っ込めたかと思うと、まるで水雷のような超高速回転でこちらに向かって突進してきた。


水中モーター顔負けの凄まじいスピードだ。陸で動きが遅い分、水中での機動力と推進力にステータスを全振りしているらしい。


「うおぉっ!? 全然のんびりしてない!!」


僕は間一髪で体を捻り、バケモノ級の敏捷性でその回転突進を躱した。ウミガメの魔物は僕の横を猛スピードで通り過ぎ、そのまま岩壁に激突して大きな水煙を上げた。


ゴツンッ!!*という鈍い音が響くが、あの頑丈な甲羅のせいで本体はノーダメージのようだ。岩壁を蹴って、再びこちらへ向かって高速回転突進を仕掛けてくる。


「危ねえな! 景色に見惚れて完全に油断してたぞ!」


我に返った僕は、シルバーソードを構え直した。

いくら水中でのスピードが速くても、単調な直線突進なら、僕のステータスの敵ではない。


「ふっ!」


僕は突進の軌道を見切り、すれ違いざまに甲羅の隙間――首や前足が引っ込んでいる部分を正確に狙って、純銀の刃を滑り込ませた。


ズバァァッ!!

硬い甲羅そのものを叩き割るのではなく、急所を的確に斬り裂く一撃。ウミガメの魔物は推進力を失って水中でクルクルと回転し、やがて光の粒子となってコロンと魔石を落とした。


「ふう……危ない危ない。完全にただの観光客になってた」


魔石をポーチにしまいながら、僕は気を引き締めるべく頬を軽く両手で叩いた。


ここは美しくも危険な『海溝の迷宮』だ。色とりどりの魚や美しいサンゴ礁の景色に惑わされてはいけない。この先も、あんな風に環境に極度に適応した厄介な水棲魔物たちがウヨウヨいるはずなのだ。


「よし、観光気分は終わり! ガンガン狩っていくぞ!」


僕はシルバーソードの切っ先を前に向け、発光するサンゴ礁に彩られた第2層の奥へと、スイスイと泳ぎ進んでいった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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