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■第32話 下層の報告と、頼れる協力者たち

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


瘴気エリアでの命がけの「時間制限付き探索」をなんとか終え、僕は迷宮都市バベルの地上へと生還した。


持続回復のリジェネ・ポーションの効果が切れる前に瘴気エリアを抜け出し、狩ったばかりの下層の魔石を抱えての帰還だ。


「はぁ……生きた心地がしなかった。でも、これで対策のペースは掴めたぞ」


僕は深く息を吐き出すと、まずは西区の裏通りにある『黒猫の宝箱』へと足を向けた。


カランカランッ!


「いらっしゃい、にゃあ。あら、下層の初陣からもう帰ってきたの? 随分と早かったじゃない」

「お姉さん、聞いてくださいよ! 下層の瘴気、あれマジでヤバいですね!」


カウンターの奥から顔を出した黒猫のお姉さんに、僕は瘴気エリアでの体験を興奮気味に語った。


「マスクと耳飾りがなかったら、入った瞬間に即死してましたよ。お姉さんのアイテムのおかげで助かりました。はい、これお土産の下層の魔石です」

「にゃっ!? これ、スケルトンナイトとレイスの魔石じゃない! 初日でこんなに純度の高い下層の素材を狩ってくるなんて……アンタ、本当に規格外ね!」


ドンッとカウンターに置かれた大粒の魔石を見て、お姉さんは目を輝かせ、黒い尻尾をパタパタと激しく揺らした。


「マスクを通した20パーセントのダメージはどうしたの? 初見じゃかなりキツかったはずだけど」

「ああ、それは神官ちゃんから貰った新しいポーションで相殺しました。でも、アイテムの稼働時間が限られてるから、これからは時間との勝負ですね」

「にゃふふっ、ちゃんと学習したみたいね。でも、生きて帰ってきてくれて嬉しいわ。この極上の魔石で、また新しい魔道具を研究しておくから楽しみにしてなさい!」



上機嫌な黒猫の職人に見送られ、僕は次にいつもの『適当な寺院』へと向かった。


「こんにちはー」

「ああっ! 異世界からの旅人様! ご無事で何よりです!」


祭壇を掃除していた神官の少女が、僕の姿を見るなりパタパタと駆け寄ってきた。


「神官ちゃん、リジェネ・ポーション、マジで最高だった! あれのおかげで瘴気の継続ダメージを完全にチャラにできたよ!」

「本当ですか!? ああ、女神様の慈悲が下層の邪悪な瘴気を打ち払ったのですね! 女神様万歳!」


少女は両手を組んで天を仰ぎ、感涙にむせび泣いている。


「これも寄進しておくよ。下層の魔石だから、女神様も喜ぶはずだ」

「ひゃあああっ! こんなに大きくて澄んだ魔石を……! 神聖な倉庫の奥の、さらに神聖な棚に飾らせていただきます!」



ポーションの補充もしっかりと済ませ、僕は最後に冒険者ギルドの重い扉を押し開けた。


「……お帰りなさいませ。その様子だと、下層の洗礼を無事に乗り越えられたようですね」


カウンターに向かうと、眼鏡の受付嬢がいつものように無表情ながらも、どこかホッとしたような声音で迎えてくれた。


「ええ、なんとか。受付嬢さんの言った通りでしたよ。あの銀装備、アンデッドに対しては触れただけで浄化するくらいの超特効でした! あの装備がなかったら、瘴気エリアでの素早い殲滅は無理でしたね」

「それは重畳です。ですが……」


受付嬢はクイッと眼鏡を押し上げ、僕から受け取った魔石の査定をしながら淡々と告げた。


「瘴気の初見の衝撃に耐えられたのは、アイテムやポーションの力だけではありませんよ。貴方様の異常に成長した『基礎ステータス』があったからこそ、即死を免れたのです。普通の冒険者なら、いくら対策をしていても、瘴気に触れた瞬間のショックで気絶してしまうこともありますから」

「そ、そうだったのか……」


レベル20を超え、三桁に達したバケモノステータス。それが知らず知らずのうちに、僕の命綱になっていたのだ。


「中層までのように、ただ無双できる領域ではありません。今後も油断せず、必ず『生きて帰ること』を最優先に探索してください」

「はい、肝に銘じます」


ギルドでの換金を終え、ずっしりと重くなった金貨の袋を懐にしまいながら、僕は夕暮れのバベルの街を見上げた。


黒猫の魔道具。神様のポーション。親父さんの銀装備。そして、的確なアドバイスをくれるギルドの受付嬢。


僕はソロの冒険者だ。迷宮にはたった一人で潜っている。

けれど、この街で出会った「頼れる協力者たち」の支えがなければ、今日の僕は間違いなく下層で命を落としていただろう。


「明日からは、もっと慎重に、でも大胆にいくぞ」


改めて周囲への感謝を胸に刻み、僕は明日からの過酷な下層探索に向けて、宿屋への帰路についたのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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