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■第18話 迷宮都市バベルと、魔法のポーション

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


山脈を越える長い旅路を経て、僕の目の前にとてつもなく巨大な城壁が現れた。


その中心には天を突くほど高い巨大な塔――地下深くへと続く大迷宮の入り口、迷宮都市バベルの象徴がそびえ立っている。行き交う人々の数も、冒険者たちの装備の豪華さも、最初の辺境の街とはまるで桁違いだ。


「ついに着いた……ここが迷宮都市」


シルバーアーマーに身を包んだ僕は、人の波に揉まれながら街の中へと足を踏み入れた。


さて、まずはギルドへ……と行きたいところだが、大雑把な神様から「早々に適当な寺院へ行け」と言われていたのを思い出す。今後の命綱となるポーションを確保するためにも、最優先事項だ。


通行人に道を尋ねながら裏通りを進むと、やがて見覚えのあるような、ないような、不思議と既視感のあるこぢんまりとした建物が見えてきた。


入り口の古びた看板には、達筆な文字で堂々とこう書かれている。


『適当な寺院』

「……本当にそのまんまの名前じゃねえか!!」


手頃な寺院の次は適当な寺院。神様のネーミングセンスのなさにツッコミを入れつつ、僕は重い木の扉を押し開けた。


むせるようなお香の匂いと、ステンドグラスから差し込む光。中の造りまで前の寺院とそっくりだ。


そして祭壇の前には、前の街の神官の少女と瓜二つ(髪型だけが少し違う)の少女が、にこやかに微笑んで立っていた。


「お待ちしておりました、異世界からの旅人様! 女神様……もとい、神様からお話は伺っておりますよ!」

「あ、どうも。今日からこの街でお世話になるんで、よろしくお願いします」


僕が挨拶をすると、神官の少女は祭壇の奥から、見慣れた木箱を取り出してきた。


「はい、こちらが神様から預かっている、新しい街への『ウェルカム・ポーションセット』になります!」

「おお、ありがとう。……ん? なんかいつものバフポーションと色が違わないか?」


木箱の中に入っていたのは、赤や青の液体ではなく、淡く光り輝く虹色の液体が入った小瓶だった。


「ふふっ、よくぞお気づきで! 迷宮都市のダンジョンには、物理攻撃が効きにくいスライム系の変異種や、魔法でしか倒せないような厄介な魔物も多数出現します。剣だけではいずれ限界が来るでしょう」

「確かに。でも僕、魔法の才能とかチート能力とか、一切ない完全な脳筋なんだけど」


僕が肩をすくめると、少女はウインクをして小瓶を指差した。


「そこで、この新しいポーションの出番です! これを飲めばなんと、効果時間中だけ『簡易的な魔法』が使えるようになるんです!」

「ま、魔法が!? 飲んだだけで!?」


僕は思わず小瓶を手に取り、まじまじと見つめた。

火の玉を飛ばしたり、水鉄砲を撃ったり。ファンタジー世界に来たからには一度は使ってみたかった魔法が、ついにこの僕にも使えるようになるというのだ!


「すごい! さすが神様、お詫びのリークついでに粋な計らいをしてくれるじゃないか!」

「ただし、あくまで『簡易的』ですので、大規模な大魔法などは使えませんからご注意くださいね。上位の魔法ポーションが欲しければ、この迷宮で採れた上質な魔石をどんどん当寺院へ寄進してください!」

「オッケー、任せてよ!」


僕は魔法が使えるようになる虹色のポーションを大切に腰の木箱にしまい込み、意気揚々と寺院を後にした。


次に向かうのは、いよいよこの街の冒険者ギルドだ。

大通りの中央に位置するギルド本部は、前の街のギルドがすっぽり三つは入りそうなほど巨大な石造りの建物だった。重い扉を開けると、凄まじい熱気と喧騒が押し寄せてくる。


歴戦の猛者といった風貌の冒険者たちが酒を飲み交わし、情報交換をしている。さすがは迷宮都市、全員のレベルがかなり高そうだ。


僕は少し緊張しながら、空いている受付カウンターへと向かった。

対応してくれたのは、眼鏡をかけた知的な雰囲気の受付嬢だった。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「あ、この街のダンジョンに潜りたくて。前の街のギルドから、紹介状を預かってきたんですけど」


僕は懐から、前の街の受付嬢が別れ際に持たせてくれた、ギルド長の手記が入った封筒(紹介状)を取り出し、カウンターに提出した。


「辺境の支部からのご紹介状ですね。確認いたします」


受付嬢は慣れた手つきで封筒の封を切り、中の書類に目を通し始めた。


最初は事務的な表情だった彼女の顔が、一行、また一行と文字を追うごとに、スッと真顔になり、やがてピクリと眉が引きつった。


「……えっと? ソロで、竜骨の荒野を踏破……? 最深部の竜から、龍石を授与……? 現在のレベル、10……?」


彼女の声が、徐々に震え始めている。


バサッ、と書類を机に置いた彼女は、眼鏡の奥の目を限界まで見開き、全身銀装備の僕を信じられないといった様子でまじまじと見つめてきたのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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