■第13話 連日のレベルアップと、二度目の装備一新
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本編スタートです。
竜骨の荒野での無双状態は、その後も数日間続いていた。
その日、僕はいつものように荒野で狩りを終え、ギルドのカウンターに特大の魔石の袋をドンッと置いていた。
「……はい、今日の分です」
「も、もう驚きませんよ……。でも、念のため今日も鑑定してみましょうか。あの初日のレベルアップから、毎日記録を更新し続けていますし……」
受付嬢に促されるまま、もはや日課となった『ステータス測定板』に手を置く。
淡い光が文字を形作っていく。それを見た受付嬢は、もう悲鳴すら上げず、ただ呆然と呟いた。
【レベル:10】
【筋力:85】
【体力:82】
【敏捷:84】
「レ、レベル10……。初日に荒野でレベル6になってから、毎日連続でレベルアップして、ついに二桁に到達するなんて……」
それを聞いたギルドの冒険者たちも、もはや騒ぐことすら忘れ、「あいつ、本当に人間か……?」と畏怖の目を向けてくるだけだった。
レベル10という跳ね上がった基礎ステータスに、中級バフポーションの強力な掛け合わせ。
その力があれば、オーガもアーマーリザードも面白いように一刀両断できるようになった。しかし、連日最高難易度の魔物を相手に大立ち回りを演じた結果、僕は再び自分の装備に「物足りなさ」と「限界」を感じ始めていた。
「ふう……やっぱり、斬った後に手が痺れるな」
オーガの分厚い骨を断ち切るたび、鋼の長剣から伝わる衝撃が腕にビリビリと残るのだ。剣自体も微かに歪み始め、強化革鎧も大型魔物の風圧やかすり傷だけで軋み声を上げている。
毎日魔石をギルドに売りまくっているおかげで、今の僕の懐には笑いが止まらないほどの資金が潤沢にある。命を預ける装備をケチる理由はない。
僕は大量の魔石をギルドで換金したその足で、馴染みの武具屋の暖簾をくぐった。
「親父さん、こんにちは。ちょっとまた装備を見てもらいたくて」
「おう、ひよっこか。なんだ、せっかく見繕ってやった鋼の長剣に、もう不満が出たってのか?」
奥で作業をしていた強面の親父さんが、からかうような笑みを浮かべてカウンターに出てきた。僕は鞘から長剣を抜き、コトリと置く。
親父さんは剣を手に取った瞬間、ピタリと動きを止めた。
「……おい。なんだこの刀身の歪みと、目に見えないほどの細かいヒビは。あんた、獣牙の森のオーク相手にどんな無茶な振り方をしてやがる?」
「え? いや、最近は『竜骨の荒野』に毎日通ってまして。オーガとかアーマーリザードを片っ端から一刀両断してたら、さすがに剣が悲鳴を上げ始めたみたいで」
僕が事もなげにそう言うと、親父さんの目が見開かれ、持っていた鋼の長剣がガシャン! とカウンターに落ちた。
「……はぁ!? りゅ、竜骨の荒野だと!?」
「はい。あそこの魔石、すっごく高く売れるんですよ。あ、そういえば今日のギルドの鑑定でレベル10になったんで、もっと良い装備に変えたいなって」
「バカ野郎!! あそこはこの街のベテラン連中が、何人もパーティを組んでガチガチの重装備で挑む死地だぞ! まさかあんた、この鋼の長剣と強化革鎧だけで……しかもソロで通い詰めてたってのか!? しかもレベル10だと!?」
「あ、はい。まあ、一応なんとかなってますけど……」
親父さんは両手で頭を抱え、天を仰いだ。
「信じられねえ……。鋼の長剣でオーガを一刀両断……? どんなバケモノじみたステータスしてやがるんだ。いや、むしろこの装備でよく生きて帰ってこれたな……」
「だから、今の僕のレベルと力に耐えられる、硬い魔物を斬っても衝撃が来ないような高価な装備に一新したいんです」
僕はドンッ、とカウンターに特大の革袋を置いた。中にはギルドで換金しまくった大量の金貨が詰まっており、ジャラジャラと景気のいい音を立てている。
「資金ならたっぷりあります。レベル10に見合った、親父さんの店にあるとびきり高価で最高の装備を売ってください」
山のような金貨と僕の顔を交互に見た親父さんは、呆れたようなため息をついた後、やがてフッと口角を上げて凶悪な笑みを浮かべた。
「……まったく、とんでもねえお得意様になっちまったな。いいだろう。レベル10のバケモノの力にも耐えうる、この店で一番の『業物』を出してきてやる。魔物に対する特効を持たせた、特別製の『シルバーソード』と『シルバーアーマー』だ!」
親父さんは嬉々として店の奥の厳重な扉を開けに向かった。
あり余る資金で手に入れる、レベル10に見合った美しい銀の相棒と鎧。限界を迎えていた装備からの卒業に、僕はワクワクしながら親父さんの背中を見送った。
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